“女(をみな)” の例文
ここに天つ神の命(みこと)以ちて、太卜(ふとまに)に卜(うら)へて一二のりたまひしく、「女(をみな)の先立ち言ひしに因りてふさはず、また還り降(あも)りて改め言へ」
赤く白く面(おもて)を塗りて、赫然(かくぜん)たる色の衣を纏(まと)ひ、珈琲店(カツフエエ)に坐して客を延(ひ)く女(をみな)を見ては、往きてこれに就かん勇気なく、高き帽を戴き、眼鏡に鼻を挾ませて
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ああ、まぼろしのかもめどり、渚はとほく砂丘はさんらん、十字の上に耶蘇はさんらん、女(をみな)の胴は砂金に研がれ、その陰部もさんらん、光り光りてあきらかに眞珠をはらむ。
散文詩・詩的散文 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
此時我は此の如くに思議せり。此の如くに思議して、ヱネチアの繁華をおもひ、その女(をみな)ありて雲の如くなるをおもひ、我血の猶熱せるをおもひ、忽ち聲を放ちて我少年の歌に和したり。
石戸(いはと)破(わ)る手力(たぢから)もがも手弱(たよわ)き女(をみな)にしあれば術(すべ)の知(し)らなく 〔巻三・四一九〕 同
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
巌門(いはと)破(わ)る手(た)力もがも。嫋(たわや)き女(をみな)にしあれば、すべの知らなく
歌の円寂する時 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
樹の下(もと)に出(い)で立つ女(をみな)丹(に)の頬(ほ)して陽(ひ)は豊かなる香(かぐ)はしき空
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
葉びろ柏の繁みより女(をみな)の如き目ざしして
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
現ぜる女(をみな)よ、胸乳抑(おそ)ふる手の
青き女(をみな)の顎(あぎと)かと
男(をとこ)、女(をみな)
霜夜 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
かれその遣さえたる大碓の命、召し上げずて、すなはちおのれみづからその二孃子に婚ひて、更に他(あだ)し女(をみな)を求(ま)ぎて、その孃子と詐り名づけて貢上(たてまつ)りき。
彼は優(すぐ)れて美なり。乳(ち)の如き色の顔は燈火に映じて微紅(うすくれなゐ)を潮(さ)したり。手足の繊(かぼそ)く裊(たをやか)なるは、貧家の女(をみな)に似ず。老媼の室(へや)を出でし跡にて、少女は少し訛(なま)りたる言葉にて云ふ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
代りて場に上りしは、此曲の女主人公にして、これに扮せるは二八ばかりの女(をみな)なりき。色好む男の一瞥して心を動すべき肉(しゝ)おき豐かに、目(ま)なざし燃ゆる如くなれば、喝采の聲は屋(いへ)を撼(ゆるが)せり。
マラッカの街上(がいじやう)にしてわれも見つ富(と)める女(をみな)の面(おも)の愛(は)しきを
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
飛びつつを行(ぎやう)失ひし夕影はまさに女(をみな)の脛(はぎ)を見けむか
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そぞろ歩きの女(をみな)に
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
ここを以ちて猿女(さるめ)の君等、その猿田毘古の男神の名を負ひて、女(をみな)を猿女の君一と呼ぶ事これなり。
大路(おほぢ)のさま静になりぬれば、例の窓より見やるに、こゝは道行く人はなくて、男(をとこ)女(をみな)おのれ/\が家居の前に畳敷きかさね、調度めくもの夜の物など見上ぐるまでに積みあげ、そが中にこぞりゐて
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
隣(とな)り間(ま)に男(をとこ)女(をみな)の語らふをあな嫉(ねた)ましと言ひてはならず
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
なまめけるわが女(をみな)、汝(な)は弾(ひ)きぬ夏の日の曲(きよく)
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何処(いづこ)より見ゆるともなく出(いで)て来(こ)し思(おもひ)の女(をみな)
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はた、唖(おふし)朱(しゆ)に笑ひ痺(しび)れつつ女(をみな)を説(と)ける。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ただ寒(さむ)う涙垂れ熟視(みつ)めぬる女(をみな)の思(おもひ)。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ものなべてさは妙(たへ)に女(をみな)の眼(め)ざし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「変らじ。」と女(をみな)の声す。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)