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燈
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あか
ふりがな文庫
“
燈
(
あか
)” の例文
新字:
灯
彼はぼんやりその
燈
(
あか
)
りを見つめていると、やがて一台の大きな荷車と、それを牽いている一頭の逞ましい馬がはっきりと見えて来た。
乞食
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
さし上げている白い
肱
(
ひじ
)
に、
燈
(
あか
)
りの影と黒髪がさやさやとうごいて、
二月
(
きさらぎ
)
の晩のゆるい風には、どこか梅の
薫
(
かお
)
りがしていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紙をまとめて、机代りの箱の上にのせ、硯に
紙
(
かみ
)
の被をし筆を拭くと、左の手でグイと押しやって、そのまんま
燈
(
あか
)
りの真下へ、ゴロンと仰向になった。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
燈
(
あか
)
りに反いた内匠の顏は、心持少し蒼くは見えますが、決然たる
辭色
(
じしよく
)
は、それにも拘らず、
寸毫
(
すんがう
)
の搖ぎもありません。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
凌
(
しの
)
ぎつゝ親子が涙の
乾
(
かわ
)
く間もなく
僅
(
わづ
)
かの
本資
(
もとで
)
に
水菓子
(
みづぐわし
)
や一本菓子など
并
(
なら
)
べ
置
(
おき
)
小商
(
こあきな
)
ひの其の
隙
(
ひま
)
にはそゝぎ
洗濯
(
せんたく
)
賃仕事
(
ちんしごと
)
氷
(
こほ
)
る
油
(
あぶら
)
の
燈
(
あか
)
りを
掻立
(
かきたて
)
つゝ
漸々
(
やう/\
)
にして取續き女心の一ト
筋
(
すぢ
)
に
神佛
(
かみほとけ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
静かな空気を破って
媚
(
なま
)
めいた女の声が先ほどから岸で呼んでいた。ぼんやりした
燈
(
あか
)
りを
睡
(
ね
)
むそうに提げている百
噸
(
トン
)
あまりの汽船のともの方から、見えない声が不明瞭になにか答えている。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
垣根の間から立派なお
邸
(
やしき
)
が見えるよ。さつき赤ん坊の
欷
(
な
)
いてゐたお
邸
(
やしき
)
だ。たくさん
燈
(
あか
)
りがついてゐる。随分ひろびろしたお庭だ。もう赤ん坊は欷いてゐない。きつとお乳を
呑
(
の
)
んでゐるんだね。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
長閑
(
のどか
)
にお経を見ているようであったから、正信房がまだ
燈
(
あか
)
りも差上げなかったのに、とそっと座敷を窺うと左右の眼の
隈
(
くま
)
から光を放って文の表を照して見て居られたが、その光の明かなること
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
母は小さな仏壇に
燈
(
あか
)
りを入れてやかましく喚いてゐる。
現代詩
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
燈
(
あか
)
りの
漲
(
みなぎ
)
っている賑やかな広間であるにも拘らず、彼は何だか遠く
懸離
(
かけはな
)
れた、暗いところへ島流しにでもされたような気持がした。
孤独
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「——もうやがて夜が明けましょう。範宴どの、またあすの朝お目にかかります」
燈
(
あか
)
りだけをそこにおいて、聖覚法印は、
木履
(
ぼくり
)
の音をさせて、ことことと立ち去った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曲輪
(
くるわ
)
の
裏
(
うら
)
二
階
(
かい
)
眼隱
(
めかく
)
し板の
透間
(
すきま
)
より
仄
(
ほの
)
かに見ゆる
家毎
(
やごと
)
の
燈
(
あか
)
しお安は
不審
(
いぶかり
)
三次に向ひ爰は何と申所にやまた
那
(
あの
)
賑
(
にぎや
)
かのは何所なりと
訪
(
とは
)
れて三次は
振返
(
ふりかへ
)
り
那
(
あれ
)
か
那
(
あれ
)
がお江戸の吉原さお文さんは
那内
(
あのうち
)
に居られるのだ
而
(
して
)
お富さんの居るお屋敷もたんとは
離
(
はな
)
れて居らぬ故二人に今夜は
逢
(
あは
)
せて
進
(
あげ
)
んと
言
(
いは
)
れてお安は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
いつの間にか音楽が
歇
(
や
)
んで
燈
(
あか
)
りが暗くなったので、彼はふと眼をあけると、何だか非常に遠いところから帰って来たような感じがした。
孤独
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
燈
(
あか
)
りの流れている縁側と、彼の立っている廊下との間を、約九尺ほどの闇が中断していて、そこの暗い壁の露地に、武蔵はなにか好ましからぬ物の気配を感じたのである。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
店舗
(
みせ
)
にはみな煌々と
燈
(
あか
)
りがついて、通りかかる女たちも、人も、物も、すべてこの春の
黄昏
(
たそがれ
)
の幸福な安逸と、生の楽しさとを物語っていた。
孤独
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
武蔵が足を止めて
佇
(
たたず
)
んでいると、
燈
(
あか
)
りの
映
(
さ
)
している
彼方
(
あなた
)
の座敷らしい内から
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は今うとうとと眠りかけたが、ふと向うから馬の鈴の
音
(
ね
)
が聞えて来た。顔をあげると、
燈
(
あか
)
りが一つちらちらと街道を動いて来るのが見える。
乞食
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
右衛門七が、
燈
(
あか
)
りの下に出して見せたのは、半分に割れた板絵図だった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
後退
(
あとすざ
)
りをして、犠牲者の様子を覗きこんだ。小さな懐中電燈の
燈
(
あか
)
りだけでは、シャツの上から刺した
創口
(
きずぐち
)
がどんな風か、血が出たか
何
(
ど
)
うかも見分けがつかなんだ。
空家
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
声と共に、横窓の
小蔀
(
こじとみ
)
が、すこし上がって、
燈
(
あか
)
りが外へ流れたが
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は強いて寂しい微笑を口元に浮かべながら
暇
(
いとま
)
をつげた。そして当てもなく街を歩いているうちに、日はとっぷりと暮れて、
店頭
(
みせさき
)
には
燈
(
あか
)
りがついて、家々の窓が一つずつ明るくなっていった。
小さきもの
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
燈
(
あか
)
りは
灯
(
つ
)
いているが、返辞はない。十兵衛は舌打ちならして
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戸の下の隙間から
燈
(
あか
)
りが洩れていて、
室内
(
なか
)
に人の
跫音
(
あしおと
)
——やわらかい絨毯でさえも消すことが出来ないほど慌てた
跫音
(
あしおと
)
がしたので、彼は聴耳をたてた——やがてその
跫音
(
あしおと
)
が止んで、
燈
(
あか
)
りが消えた。
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
ジ、ジ、ジ……と
燈
(
あか
)
りの
蝋涙
(
ろうるい
)
が泣くように消えかかる。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「……もう
燈
(
あか
)
りが来たか」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
燈
部首:⽕
16画
“燈”を含む語句
燈火
提燈
燈明
軒燈
燈籠
油燈
行燈
電燈
燈光
幻燈
角燈
洋燈
街燈
走馬燈
燈台
高燈籠
点燈
御燈
燈影
燈心
...