容姿ようし)” の例文
当時は重々しい容姿ようし流行はやったのである。この教諭はもう心得でなかった。前々年に卒業して去年検定を取ったから一躍三十五円に昇級していた。
首席と末席 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
さへぎるはつきしたがひてゑんいよ/\ゑんならんとする雨後春山うごしゆんざんはなかほばせけんます/\けんならんとする三五ちうつきまゆいと容姿ようしばかりなり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すすき彼方あなた、舞台深く、天幕テントの奥斜めに、男女なんにょの姿立顕たちあらわる。いつわかき紳士しんしいつは貴夫人、容姿ようし美しく輝くばかり。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
容姿ようしすぐれて美しく才気あり万事にさとせいなりければ、誘工ゆうこうの事すべてお政ならでは目がかぬとまでにたたえられ、永年の誘工者、伝告者として衆囚よりうやまかしずかれけるが
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
早婚のふうがあって、女性は十三、四歳といえばもうとつぐのが少なくないのに、人なみすぐれた容姿ようしをもちながら、なぜかこの姫は、ことし十六という妙齢まで、嫁ぎもせず
相当さうたう身柄みがらいへそだつただけに青木さん夫婦ふうふ相方さうはう共に品のいい十人なみ容姿ようし持主もちぬしで、善良ぜんりやう性格せいかくながらまた良家りやうかの子らしい、矜と、いくらかえをるやうな氕質きしつもそなへてゐた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
今、外套を脱いだ彼の姿はその顏と調和よくまつ四角だつた。多分體育の方の意味から云へば立派な容姿ようしなのであらう——胸が廣くて腰が細く、脊もあまり高くなくすらりとしてもゐなかつたが。
晩唐ばんたう一代いちだい名家めいか韓昌黎かんしやうれいに、一人いちにん猶子いうし韓湘かんしやうあり。江淮かうくわいよりむかへて昌黎しやうれいやかたやしなひぬ。猶子いうしとしわかうして白皙はくせき容姿ようしあたか婦人ふじんごとし。しかおこな放逸はういつにして、いさゝかまなぶことをせず。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さいあるはおほのうあるもすくなからず、容姿ようし學藝がくげいすぐれたればとて、大事だいじしやうたくすにひと見渡みわたしたる世上せじやうりやしやれたものならず、幸福かうふく生涯しやうがいおくたまみち、そもなにとせばからんかと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)