東北とうほく)” の例文
徳利式とくりしき貝塚土器かひづかどきは、東北とうほくおほくして、關東くわんとうにははなはすくない。——ないことはないが、たとしたら異例ゐれいつてもい。
僕はこの事実を発見した時、西国さいこくの河童は緑色であり、東北とうほくの河童は赤いという民俗学上の記録を思い出しました。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのとき、汽車きしゃは、野原のはらや、またおかしたや、むらはずれや、そして、おおきなかわにかかっている鉄橋てっきょううえなどをわたって、ずんずんと東北とうほくほうかってはしっていたのでした。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、芥川あくたがはさんがえいじて以来いらい、——東京府とうきやうふこゝろある女連をんなれんは、東北とうほく旅行りよかうする亭主ていしゆためおかゝのでんぶと、焼海苔やきのりと、梅干うめぼしと、氷砂糖こほりざたう調とゝのへることを、陰膳かげぜんとゝもにわすれないことつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これに觀察かんさつ阿蘇山あそざん嘉元三年かげんさんねん三月三十日さんがつさんじゆうにち西暦せいれき千三百五年せんさんびやくごねん五月二日ごがつふつか)の午後四時頃ごごよじごろ地中ちちゆうから太陽たいようごと火玉ひだまみつそらのぼり、東北とうほくほうつたといふことがある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
不思議ふしぎにものやうな速力そくりよくで、東北とうほくほうから西南せいなんほうへとながれてるのであつた。
東北とうほく地方は一躰いったい関西かんさい地方や四国しこく九州きゅうしゅうの辺とちがって、何だか薄暗い、如何いかにも幽霊が出そうな地方だが、私がこの夏行った、陸中国遠野郷りくちゅうのくにとおのごう近辺あたりも、一般に昔からの伝説などが多くあるところだ。
テレパシー (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
東北とうほくに子の住む家を見にくれば白き仔猫がすず振りゐたり
東北の家 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
天もあはれみ給ふにや風雨のうれひなく十日餘りもたち川崎宿かはさきじゆくへ着て御所刑場おしおきば是より何程なにほどあるやとたづねしに品川の手前に鈴ヶ森と云所こそ天下の御仕置場おしおきばなり尤も二ヶ所あり江戸より西南の國にて生れし者はすゞもりまた東北とうほくの國の生れなれば淺草あさくさ小塚原こつかはらに於て御仕置に行はるゝと云由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
読者どくしやるや、とんさんと芥川あくたがは……あゝ、面影おもかげえる)さんが、しか今年ことしぐわつ東北とうほくたびしたときうみわたつて、函館はこだてまづしい洋食店やうしよくてんで、とんさんが、オムレツをふくんで、あゝ、うまい、とたん
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きよの田舎いなかは、とおい、東北とうほくのさびしいむらでありました。
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)