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真個
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ほんと
ふりがな文庫
“
真個
(
ほんと
)” の例文
旧字:
眞個
演技も真に迫つてゐて観客から見ては、舞台の上の俳優達が何処までが
真個
(
ほんと
)
うに涙を流し、どこまでが空涙かわからぬほどであつた。
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
「艶じゃア無い、
真個
(
ほんと
)
にサ。如才が無くッてお世辞がよくッて男振も好けれども、唯
物喰
(
ものぐ
)
いの
悪
(
わり
)
いのが
可惜
(
あったら
)
瑜
(
たま
)
に
疵
(
きず
)
だッて、オホホホホ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
幾何
(
いくら
)
叱つても山内さんを見れや然う言ふもんですから困つて了ひますよ。ホホヽヽ。
七月児
(
ななつきご
)
だつてのは
真個
(
ほんと
)
で御座いませうかね?
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お客様だと云うから、誰かと思って見ると、千枝子さんの名刺に、
真個
(
ほんと
)
に
喫驚
(
びっくり
)
した。此上もないよろこびのおどろきである。丸髷が美しい。
日記:06 一九二〇年(大正九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
お酒が少しばかりまわりますと、親切に色々と
妾
(
あたし
)
の
身上
(
みのうえ
)
をお尋ねになりましたので、何もかも
真個
(
ほんと
)
の事をスッカリ話しました。
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
が、スミスの
真個
(
ほんと
)
の活動は、一九〇三年に開始されて、引き続いて六年間、彼は東奔西走席の暖まる暇もなく女狩りに従事して多忙を
極
(
きわ
)
めた。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
たしかにどこかで見たような顔、そんなような気がするだけで、どこの誰か、果して
真個
(
ほんと
)
に会ったことのある仁か、与惣次はいっこう思い出せなかった。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
少し
御手柔
(
おてやはらか
)
に遊ばせ、あれ/\それぢやあ
真個
(
ほんと
)
に死んでしまひますわね、母様、もし旦那つてば、御二人で御折檻なさるから
仕様
(
しやう
)
が無い、えゝ
何
(
ど
)
うせうね
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
北村君の文学生活は種々な試みを
遣
(
や
)
って見た、準備時代から始まったものではあるが、
真個
(
ほんと
)
に自分を出して来るようになったのは、『蓬莱曲』を公けにした頃からであろう。
北村透谷の短き一生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
夫れもその筈、担ぎ挙げる人達が男も女も、
真個
(
ほんと
)
に覚醒して見えるのが無いからです。
新らしき婦人の男性観
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
これが
真個
(
ほんと
)
の押掛けで、もとより大鎧
罩手
(
こて
)
臑当
(
すねあて
)
の出で立ちの、射向けの
袖
(
そで
)
に風を切って、長やかなる陣刀の
鐺
(
こじり
)
あたり散らして、
寄付
(
よりつき
)
の席に居流れたのは、
鴻門
(
こうもん
)
の会に
樊噲
(
はんかい
)
が駈込んで
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「いや、そりゃ
真個
(
ほんと
)
かどうだか、無論分らんが、何んでも日本の男に内通してたというので疑われたらしいんだ。そのうち一つ、俺はあの女の骨も貰って来ようと思っているのさ。」
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「そして
真個
(
ほんと
)
にその家が出来たのかね」と井山は又しょぼしょぼ
眼
(
まなこ
)
を見張った。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
腹の中ではお宮の気心をはかりかねて、
真個
(
ほんと
)
に嫌われたのだろうかと、消え入るような
心地
(
ここち
)
になっていたのが、主婦の物馴れた調子に
蘇
(
よみがえ
)
ったような気になって、私は一と足さきに清月にいった。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
俺は
真個
(
ほんと
)
うは健康な女が嫌ひであつた。そのひとつの理由として健康な女に限つて色が黒いといふことも挙げることができる。
殴る
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
「お勢、
真個
(
ほんと
)
にお前は文三と何にも約束した覚えはないかえ。エ、有るなら有ると言ておしまい、
隠立
(
かくしだて
)
をすると
却
(
かえっ
)
てお前の為にならないヨ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
やや、消極的な傾向だが、謙虚に自分を顧みて、私のような生はんじゃくな人間は、
真個
(
ほんと
)
に自分の描くような愛の生活に価しないのだと、近頃思う。
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
『女は皆——の性質を持つてるつて
真個
(
ほんと
)
ですかつと言つたら、貴方とはこれから口を利かないつて言はれましたよ。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ブラドンはただ
真個
(
ほんと
)
の彼が出てきたにすぎないのだが、由来、ランカシャアの人は、田舎者の中でも道義感の強い頑固な人たちとなっているので、この
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
正木先生が
何故
(
なにゆえ
)
に、かかる光栄ある機会を前にして、行衛不明になられたかという
真個
(
ほんと
)
の原因に就ては今日まで、
何人
(
なんぴと
)
も考え及んだ者が在るまいと思います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一同 (手に手に石を
二
(
ふた
)
ツ取り、カチ/\と
打鳴
(
うちな
)
らして)魔が来た、でん/\。影がさいた、もんもん。(四五
度
(
たび
)
口々に
寂
(
さみ
)
しく
囃
(
はや
)
す)
真個
(
ほんと
)
に来た。そりや来た。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
死ぬのに
嘘
(
うそ
)
真個
(
ほんと
)
というのも変なものだが、これにはふとした一時の出来心や、見せつけてやろうという意地一方のものや、狂言なぞというのは絶えてありえない。
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
どうして
其様
(
そん
)
な
悪戯
(
いたづら
)
するんだい。女の児は女の児らしくするもんだぞ。
真個
(
ほんと
)
に、どいつもこいつも碌なものはありやあしねえ。自分の子ながら
愛想
(
あいそ
)
が尽きた。見ろ、まあ、進を。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
あゝいう境遇にいる
女性
(
おんな
)
だから、何うせ
清浄
(
きれい
)
なものであろう筈も無いのだが、何につけ事物を善く美しゅう、
真個
(
ほんと
)
のように思い込み勝ちな自分は、あのお宮が最初からそう思われてならなかった。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
しかし画業の難かしさまた
真個
(
ほんと
)
うの意味での妙味は、実はさうした嫌々に線を引くところまできて始めて、仕事の出発があるともいへよう。
小熊秀雄全集-19:美術論・画論
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
マア本田さん聞ておくんなさい、
真個
(
ほんと
)
にあの児の
銭遣
(
ぜにづか
)
いの荒いのにも困りますよ。
此間
(
こないだ
)
ネ試験の始まる前に来て、一円前借して持ッてッたんですよ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
真個
(
ほんと
)
に一人の人間が知り得る丈の事を知り、感じ得る丈の事を感じて、其処から力の及ぶ限り何物かを見出して行き度いものだと思わずにはいられない。
私の事
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
『可哀相よ、あの方は。………………………………………………………………………………………。………
真個
(
ほんと
)
に私あのお話を聞いてゐて、
恐
(
こは
)
くなつたことよ。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「ああ、聞いて見てくんねえ、
真個
(
ほんと
)
に肴ッ気が無くッちゃあ、台なし
身体
(
からだ
)
が弱るッていうんだもの。」
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だから
真個
(
ほんと
)
の悪魔というものは誰の眼にも止まらないで存在しているのだ——
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
真個
(
ほんと
)
に
図太
(
づな
)
い口の利きやうを為る。だから省吾は嫌ひさ。すこし
是方
(
こちら
)
が遠慮して居れば、何処迄いゝ気に成るか知れやしねえ。あゝ
必定
(
きつと
)
また蓮華寺へ寄つて、姉さんに何か言付けて来たんだらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
先の出て行った喬之助が
真個
(
ほんと
)
の喬之助なら、あとの、はいって来たほうの喬之助は、ベツの喬之助——別の喬之助てのも変だが、つまり、神田帯屋小路の喧嘩屋先生、茨右近にきまっているのだが
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
唯物的であることが、超現実派の作品を描かせなかつたとしたら、それは
真個
(
ほんと
)
うの意味のシュルレアリストではないのである。
小熊秀雄全集-19:美術論・画論
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
投書、当選ということは、
真個
(
ほんと
)
の芸術家に成ろうとするものにとってよい事か? 或はよくないことか? 岡田三郎氏は、まだ投書家的臭味を持って居る。
日記:07 一九二一年(大正十年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
『
真個
(
ほんと
)
ですよ。——優美な感情は好かつた。——あんな事をいふつてのは一種の生理的なんですね。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
真個
(
ほんと
)
だよ、
霰
(
あられ
)
だって、半分は、その海坊主が
蹴上
(
けあ
)
げて来る、波の
潵
(
しぶき
)
が交ってるんだとさ。」
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これこそ
真個
(
ほんと
)
うの油絵で、日本の洋画家は油絵を描くどころか、油絵といふ材料を満足に使ひこなせてゐないのだと痛感したものであつた。
小熊秀雄全集-19:美術論・画論
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
いくら彼方此方の大学で一生懸命に「短篇小説作法」を講義していても、講義し切れないものがあるのだから恐ろしい。
真個
(
ほんと
)
にひとのことではないと思う。
最近悦ばれているものから
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
お寝間のお
伽
(
とぎ
)
もまけにしてと——姉さん、
真個
(
ほんと
)
かい、
洒落
(
しゃれ
)
だぜ洒落だぜ洒落じゃねえ。
入
(
い
)
らっしゃい、お
一方
(
ひとかた
)
、お泊でございますよ。へい、お早いお
着様
(
つきさま
)
で、
難有
(
ありがと
)
う存じます。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
真個
(
ほんと
)
に行って来たよ』
火星の芝居
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
俺は
真個
(
ほんと
)
うは健康な女が嫌ひであつた。そのひとつの理由として健康な女に限つて色が黒いといふことも挙げることができる。
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
真個
(
ほんと
)
に自分が家をもらう積りに成って居た所へ重三が出て来て目算をがらりと崩して仕舞ったのを恨んで居ると外思えなかったので、非常な不安が湧き立って
お久美さんと其の周囲
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
真個
(
ほんと
)
に、結構な
御堂
(
おどう
)
ですな、
佳
(
い
)
い景色じゃありませんか。」
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其等の欠点に対しての自分は、
真個
(
ほんと
)
に何処までも謙譲ではありますけれども、此頃になって、あの作は私の一生の生活を通してかなり大切なものになって来ました。
沁々した愛情と感謝と
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
真個
(
ほんと
)
うにお可笑な方ね、お金が無くなれば、乞食のやうな惨めな気もちになつてしまふのね。
殴る
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
「そうかなあ、……雪女郎って
真個
(
ほんと
)
にあるんだってね。」
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若し出来るなら、
真個
(
ほんと
)
に一生彼の妻として終始したいと云う彼女の希望には
微塵
(
みじん
)
も嘘はありません。
ひしがれた女性と語る:近頃思った事
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
真個
(
ほんと
)
うにお可笑な方ね、お金が無くなれば、乞食のやうな惨めな気もちになつてしまふのね。
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
「
言
(
ことば
)
とがめをなすってさ、
真個
(
ほんと
)
にお人が悪いよ。」
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは
真個
(
ほんと
)
のおしゃれが低い意味での技巧で追つかないと同じで、心のおしゃれも、生々した感受性や、感じたものを細やかにしっとりと味わって身につけてゆく力や
女性の生活態度
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
個
常用漢字
小5
部首:⼈
10画
“真”で始まる語句
真
真似
真面目
真実
真直
真中
真紅
真暗
真赤
真鍮