へら)” の例文
吾は猶五形を殖やすべし、五形の枕は最も柔軟やはらかに頭ざはり善しと君ののたまひしかば。汝も金仙花をへらして蒲公英を増しては如何に。
花枕 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
奉公人も多人数たにんず居って多過ぎるからへらそうと思っているところだから、奉公に置く事も出来ません帰えって下さい、此の開明の世の中に
そして皆がしぼられたかすなんだ。俺達あみんな働きすぎたんだ。俺達あ食うために働いたんだが、その働きは大急ぎで自分の命をへらしちゃったんだ。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
これたいする對策たいさく如何いかんふと、海外かいぐわいかねりて在外資金ざいぐわいしきん補充ほじうはかるか、外國ぐわいこくからものへらす、すなは輸入超過ゆにふてうくわへらすか二つに一つしかないのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
誰でも変に感じられるが四五年以前ある僧が此処ここで腹をへらし前へも出られず、後へも戻れず、たちすくみになって、非常によわっていると、参詣の老人がそれを認めて
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
「このまま連れてゆくか、それとも引返すかどっちかだ。連れてゆくのなら、食料品が足りないから、今日から皆の食物の分量を四分の一ずつへらすよりほかない」
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さて食べる前にまた火へかけて葡萄酒ぶどうしゅを少し加えて赤茄子あかなすのソースをぜて米利堅粉めりけんこでその汁を濃くするのですが略式にすれば加える物をへらしても構いません。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
奉公に出さん事も口惜くちをしけれども外に工面くめんの致し方なく此上は一人の口をへらすより外なしと近所きんじよの口入を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二三すんから五六すんぐらゐまれには一しやくぐらゐなものもおこされる。みなへらしたやうな木片もくへんのみである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
我が若年ぢやくねんのころは鮏あまたとれたるゆゑそのあたひもいやしかりしが、近年はとりうる事すくなきゆゑ価もおのづからむかしにばいせり。年々たくみあらたにしてれふするゆゑ捕へらしたるならん。
ところが合せ剃刀は思ひのほか刄が厚いから、傷跡の肉のハゼるもので、この佐野松の傷の樣子では、使ひ込んで磨ぎへらした剃刀の、峯のなくなつた奴を使つたに相違あるまい
妓夫は怒るし、仕末に困つて、何うしようと思つて居ると、裏の馬小屋で、主人が居ないので、三日間食はずに、腹をへらして居つた、栗毛の三歳が、物音を聞き付けて、一声高くいなゝいた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
ウエーバーと云ふ生理学者は自分の心臓しんぞうの鼓動を、増したり、へらしたり、随意に変化さしたと書いてあつたので、平生から鼓動を試験するくせのある代助は、ためしにつて見たくなつて
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
スキの方をへらさうなんてチヤンチヤラ可笑をかしい
玩具の賦:昇平に (新字旧仮名) / 中原中也(著)
それならば財政ざいせい整理緊縮せいりきんしゆくをし、國民こくみん消費節約せうひせつやくをして海外かいぐわいからものへらし、海外かいぐわい支拂しはら資金しきん必要ひつえうへらしてもつてこの難局なんきよくすくふよりほかみちはないのである
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
へらしてかへつてよく切れるからと、私から貰つて、自分で使つて居りました
一方の籠の梨を少しへらしまして、それへ彼奴あいつを載せ、忰と梨とをわたくしがこうかついで、乳を貰いながら商売を致して、何うやら斯うやら十二の年齢としまで丹誠して、お店へ奉公に遣りましても
其翌日から三四郎は四十時間の講義を殆んど、半分にへらして仕舞つた。さうして図書館に這入つた。広く、長く、天井が高く、左右に窓の沢山ある建物であつた。書庫は入口いりぐちしかえない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いで途中にても※らず長逗留なし醫藥其他共後藤の世話になりしとはいふものゝ追々にかねつかへらしければ此上江戸見物などにつかすてる貯へなきゆゑたゞれいのみ云て一度も同道せし事なく日々宿屋にばかり居て誠に退屈勝たいくつがちなれば夫婦はひたひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)