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強
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したた
ふりがな文庫
“
強
(
したた
)” の例文
捨身の庖丁に
強
(
したた
)
か胸を刺されて、一人がだあっと
襖
(
ふすま
)
もろ共倒れる。その脇から、残った一人が短刀を抜きざま正吉の
脾腹
(
ひばら
)
へひと突き
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
四十前後の
強
(
したた
)
かな感じのする武家で、甲府勤番は閑職には違いないが、それでも役について、二千両を送る誇りにハチ切れそうです。
銭形平次捕物控:243 猿回し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「異なお訊ね。その前にあれなる——塔の下に仆れている連れの者を
御覧
(
ごろう
)
じ。その童のために、
強
(
したた
)
かに打たれ、気も失うて苦しんでおる」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それでも忍びこんだ印に、塀に立てた旗をぬいて担ぎだしたが、石で
強
(
したた
)
か頭をどやされ、決して見事な忍術ぶりではなかつた。
島原の乱雑記
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「先ごろ申した通り大の虫を殺して、小の虫を生かす
諺
(
ことわざ
)
だのう。あの附人の
中
(
うち
)
には山内伊賀亮などと申す、中々の
強
(
したた
)
か者がいるとの事だが——」
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
▼ もっと見る
数秒間そうしているうち突然に耳ががんと鳴って、頸筋を
強
(
したた
)
か打たれたと思ったら、それっきり気絶してしまいました。
十時五十分の急行
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
もしそうなら彼等は無知どころではなく仲々の
強
(
したた
)
か者であり、従ってもはや無邪気な人種だなどとは云えなくなる。
社会時評
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
私とはたった
十年
(
とお
)
しかちがいはないのだが——それらがみんな今更大きな誤りだったように思われて……私はだんだん、
強
(
したた
)
か酔っぱらってしまった時のように
父を失う話
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
「海か沙漠ならいざ知らず、東京及びその近郊では絶対不可能です。犯人はこの弱点を巧におさえている
強
(
したた
)
か者、いかにすれば犯人を
誘
(
おび
)
き出せるかが問題です」
鳩つかひ
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
現住者が
強
(
したた
)
かなひとで、
梃子
(
てこ
)
でも動かない、なんてのもあることですから、こちらから出かけて行って、寝た子を起こすような真似をすることはないでしょう。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その時或る説明しがたい心持で、身構へて
把
(
にぎ
)
つて居た自分の杖をふり上げると、自分の前で何事も知らずに尾を振つてゐる自分の犬を、彼は
強
(
したた
)
かに打ち下した。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
ウイラード・シムソン、彼こそはかねて某国の軍事探偵であると
睨
(
にら
)
まれていた
強
(
したた
)
か者でした。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
徳兵衛は、よほどこたえたと見えて、いきなり、角之助の頬っぺたを、
強
(
したた
)
かにつねり上げる。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今まで影さへ見せませぬ程の
強
(
したた
)
か者の喬之助でござりますから、末の末まで要心をとって、弟にだけはそっと知らせても、御
新造
(
しんぞう
)
の園絵さまには——殿様、女子は口の軽いもの
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あんなに
強
(
したた
)
か斧で砍ったのを蚋が螫したとは、到底手に
竟
(
おえ
)
ぬ奴だ、何とかして立ち
退
(
の
)
かそうと考え、
翌旦
(
あくるあさ
)
ラに、汝も妻子をちと訪ねやるがよい、大金入りの袋一つ上げるからと言うと
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
棒杭で
強
(
したた
)
か脳を打ちつけた娘は、ぼんやり口を開いて、弛んだ視野の中で生きていた、お松は、天なる父の恵みにかけても、此娘の上に奇蹟の現われる事を今か今かと待ちあぐんでいた。
反逆
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
さらでだに疲れたる頭を無益に惱ましたるそのうへに尚二百里の間、いぶせき田舍の
泥濘路
(
ぬかるみみち
)
を俥に搖られて、ほと/\探勝に伴ふ體苦心苦の辛さを味はひ、
強
(
したた
)
か幻滅の悲しさを感じてゐたのが
湖光島影:琵琶湖めぐり
(旧字旧仮名)
/
近松秋江
(著)
それもその筈、彼もまた動坂一派の
強
(
したた
)
か者だったのである。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それには
強
(
したた
)
かに酔っていながらも新左衛門
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
女は
強
(
したた
)
か酒に酔っているらしかった。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
妙に
華奢
(
きゃしゃ
)
で、滑らかで、金貸の番頭には不向きらしく見えますが、案外こんな人柄のが、一番
強
(
したた
)
かな魂を持っているのでしょう。
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
奴等はやっぱり海千山千の
強
(
したた
)
か者で、粗雑のようでもヨタモノ仁義の神経は発達していて、全然角突き合わないのである。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「無礼者っ」投げようとしたが、弁円も
強
(
したた
)
かに反抗した。かえって、性善坊のほうが危ないのである。覚明はそれを見て
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、若侍はそこに倒れて失神していた、——抱起してみると、左の肩口を
強
(
したた
)
か斬られている、しかし多少出血がひどいというだけで致命傷ではない。
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まごまごしているうちに、おれは棍棒で
強
(
したた
)
か頸筋を
殴
(
どや
)
された。瞬間、もう駄目だと
観念
(
おも
)
ったね。何しろ突然なので、君等を呼ぶどころか、
衣嚢
(
かくし
)
から
短銃
(
ピストル
)
を抜く
隙
(
ひま
)
もなかったんだ。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
まさか変なことはあるまいが、それも、相手が
強
(
したた
)
か者のお蓮様だから、ふたりの仲は、案外すすんでいるのかも知れない……などと、屋敷うちでは、眼ひき袖引きする者もあるくらい。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
声をかけたのは番頭の喜助、四十五六のよく
肥
(
ふと
)
った、——何となく
魯鈍
(
ろどん
)
そうに見えるうちにも、
強
(
したた
)
かな駆引を用意しているらしい男です。
銭形平次捕物控:089 百四十四夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と叫んで斜めによろめいたところを
天飈
(
てんぴょう
)
の如き河内房の強力で、新九郎の小手を
強
(
したた
)
かに打ち込んだ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人が、舟のあおりを喰って堕ちた、そこで別の一人がそれを救けあげようとして相手の
頸筋
(
くびすじ
)
を掴んだが、後者も
強
(
したた
)
かに酔っていたので、前者と共に海中の客となった。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大庭という奴が海千山千の
強
(
したた
)
か者で、記代子のバカさかげんに手を焼いており、これを拾いあげたエンゼルをいいカモだと笑っているのじゃないかとヒガンだほどであった。
街はふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
桶屋の久兵衛は、神田では人に知られた
強
(
したた
)
か者で、お上の厄介にはなりませんが、ずいぶん諸方をいやがらせて歩くたちの男だったのです。
銭形平次捕物控:044 お民の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
兵たちは口々に、取り逃がした曲者の
強
(
したた
)
かさを、彼の前に告げ合った。すると、道誉は哄笑した。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逆胴を
強
(
したた
)
か斬放す。がらがらッ、
燭台
(
しょくだい
)
と
膳部
(
ぜんぶ
)
を踏砕きながら、悲鳴とともに
顛倒
(
てんとう
)
するのを見て
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
然し、世は変り、あに世の変りを信ぜざるべけんや、即ち私は新日本の生誕を信じる故に敢然グラスをとつて
強
(
したた
)
かあふり、今日も尚生きてをり、世の一大変転を命をかけて実証するに至つた。
足のない男と首のない男
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
不思議な魅力の持主というものでしょう、憎らしい憎らしいと思いながら、
強
(
したた
)
か者のお喜多も、誘惑された一人だったのです。
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
強
(
したた
)
かに腰を打って、そのまま
竦
(
すく
)
んでいると、塀の外をばらばらと人の走り去る足音が遠のいて行った。正吉は凍てついた土の上に、暫くは身動きも出来ず息を喘がせていた。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お
嘲
(
わら
)
いください。実は、身のほども
弁
(
わきま
)
えず、一刀斎どのへ、仕合を乞い、
強
(
したた
)
かに打ちすえられて……ようやく夢のさめたるごとく、自分の至らなさを今初めて知りました」
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仔細
(
しさい
)
というのは、源助が若い時分に関係した女、——今では、女巾着切りの
強
(
したた
)
か者になっているお兼に迫られ、その手切金の調達に窮して
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小さい
謙
(
けん
)
三郎は、手もなく、兄の
紀
(
き
)
一郎に投げつけられて、
強
(
したた
)
かに背を大地へ打ちつけた。
剣の四君子:04 高橋泥舟
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次の調子は意地悪くさえ聴こえますが、それは品吉の
強
(
したた
)
かさと、その行届き過ぎる知恵に対する反発でもあったのです。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
また
祁山
(
きざん
)
の前面にあった曹真の魏本軍も、孔明ついに奔ると聞くや、にわかに揺るぎだして追撃にかかろうとしたが、
馬岱
(
ばたい
)
、
姜維
(
きょうい
)
の二軍に待たれて、これも
強
(
したた
)
か不意を討たれた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先棒は
漸
(
ようや
)
く起き上がりましたが、
向
(
むこ
)
う
脛
(
ずね
)
を
強
(
したた
)
かにやられて、急には動けません。前後の四挺の駕籠は、このとき
漸
(
ようや
)
く下ろされて、八人の若い者が
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
十八公麿はわすれていたが、お供の
介
(
すけ
)
は見覚えていた。小松殿の御家人、
成田兵衛
(
なりたのひょうえ
)
の子である。まだ十八公麿が日野の
館
(
やかた
)
にいたころ、
強
(
したた
)
かな仇をした小暴君の
寿童丸
(
じゅどうまる
)
なのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先棒は
漸
(
ようや
)
く起き上がりましたが、
向
(
むこ
)
う
脛
(
ずね
)
を
強
(
したた
)
かにやられて、急には動けません。前後の四挺の駕籠は、このとき
漸
(
ようや
)
く下ろされて、八人の若い者が
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
寺にいたこともあるという——何しろ経歴の
混入
(
こみい
)
っている人物で、その
強
(
したた
)
か
者
(
もの
)
ということは、彼が美濃一国に
蟠踞
(
ばんきょ
)
してから、まだ、一尺の地も、外敵に譲らないのを見てもわかる。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中年者の
強
(
したた
)
かな顔には、さり気ないうちに敵意が燃えて、出来ることなら平次を一歩も中へは入れたくない様子でした。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「色っぽいはずです。その方では、
強
(
したた
)
か
者
(
もの
)
の河合
氏
(
うじ
)
すら、もう、参っているくらいで」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
縁側に出たのは用人木原伝之助、四十五六の存分に
強
(
したた
)
かな感じの男が、庭から廻された平次と八五郎を見下ろしました。
銭形平次捕物控:131 駕籠の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
待ち構えていた丑之助は、身を避けて、ふたたび
強
(
したた
)
かに、伊織を棒で、
撲
(
なぐ
)
り伏せた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
五十を越したばかり、痩せて骨張ってはおりますが、精力的で金儲けが上手で、一代に江戸でも何番といわれた富を築いただけの
強
(
したた
)
かさがあります。
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“強”の解説
漢姓
強(きょう)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
強
常用漢字
小2
部首:⼸
11画
“強”を含む語句
強請
強情
強者
強面
強飯
強盗
強健
手強
強力
強奪
強直
勉強
強敵
強雨
気強
頑強
強張
強気
強烈
心強
...