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『父を失う話』
ふりがな文庫
『
父を失う話
(
ちちをうしなうはなし
)
』
こないだの朝、私が眼をさますと、枕もとの鏡付の洗面台で、父は久しい間に蓄えた髭を剃り落としていた。そよ風が窓から窓帷をゆすって流れ込んで、そして新鮮な朝日のかげは青々と鏡の中の父の顔に漲っていた。 おもてで小鳥が啼いた。 「お父さん、いいお …
著者
渡辺温
ジャンル
文学 > 日本文学 > 小説 物語
文字種別
新字新仮名
読書目安時間
約7分(500文字/分)
朗読目安時間
約11分(300文字/分)
作品に特徴的な語句
疎
(
あら
)
十年
(
とお
)
強
(
したた
)
窓帷
(
カーテン
)
香
(
にお
)