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攪乱
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かくらん
ふりがな文庫
“
攪乱
(
かくらん
)” の例文
旧字:
攪亂
こうした夢、こうした病的な夢は、いつも長く記憶に残って、
攪乱
(
かくらん
)
され興奮した人間の
組織
(
オルガニズム
)
に、強烈な印象を与えるものである。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
個人生活を
虐
(
しいた
)
げ、世界生活の平和を
攪乱
(
かくらん
)
して置いて、ひとり国民生活が幸福に成長し得るものでないことも明白になりました。
三面一体の生活へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
あわよくば、その領を
蚕食
(
さんしょく
)
すべく、つねに積極的な他の土豪の
乱波
(
らっぱ
)
(第五列)が、純朴な農民をそそのかして、すぐ
攪乱
(
かくらん
)
を計るものらしい。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また屍様図を描き魔法典
焚書
(
ふんしょ
)
を行ったりして、犯罪方法を暗示したり捜査の
攪乱
(
かくらん
)
をあらかじめ企てたという事が、はたして
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それがためにかえって画面の明暗の調子を
攪乱
(
かくらん
)
し減殺し、そうして過度の刺激によって目を疲らせるばかりであるから
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
彼らは、この三月に行われる総選挙を
攪乱
(
かくらん
)
して、それを機会に、ベニイ一派に痛手を負わそうと勇み立っているのです。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
一方東軍では、和泉の工匠を雇入れて砲に類するものを作らせ、盛んに石木を発射せしめて敵陣を
攪乱
(
かくらん
)
させたと云う。
応仁の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
またあの女が臼杵家に入り込んで、まことしやかな虚構を吐いて、臼杵家を
攪乱
(
かくらん
)
しようと思っているに違いない。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
徐州を
挾
(
はさ
)
みうちにするだろうと考えて、
淪陥区
(
ルエンクワンチュイ
)
(日本では占領区域と呼んでいた)の後方
攪乱
(
かくらん
)
に力を入れていた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
その
凶報
(
きょうほう
)
はおだやかなりし老人の胸を
攪乱
(
かくらん
)
したばかりでなく、
宵祭
(
よいまつ
)
りを
祝
(
いわ
)
うべき平和な家庭をもかきにごした。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この、人間を
蠅
(
はえ
)
のように殺し、人間のこしらえた文明を玩具のように破壊した大地震は、言わば私の心の中までもゆすぶって、すっかり平衡を
攪乱
(
かくらん
)
してしまった。
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
ただ長い間のどうすることも出来ない窮乏や孤独や絶望が、彼の頭を
攪乱
(
かくらん
)
してしまった。それに今は朝鮮という特殊な社会が彼を益々混迷にぶち込んだのである。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
この
理由
(
わけ
)
の
解
(
わか
)
らぬ
煩悶
(
はんもん
)
が
怪
(
あや
)
しくも
絶
(
た
)
えず
彼
(
かれ
)
の
心
(
こころ
)
を
攪乱
(
かくらん
)
して、
書物
(
しょもつ
)
を
読
(
よ
)
むにも、
考
(
かんが
)
うるにも、
邪魔
(
じゃま
)
をする。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ユダヤ国を
攪乱
(
かくらん
)
するおそれによってその愛国者を怒らせた。では彼は何をしたか。彼はその無上愛によって三世にわたっての人類を自己の内に摂取してしまった。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
敵の前線を馬で突破し、一挙に内陣を
攪乱
(
かくらん
)
する奇襲隊の役である、したがって家中では槍術が
旺
(
さか
)
んにおこなわれた、それも騎乗と
徒
(
かち
)
とを兼ねる秋田家独特の技法があり
足軽奉公
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その時代の一つの魂が烈しく動揺せられ
攪乱
(
かくらん
)
せられたものであること、主観を脱落しなければならないまでに悶えたり冷笑したりしたものであることを発見することが出来る。
西鶴小論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
かくの如き者が
何
(
なん
)
と口の先に礼を説こうとも、秩序を説こうとも、道徳を説こうとも、その野卑な言葉、その言葉の暗示の力というものは国民の思想を
攪乱
(
かくらん
)
しないでは済まぬ。
政治趣味の涵養
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それでいて蔬菜が底の方からむらなく
攪乱
(
かくらん
)
されるさまはやはり
手馴
(
てな
)
れの
技倆
(
ぎりょう
)
らしかった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかるに
一度
(
ひとたび
)
この器械的の労力が金に変形するや否や、急に
大自在
(
だいじざい
)
の
神通力
(
じんずうりき
)
を得て、道徳的の労力とどんどん引き換えになる。そうして、勝手次第に精神界が
攪乱
(
かくらん
)
されてしまう。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
攪乱
(
かくらん
)
して、本艇が平衡点に吸込まれるのを懸命に阻止することにある。分るかね
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
空にはキラキラ白く光る雲の片が漂って、風はガラス戸を鳴らしトタンを鳴らし、ましてや
椿
(
つばき
)
、青木などの闊葉を眩ゆく
攪乱
(
かくらん
)
するので、まったく動乱的荒っぽさです。春の空気の擾乱です。
獄中への手紙:02 一九三五年(昭和十年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
静謐な姿勢をとっているが、どこかに兇暴な面影を秘めて、何かを懸命に耐えているような趣がある。正面から間近に御顔をみると悟達の静寂さは少く、
攪乱
(
かくらん
)
するような魔術者の面影が濃い。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
……警察に手紙のことを告げようか?——それは陰口を明るみにさらすこととなるだろう。……知らないふうをしていようか? もはやそれもできなかった。彼らの
友誼
(
ゆうぎ
)
はもう
攪乱
(
かくらん
)
されていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
何物かを触感しようとする肉感的な唇——男性の夜半に眼覚めて
攪乱
(
かくらん
)
されて眠れず突然現れた思想を追求しようとするいたましい人間の姿、この激情的な、感激的な、空想的な、偉大な彫刻の中に
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
いつの間にか十本から上の酒を
矢継早
(
やつぎばや
)
に腹に入れていた。しきりと思い出される照葉の想念を追いやるごとくにしながら、くくれた顎の似ていることが、彼をけしかけるように彼の心意を
攪乱
(
かくらん
)
した。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
足許
(
あしもと
)
から飛行機が飛び出したように、屑屋が、この情にからんだ気流を
攪乱
(
かくらん
)
して行って、兵馬が射空砲のように、そのあとを追いかけた時分になって、そろそろと柳の木蔭から歩み出して来たのは
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そう勝手に台所の権利を
攪乱
(
かくらん
)
するわけには行きませんから、何んとか
旨
(
うま
)
い案を考えて、その目当てのものを
占領
(
せし
)
めてやろうと、店で仕事をしながら考えましたが、ここに一つ名案が浮かんで来たので
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そして寄手を
攪乱
(
かくらん
)
せしめ、使いを派して、こちらは
劉玄徳
(
りゅうげんとく
)
と結託します。玄徳は温良高潔の士、必ず今でも、あなたの苦境は見捨てますまい
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分が、生れて始めて会ったと思うほどの美しい女性から、
唯
(
ただ
)
一人の理解者として、馴々しい信頼を受けたことが、彼の心を
攪乱
(
かくらん
)
し、彼の心を有頂天にした。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
紐育
(
ニューヨーク
)
ウオール街の金権者団体を背景とする新タマニー・ホール一派の手先でありまして、内密にハウス大佐の指揮に属し、国際的の平和
攪乱
(
かくらん
)
を請負業と致しております
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
候補者としてこの際立った党人はあらゆる苦肉の計を用いて選挙人の良心と理性とを
攪乱
(
かくらん
)
し誘惑しようと試みるであろう。明治の選挙人と大正の選挙人とは大抵同一の人である。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
けれども、戦慄とか恐怖とか
雀躍
(
こおどり
)
とかいうような程度の高度の神経細胞の
攪乱
(
かくらん
)
を与えられたことはなかった。そこに、この作者のみならず、恐らく一般探偵小説の一歩前進を期待してやまない。
『心理試験』を読む
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
太平の夢はこれらのエンジンの騒音に
攪乱
(
かくらん
)
されてしまったのである。
からすうりの花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
これよりして東方の平和を
攪乱
(
かくらん
)
するにも至るであろう。その結果、支那は非常に困難なる運命に陥る。ここに於てか日本は退守的なるを得ない。あくまで積極的に支那を
扶
(
たす
)
けて立たなければならぬ。
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
それらを操って、内部の時務を怠らせ、外部からは、流言や放火やさまざまな不安を起して、
攪乱
(
かくらん
)
を計った。武芝のこの逆戦法も成功した。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
太平の夢はこれらのエンジンの騒音に
攪乱
(
かくらん
)
されてしまったのである。
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
非凡人主義の役に立たない理由はこれである。一体実行せずに高尚な理屈をいったところでそれが何になる。いうて社会を
攪乱
(
かくらん
)
するよりはむしろいわずに実行し易き事を実行した方がいいではないか。
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
なお、
仔細
(
しさい
)
をきいてみると、張横は得意の水戦を用いて、敵の
攪乱
(
かくらん
)
に出かけ、かえって敵の
計
(
はかり
)
におちて捕われたもの。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この主義に背くということは、支那をしてせっかく日本に頼るところの意を失わしむることになる。これを失えばどうなるかというと、支那の不利益、日本の不本意、平和の
攪乱
(
かくらん
)
という結果を生ずる。
東亜の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
曹操は、前夜、自己の中軍を
攪乱
(
かくらん
)
された不愉快な思いを、きょうは万倍にもして取り返した。孫権がわずかな将士に守られて、濡須の下流へ落ちて行くと見るや
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今、
濮陽城
(
ぼくようじょう
)
は留守の兵しかいません。呂布は
黎陽
(
れいよう
)
へ行っているからです。即刻、閣下の軍をお進め下さい。わたくしどもは機を計って内応し、城中から
攪乱
(
かくらん
)
します。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのごも謀将北畠親房が、さかんに第五列を都へ送って、後方
攪乱
(
かくらん
)
の
実
(
じつ
)
を上げていた折でもあった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あるときは、山上の大講堂
文珠楼
(
もんじゅろう
)
のあたりまで
攪乱
(
かくらん
)
して、山門の皇居をさえ
脅
(
おびや
)
かしたことすらある。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところへ、昨夜、内部から裏切って、前線の味方を
攪乱
(
かくらん
)
した
韓暹
(
かんせん
)
、
楊奉
(
ようほう
)
の二部隊が、突然、間道を縫って、谷あいの一方にあらわれ、袁術の中軍を側面から衝いた。そのため
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「武蔵とやら、気の毒ながらそちらの計策は破れたぞ。——察するに、何者かに頼まれ、この小柳生城を探りに来たか、或は御城内の
攪乱
(
かくらん
)
を
目論
(
もくろ
)
んで来たものに違いあるまい」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いくら俺たちが暴れ廻ろうたって、俺たちの
背後
(
うしろ
)
から、軍費や兵器をどしどし廻してくれる黒幕がなくっちゃ、こんな短い年月に、後漢の天下を
攪乱
(
かくらん
)
することはできまいじゃねえか」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さすが袁紹の
帷幕
(
いばく
)
、よほど鬼謀の軍師がいるとみえ、地の底を掘って、日夜、坑道を掘りすすめ、とうとう城中に達して、放火、
攪乱
(
かくらん
)
、
殺戮
(
さつりく
)
の不意討ちをかけると共に、外からも攻めて
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
攪乱
(
かくらん
)
せんとたくらんできたにちがいあるまい。そんな甘手にのる劉岱ではないぞ
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さきに遠州灘の遭難から
常陸
(
ひたち
)
へただよいついた北畠親房は、そのご筑波の小田城や関城に拠って、大いに東国を
攪乱
(
かくらん
)
していたが、ことしついに関城も破られたため、またひそかに吉野へ帰って来て
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“攪乱”の意味
《名詞》
攪 乱(こうらん 「かくらん」は百姓読みであるが慣用として認められる 別表記:撹乱)
かきみだす、混乱させること。
(出典:Wiktionary)
攪
漢検準1級
部首:⼿
23画
乱
常用漢字
小6
部首:⼄
7画
“攪乱”で始まる語句
攪乱者
攪乱戦
攪乱策
攪乱隊
攪乱蹂躙