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抑々
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そもそも
ふりがな文庫
“
抑々
(
そもそも
)” の例文
当時本所一つ目辺に住んでいた神下しの婆の所へ、ちと心配な筋があって、伺いを立てに行ったと云う、それが
抑々
(
そもそも
)
の発端なのです。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
殺人罪といったような不道徳を怪人が解せなかったのも、
抑々
(
そもそも
)
植物には情感のないことを考えてみてもよく判ることではないか。……
科学時潮
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
抑々
(
そもそも
)
十八世紀のイギリス文学には何故ロビンソン風の漂流物語が多く出たのか、そのことと旺盛な植民事業の発展とは当時の一般風俗
風俗の感受性:現代風俗の解剖
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
抑々
(
そもそも
)
卓一と会つた第一日、越後新報の編輯室で交した話が、だしぬけに喜楽なのである。それが心の軌道をつくつてゐるのであらうか。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
抑々
(
そもそも
)
我輩が小野君と相識ったのは、同君の義兄たる
小野義真
(
おのぎしん
)
君の紹介によったので、小野義真君は当時大蔵省に勤め我輩の配下であった。
東洋学人を懐う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
▼ もっと見る
いつも何かに包み隠されている、ちっぽけな、不気味な怪物とは、
抑々
(
そもそも
)
何者であったか。そいつは果して殺人団の真の首領であったのか。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
只今のおのおのの
申条
(
もうしじょう
)
を御名代に申し上げた。それに就いて御沙汰があるから承れ。
抑々
(
そもそも
)
この度の事件では、お上御両所共非常な御心痛である。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
田もかくれぬ畑もかくれぬ、日毎に眺むる彼の森も空と
同一
(
ひとつ
)
の色に成りぬ、あゝ師の君はと是れや
抑々
(
そもそも
)
まよひなりけり。
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
教場でこそあれ、二人だけで口を利くのは、
抑々
(
そもそも
)
生れて以来
最初
(
はじめて
)
である。が、これは教場以外ではいかなる場合にても、こうであろうも計られぬ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
斯様な
主題
(
テーマ
)
に就いて研究を初めました
抑々
(
そもそも
)
の動機と申しますのは、正木先生の唱え出された『精神科学』そのものの内容が、あまりに恐怖的な原理
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
抑々
(
そもそも
)
愛とは何だ? 之からして分っているのか? 定義を求めているのではない。自己の経験の中から直ぐに引出せる答を有っているか、というのだ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それともお互いによく話が
会得
(
のみこ
)
めないで、
抑々
(
そもそも
)
その品物が何だったか、うっかり忘れているんじゃありませんかね。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
鹿川先生といふは、
抑々
(
そもそも
)
の
創始
(
はじめ
)
から此学校と運命を
偕
(
とも
)
にした、既に七十近い、徳望県下に鳴る老儒者である。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
或時友達と二人でその店へ上ったが、それが
抑々
(
そもそも
)
私が東京で牛肉屋というのへ足踏みをしたはじめだった。
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
「
抑々
(
そもそも
)
当流ノ元祖戸田清玄ハ宿願コレ有ルニヨツテ、加賀国白山権現ニ一七日ノ間、毎夜
参籠
(
さんろう
)
致ス所、
何処
(
いづこ
)
トモナク一人ノ老人来リ御伝授有ルハ
夫
(
そ
)
レコノ流ナリ」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
牛目づかいと云いて人の
疎
(
うと
)
む目づかいのみに得知らぬ
意
(
こころ
)
を動かして何をか訴うるや、嗚呼、牛、汝何ぞ
拙
(
つたな
)
くも牛とは生れしぞ、汝今
抑々
(
そもそも
)
何の罪ありて其苦を受くるや
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
抑々
(
そもそも
)
私は測鉛のやうに、身自らの重量に浸つてゐることのほか、何等の興味を感じない。
散歩生活
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
抑々
(
そもそも
)
忠孝といい、仁義といい、礼智信といい、人倫の根本となるべきものは親子である。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
抑々
(
そもそも
)
宇宙とはどの位の広さの有るものかと考へるに、晴天の夜に当つて天を仰げば、一面に星が見えるが、我が太陽系に属する若干の遊星を除けば、他は総べて太陽と同じ様な恒星で
人類の誇大狂
(新字旧仮名)
/
丘浅次郎
(著)
抑々
(
そもそも
)
「象徴」とは何だろうか? 一言にして言えば、象徴の本質は「
形而上
(
メタフィジック
)
のもの」を指定している。本質に於て形而上的なるすべてのものは、芸術上に於て象徴と呼ばれるのである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
然し、そういう、一流の上品な味よりも、天ぷらを食うなら、天丼が一番
美味
(
うま
)
い。と言ったら、驚かれるだろうか。
抑々
(
そもそも
)
、天ぷらって奴は、昔っから、
胡麻
(
ごま
)
の油で揚げてたものなんです。
下司味礼賛
(新字新仮名)
/
古川緑波
(著)
私が、以上を主張するのには、
抑々
(
そもそも
)
次の三つの根拠を有するのである。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「われらがこの地のあるじとなった
抑々
(
そもそも
)
の日の日附け」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「その綺麗なのが
抑々
(
そもそも
)
間違いの
因
(
もと
)
で」
銭形平次捕物控:238 恋患い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「細かな事まで一々覚えていられるものか? いずれ相談会へ持ち出すだろう。——が、相談会そのものが今時、
抑々
(
そもそも
)
愚の骨頂さ」
伊太利亜の古陶
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
然
(
しか
)
らばこの国際連盟に於ても、
抑々
(
そもそも
)
如何
(
いか
)
なる事を為すべきであるか。この問に対して米の大統領ウィルソン氏は果して
幾何
(
いくばく
)
の成案を有するか。
永久平和の先決問題
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
探偵小説家殿村昌一は、この事件に
於
(
おい
)
て、如何なる役割を勤めるのか。彼があの様に重大に考えていた藁人形には、
抑々
(
そもそも
)
どんな意味があったのか。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
抑々
(
そもそも
)
我々の不満の念が、生存の理由を決定的に根拠づける示標となるほど重大な意味をもつてゐると見てもいいのか?
狼園
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
何だか、
唐突
(
だしぬけ
)
に謎見たような事だけれど、それが今夜の事の
抑々
(
そもそも
)
というのだから、
恥辱
(
はじ
)
も忘れて話すんだがね……
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「すると結局かねて君の自慢の命名、“地球発狂事件”に
収斂
(
しゅうれん
)
するわけじゃないか。
抑々
(
そもそも
)
どこを捉えて本事件を“地球発狂”というか、ということになる」
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
そこで甲田は、自分がその秘訣を知つた
抑々
(
そもそも
)
の事から話して聞かした。校長は出席簿を碌々つけないけれども、月末には
確然
(
ちやん
)
と歩合を取つて郡役所に報告する。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その食堂という奴が
抑々
(
そもそも
)
どんなものであるかは、
凡
(
およ
)
そ旅をする程の人なら誰でもよく知っている。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
あの女が車へ乗らうとする、おれが其処へ通りかかる、——と云ふのが
抑々
(
そもそも
)
の起りだつた。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
抑々
(
そもそも
)
人間の推理力を絶対に完全なるものの如くに思ふことは、地球が動かぬと云ふ考へ、動植物の種属が永久不変であると云ふ考へなどと同性質のもので、何時誰が唱へ出したでもなく
芸術としての哲学
(新字旧仮名)
/
丘浅次郎
(著)
さりながら
正四位
(
しょうしい
)
何の
某
(
なにがし
)
とあって仏師彫刻師を
聟
(
むこ
)
には
為
(
し
)
たがらぬも無理ならぬ人情、是非もなけれど
抑々
(
そもそも
)
仏師は
光孝
(
こうこう
)
天皇
是忠
(
これただ
)
の親王等の系に
出
(
いで
)
て
定朝
(
じょうちょう
)
初めて
綱位
(
こうい
)
を
受
(
う
)
け、
中々
(
なかなか
)
賎
(
いやし
)
まるべき者にあらず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
抑々
(
そもそも
)
その「さび」を主とする茶道が、関西にしても関東にしても大ブルジョアの間にだけ、嗜好されているという現実である。
文学上の復古的提唱に対して
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
だが、それ程ゴリラの自白を恐れた黒瀬という男は
抑々
(
そもそも
)
何者であったか。彼こそ「恐怖王」その人ではなかったのか。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
抑々
(
そもそも
)
男女室に居るは人の大倫であり、
鰥寡
(
かんか
)
孤独は四海の窮民である。天下に窮民なく、人々家庭の楽あるは太平の恵沢である。家に良妻ある程幸福はない。
安吾人生案内:06 その六 暗い哉 東洋よ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ここに於てマ一層私は進んで申したいと思うのは、
抑々
(
そもそも
)
この外交というものは随分困難なるものである。決して一国で以て左右することの出来ないものである。
外交の方針
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
殊に
後者
(
こうしゃ
)
については、諸君は
何故
(
なにゆえ
)
に最少のエネルギーを取出すことに苦心するかと思われるだろうが、
抑々
(
そもそも
)
原子崩壊によって生ずるエネルギーはものすごく強大であって
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分が
抑々
(
そもそも
)
生れて初めて教鞭をとつて、此校の職員室に
末席
(
ばつせき
)
を
涜
(
けが
)
すやうになつての一週間目、生徒の希望を容れて、といふよりは
寧
(
むし
)
ろ自分の方が生徒以上に希望して開いたので
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
当時のロシア作家としては全く特殊なパリへの半移民的生活をもってツルゲーネフが一生を終るに至った動機は、
抑々
(
そもそも
)
何であったのであろうか。
ツルゲーネフの生きかた
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
アア、彼程の男を、かくも悩乱せしめた、この生腕の主とは、
抑々
(
そもそも
)
何人
(
なんぴと
)
であったか。そして又、彼の恐ろしい推察は、果して適中していたのであろうか。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これが
抑々
(
そもそも
)
欧米列強の支那を
買被
(
かいかぶ
)
ったゆえんであったが、それが日本の力に触れて
忽
(
たちま
)
ち薄弱なる実力の遺憾なく外面に暴露され、その買被りたる事が知るると同時に
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
中村君がこの材料に製作欲をうごかされた
抑々
(
そもそも
)
の始めから知つてをり、資料の蒐集に、実地調査に、材料の整理に並々ならぬ苦心と年月を費したことを熟知するので、今
中村地平著「長耳国漂流記」
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
抑々
(
そもそも
)
人類の「愛」は、万有の生命は同一なりてふ根本思想の直覚的意識にして、全能なる神威の
尤
(
もつと
)
も円満なる表現とも申す可く、人生の
諸有
(
あらゆる
)
経緯の根底に於て終始永劫普遍の心的基礎に
有之候
(
これありさうら
)
へば
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
抑々
(
そもそも
)
其女のこうした欲求は、本当の人間として生きて行きたいというそれから出たものであろうが、本当の人間の理想、要求は主義で解決は出来ない。
今日の女流作家と時代との交渉を論ず
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
川村の第二の殺人とは
抑々
(
そもそも
)
何であったか。わしの今迄の話をよく吟味すれば自然分って来ることじゃが、それについては、間もなくお話する時が来るだろう。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これが
抑々
(
そもそも
)
当世流の処世法でその方が世渡りには都合がいい。まあこれが普通一般の処世法であろう。ところが我輩や福沢先生はそんな辛抱強い陰険なことが出来ない。
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
一万五千円といふ金額が
抑々
(
そもそも
)
突飛きはまるものでこの金談のとゝのはぬことは岡本自身知りすぎてゐるにきまつてゐる。金の必要の理由に就ても、しどろもどろで、一向に実感がない。
女体
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
抑
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
々
3画
“抑”で始まる語句
抑
抑揚
抑〻
抑留
抑圧
抑制
抑止
抑遜
抑覇
抑損