持直もちなほ)” の例文
取な早々はや/″\用意を致せといふ言葉ことばに隨て然ば御先へと又短刀たんたう持直もちなほしあはや只今突立つきたてんとする時亦々廊下らうか物音ものおとすさまじく聞えければ越前守何事やらん今暫いましばらくと忠右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
身體からだるくばくすりむがよし、御醫者おゐしやにかゝるも仕方しかたがなけれど、おまへやまひはれではなしにさへ持直もちなほせば何處どこわるところがあろう、すこしは正氣しようきつて勉強べんきようをしてくだされといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だいばんには大野氏おほのしはづだからとかんがへながら、なほいまいはや底部ていぶらしてやうとして、龕燈がんどう持直もちなほ途端とたんに、あし入口いりくちのくづれたる岩面いはづらんだので、ツル/\とあななかすべちた。
おそろしいより、ゆめれて、うれしさがさきつた。暫時しばし茫然ばうぜんとしてたが、膚脱はだぬぎにつて大汗おほあせをしつとりいた、手拭てぬぐひむか顱卷はちまきをうんとめて、確乎しつか持直もちなほして、すた/\と歩行出あるきだす。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はなせしかば長兵衞も是はお常の仕業しわざならんにより捨置すておくべしとは思ひけれども庄三郎がたつての頼みをきかざるもどくと思ひ長兵衞申は何卒なにとぞ身代しんだい持直もちなほし給へことに先祖代々の地面ぢめん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つて、つゑをまつすぐに持直もちなほすと、むかうで長頭ながあたまが、ひとかすかしはぶき
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おそろしいよりも、ゆめれてうれしさがさきつた。暫時しばらく茫然ばうぜんとしてた。が、膚脱はだぬぎにつて冷汗ひやあせをしつとりいた。手拭てぬぐひむか顱卷はちまき、うんとめて確乎しつかり持直もちなほして、すた/\と歩行出あるきだした。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くちむすんで前途ゆくて見遣みやつた、まゆひそんで、をんな洋傘かうもり持直もちなほす。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)