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持直
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もちなほ
取な
早々用意を致せと
云言葉に隨て然ば御先へと又
短刀を
持直しあはや只今
突立んとする時亦々
廊下に
物音凄じく聞えければ越前守何事やらん
今暫くと忠右衞門を
身體が
惡るくば
藥も
呑むがよし、
御醫者にかゝるも
仕方がなけれど、お
前の
病ひは
夫れではなしに
氣さへ
持直せば
何處に
惡い
處があろう、
少しは
正氣に
成つて
勉強をして
下されといふ
第一
番には
大野氏が
入る
筈だからと
考へながら、
猶今一
度窟の
底部を
照らして
見やうとして、
龕燈を
持直す
途端に、
余の
足は
入口のくづれたる
岩面を
踏んだので、ツル/\と
穴の
中へ
濘り
落ちた。
恐ろしいより、
夢と
知れて、
嬉しさが
前に
立つた。
暫時茫然として
居たが、
膚脱ぎに
成つて
大汗をしつとり
拭いた、
其の
手拭で
向う
顱卷をうんと
緊めて、
氣を
確乎と
持直して、すた/\と
歩行出す。
話せしかば長兵衞も是はお常の
仕業ならんにより
捨置べしとは思ひけれども庄三郎が
達ての頼みを
聞ざるも
氣の
毒と思ひ長兵衞申は
何卒身代を
持直し給へ
殊に先祖代々の
地面を
と
云つて、
杖をまつすぐに
持直すと、むかうで
長頭が、
一つ
幽な
咳。
恐しいよりも、
夢と
知れて
嬉しさが
前に
立つた。
暫時茫然として
居た。が、
膚脱ぎに
成つて
冷汗をしつとり
拭いた。
其の
手拭を
向う
顱卷、うんと
緊めて
氣を
確乎と
持直して、すた/\と
歩行出した。
と
口を
結んで
前途を
見遣つた、
眉が
顰んで、
婦は
洋傘を
持直す。