立騷たちさわ)” の例文
新字:立騒
棟近むねちかやまかけて、一陣いちぢんかぜわたつて、まだかすかかげのこつた裏櫺子うられんじたけがさら/\と立騷たちさわぎ、前庭ぜんてい大樹たいじゆかへでみどりおさへてくもくろい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
快活くわいくわつなる水兵すいへい一群いちぐんその周圍まわり取卷とりまいて、『やあ、可愛かあひらしい少年せうねんだ、乃公おれにもせ/\。』と立騷たちさわぐ、櫻木大佐さくらぎたいさ右手めてげて
せぬ故に果してばけかはあらはしいま捕押とりおさへたるはよき氣味なりと咄すを聞て家内の者共然樣さやうの御連にてありしか何にしても不屆なやつひきずり出してたゝきのめせと立騷たちさわぐを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
港灣かうわんに掃除の行はるる時、人夫等の黒き集團は埠頭ふとうおほひて、船舶せんぱくかたへ立騷たちさわぐ如く
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
武村兵曹たけむらへいそう眼中がんちう無念むねんなみだうかべて、いま多少たせう仇浪あだなみ立騷たちさわいで海面かいめんにらんでる。日出雄少年ひでをせうねんはいと/\かなさう
最初さいしよから二人ふたり對坐さしむかひで、人交ひとまぜもせぬでなにむつまじさうにはなしをしてたが、みんながわい/\つて立騷たちさわぐのをようともせず、まるで別世界べつせかいるといふ顏色かほつきでの。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御聞いれなき時は是非におよばねども兎に角和尚樣をしやうさまに御目に掛り一とほり願ひ上げかなはぬ時はかへる分の事私より決して手出は致さぬと云つゝ其所に居しこるにぞ弟子でし番僧ばんそう立騷たちさわぐを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その仇浪あだなみ立騷たちさわほとり海鳥かいてう二三ゆめいて、うたゝ旅客たびゞとはらわたつばかり、日出雄少年ひでをせうねん無邪氣むじやきである
一疋殺し通仙がおもて建掛たてかけて置きしを夜中の事故一人も知者しるものなかりけり(南都にては春日かすが明神みやうじんあいし給ふとて古へより鹿殺しかころしとがおもしと云ふ)翌朝よくてう所の人々見付けて立騷たちさわぐ聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)