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栄耀
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えいよう
ふりがな文庫
“
栄耀
(
えいよう
)” の例文
旧字:
榮耀
眼の前の無常を見て夢の中の
栄耀
(
えいよう
)
を
厭
(
いと
)
わねばなりません。とりわけて亡き父上の御遺言が耳の底に止まって心のうちに忘れられません。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この二箇処へ出入りして道ならぬ
栄耀
(
えいよう
)
をなす女らを人々皆
後指
(
うしろゆび
)
さして、琉球や朝鮮の毒を受けたら最後骨がらみになると言ひはやしき。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
うちのだんなは特別食い
栄耀
(
えいよう
)
のおかただから、いちばん上等をくれろといってな、値段にかまわず飛びきり一品を買ってきなよ。
右門捕物帖:28 お蘭しごきの秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
苦労をさせたことを忘れないので銀子のことは銀子の好きなようにさせ、娘を
操
(
あやつ
)
って自身の
栄耀
(
えいよう
)
を図ろうなどの
目論見
(
もくろみ
)
は少しもなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
今は主君と先祖の恩恵にて
飽食
(
ほうしょく
)
暖衣
(
だんい
)
し、妻子に
驕
(
おご
)
り家人を
責
(
せめ
)
つかい、
栄耀
(
えいよう
)
にくらし、槍刀はさびも
拭
(
ぬぐ
)
わず、
具足
(
ぐそく
)
は土用干に一度見るばかり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
元来、劉玄徳は、少年早くより
貧賤
(
ひんせん
)
にそだち、その青年期には、各地を流浪し、まだ人間の富貴
栄耀
(
えいよう
)
の味は知りません。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのぬすっとも、これだけの金、うぬが
栄耀
(
えいよう
)
栄華に使おうと言うんじゃねえ、何十という人の命が助かるのだ。
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
貴様が、自分の
栄耀
(
えいよう
)
に眼がくらんで、子をかまいつけなんだように、わしは、わし自身の
芸術
(
たくみ
)
の心にのみしたがって、貴様のことなど、意にも
介
(
かい
)
せんのじゃ。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ひとつには、再び来ないであろう彼らの
栄耀
(
えいよう
)
の日に、ここで別れたと追想するよすがにしたい気持であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
自分は
贓品買
(
ぞうひんか
)
いの大罪を許して貰って、ぬくぬくと
栄耀
(
えいよう
)
をつづけている、麹町六丁目の桜屋六兵衛一家。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
栄耀
(
えいよう
)
なる牧師というものは一つの矛盾である。牧師は貧しき人々に接触していなければならない。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
晨
(
あした
)
に金光を
鏤
(
ちりば
)
めし
満目
(
まんもく
)
の雪、
夕
(
ゆうべ
)
には
濁水
(
じょくすい
)
と
化
(
け
)
して
河海
(
かかい
)
に落滅す。
今宵
(
こんしょう
)
銀燭を
列
(
つら
)
ねし
栄耀
(
えいよう
)
の花、暁には
塵芥
(
じんかい
)
となつて泥土に
委
(
い
)
す。三界は波上の
紋
(
もん
)
、一生は
空裡
(
くうり
)
の虹とかや。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
玉垣
(
たまがき
)
をめぐらしたその小高い御陵は、
鬱蒼
(
うっそう
)
たる雑木に
蔽
(
おお
)
いつくされ、昼なお暗い樹間には、
古
(
いにしえ
)
の
栄耀
(
えいよう
)
を思わすごとく
蔦葛
(
つたかずら
)
の美しく紅葉して垂れさがっているのが仰ぎ見られた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
知事様の奥方男爵夫人と人にいわるる
栄耀
(
えいよう
)
も物かは、いっそこのつらさにかえて
墓守爺
(
はかもり
)
の
嬶
(
かか
)
ともなりて世を楽に過ごして見たしという考えのむらむらとわきたることもありしが
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
抑
(
そもそ
)
も彼がこの家に
嫁
(
とつ
)
ぎしは、
惑深
(
まどひふか
)
き娘気の一図に、
栄耀
(
えいよう
)
栄華の欲するままなる身分を願ふを旨とするなりければ、始より夫の愛情の如きは、有るも善し、有らざるも更に善しと
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
……妹はこの数年間の嫂の
変貌振
(
へんぼうぶ
)
りを、——それは戦争のためあらゆる困苦を
強
(
し
)
いられて来た自分と比較して、——戦争によって
栄耀
(
えいよう
)
栄華をほしいままにして来たものの姿として
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
木賃宿
(
きちんやど
)
、其れ等に雨雪を
凌
(
しの
)
ぐのは、乞食仲間でも
威張
(
いば
)
った手合で、其様な
栄耀
(
えいよう
)
が出来ぬやからは、村の
堂宮
(
どうみや
)
、畑の中の
肥料
(
こやし
)
小屋、止むなければ北をよけた
崖
(
がけ
)
の下、雑木林の落葉の中に
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
今夜からの貴様の役はそんな
暢気
(
のんき
)
なものではない、われわれの申付けを守って
温和
(
おとな
)
しくしておれば
栄耀
(
えいよう
)
栄華な一生が送れる、が、申付けを守らず、ちょっとでも詰らぬ失策をすると縛り首だ
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ますます
栄耀
(
えいよう
)
の身となったゆえ、もはや、旧悪が暴露するうれいもないと考えているのであろう、一味の
奴原
(
やつばら
)
が、われとわれから、そなたの面前に、みにくい顔をさらして見せたも、こりゃ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
復
(
ま
)
た当年の
苦艱
(
くかん
)
を
顧
(
かえり
)
みる者なく、そが細君すらも
悉
(
ことごと
)
く虚名虚位に
恋々
(
れんれん
)
して、
昔年
(
せきねん
)
唱えたりし主義も本領も失い果し、一念その身の
栄耀
(
えいよう
)
に
汲々
(
きゅうきゅう
)
として借金
賄賂
(
わいろ
)
これ本職たるの有様となりたれば
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
すべての
栄耀
(
えいよう
)
は人に具わるもの、そねむなかれ、という呪文を朝晩唱えるようになったからね。しかし、あなたが丈夫になって、ぼくも嬉しいです。世の大人物はあげてぼくを虐待するからね。
街はふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
まことに
綺羅
(
きら
)
を飾って
栄耀
(
えいよう
)
の
真似
(
まね
)
はしているけれども、これらの子女、いずれも好きこのんでこの里へ来ているものはない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「戦いがやみさえすれば、暮し向きも気楽になり、諸事以前のような
栄耀
(
えいよう
)
が見られると存じまして。つい……」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人はかかる
言草
(
いいぐさ
)
を耳にせば
直
(
ただち
)
に
栄耀
(
えいよう
)
の餅の皮といひ
捨
(
す
)
つべし。されど芸術を味ひ楽しむ心はもと貧富の別に関せず。深刻の
情致
(
じょうち
)
は何事によらずかへつて富者の知らざる処なり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
危機の最後の決定的瞬間を
喚
(
よ
)
び起こしてる間に、一方、その致命的なる一郭の外遠くに、幸福
栄耀
(
えいよう
)
なるパリーの光耀の下に隠れてるその古いみじめなるパリーの底知れぬ
洞窟
(
どうくつ
)
の深みに
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「そういうのを
栄耀
(
えいよう
)
の餅の皮と云うのじゃあございませんか」
野分
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いや先生、ご胸中はお察しいたしますが、いかに世が末になっても、罪なき者が罰せられて、悪人や奸吏がほしいままに、
栄耀
(
えいよう
)
を
全
(
まっと
)
うすることはありません。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大名とか殿様という奴等は、自分の権力や
栄耀
(
えいよう
)
を肩に着て、いつも若い女の
操
(
みさお
)
を弄び、いい加減の時分にそれを突き放してしまうものであると、米友は今や信じきっているのであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
殊に今宵の玄蕃には、折角立身出世の
戸端口
(
とばくち
)
に来て、下手をやっては詰らない、できるだけ逃げて
栄耀
(
えいよう
)
をするに
如
(
し
)
くはなし、という一つの弱気が先に立っていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは花の都に
栄耀
(
えいよう
)
栄華を極めているに越したことはございますまいけれど、居るには居られず、住むには住まわれないから、よんどころなく、こんな山奥の奥へ落ちて来たものでしょう
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それを旅川が
不憫
(
ふびん
)
がって、自分の妻に立て、駿河台の元の屋敷に住むように——いや、それよりもっと
栄耀
(
えいよう
)
をさせてやろうというんじゃねえか。何をメソメソ泣くことがあるんだ
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妾
(
めかけ
)
、てかけを置いて
栄耀
(
えいよう
)
しようというわけじゃなし、これがまあ本当に宝の持腐れというやつかも知れませんが、金というやつは皮肉なやつで、欲しくないところへは無暗に廻って来るし
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
美禄
(
びろく
)
を
獲
(
え
)
てのめのめと自己のみ半生の
栄耀
(
えいよう
)
を
偸
(
ぬす
)
むような鹿之介幸盛であろうはずはない。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「はたから見れば
栄耀
(
えいよう
)
の身じゃが、あの通子もかえって妾より苦労であろう……」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この
老猪
(
ろうちょ
)
め、なにをいうか。良民の
膏血
(
こうけつ
)
をなめ喰って脂ぶとりとなっている
惰眠
(
だみん
)
の賊を、
栄耀
(
えいよう
)
の巣窟から追い出しにきた我が軍勢である。——眼をさまして、
疾
(
と
)
く古城を献じてしまえ」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
将軍家づきの御中﨟として、大奥に仕える身となった通子は、間もなく、天麗の美質を家綱に見出され、その愛妾となり、四代将軍の寵を一身にあつめ、千代田城に時めく
栄耀
(
えいよう
)
の人となった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“栄耀”の意味
《名詞》
栄耀(えいよう 古くは えよう)
高い地位に着くこと。
贅沢な暮らしをすること。
(出典:Wiktionary)
栄
常用漢字
小4
部首:⽊
9画
耀
漢検準1級
部首:⽻
20画
“栄耀”で始まる語句
栄耀栄華
栄耀贅沢