御堂みだう)” の例文
堀割の水は青く搖すれ、御堂みだうの色硝子は金に耀き、ストゥウルといふ石造の張出に干物ほしものは乾き、屋根の上には緑の唐華草からはなさう
ハルレム (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
ロミオ このいやしいたふと御堂みだうけがしたをつみとあらば、かほあかうした二人ふたり巡禮じゅんれいこのくちびるめの接觸キッスもって、あらよごしたあとなめらかにきよめませう。
山續やまつゞきに石段いしだんたかく、木下闇こしたやみ苔蒸こけむしたるをかうへ御堂みだうあり、觀世音くわんぜおんおはします、てら觀藏院くわんざうゐんといふ。
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
併し代々だい/″\学者で法談はふだん上手じやうず和上わじやうが来て住職に成り、とし何度なんどか諸国を巡回して、法談でめた布施ふせを持帰つては、其れで生活くらしを立て、御堂みだう庫裡くりの普請をもる。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
報恩講には和尚さんが、お御堂みだうの壇の上にのぼつて、お説教をすることを菊次さんは知ってゐました。
百姓の足、坊さんの足 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
浦上天主堂うらかみてんしゆだう無元罪むげんざいサンタマリアの殿堂でんだうあるひは単純に御堂みだうとぞいふ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
くだり船昨夜よべ月かげに歌そめし御堂みだうの壁も見えず見えずなりぬ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
都大路みやこおほぢ流離さすらひよ、御堂みだうくだ長町ながまちよ。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
御堂みだうのまへの静寂に鈴ふりならび
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
朝には御堂みだうの鐘の聲をく。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
御堂みだうのうちに遊ぶとき
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
寺の御堂みだう
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
大鐘の銘の文句を讀んでると、飛迫控とびやりびかへの三十もあるこの御堂みだう、御堂の三十もあるこのまちと、同じ高さに足が來てゐる。
石工 (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
子供達は十人ばかり、お御堂みだうの前の、のあたる階段に腰かけて騒いでゐた。栄蔵はいつもの癖で、みんなから少し離れたところで、優しい眼をしてみんなの方をながめてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
あのおくはるか燈明臺とうみやうだいがあるといふ。をかひとつ、たかもりは、御堂みだうがあつて、姫神ひめがみのおにはといふ。をかについて三所みところばかり、寺院じゐんむねと、ともにそびえたしげりは、いづれも銀杏いてふのこずゑらしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
クリスマスの長崎の御堂みだうに入ることも二たびをせむ吾ならなくに
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
御堂みだうにははやよべの歌きこえ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
櫻山さくらやま夏鶯なつうぐひすれつゝ、岩殿寺いはとのでら青葉あをば目白めじろく。なつかしや御堂みだう松翠しようすゐ愈々いよ/\ふかく、鳴鶴なきつるさきなみあをくして、新宿しんじゆくはまうすものゆきく。そよ/\とかぜわたところ日盛ひざかりもかはづこゑたからかなり。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
兄弟子は良寛さんがいつてしまふと、急いで御堂みだうの方へまはり、賽銭箱さいせんばこに手をかけた。あつちへごてん、こつちへごてんと賽銭箱はころがされた。そのたびに、中でぢやらぢやらと銭が声を立てた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
信徒しんとのため宝盒抄略はうかふせうりやくといふ書物御堂みだうの中にぽつりとありぬ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
御堂みだうにははやよべの歌きこえ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
御堂みだうみづ
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)