喜多八きたはち)” の例文
諸君しよくんかずや、むかし彌次郎やじらう喜多八きたはちが、さもしいたびに、いまくひし蕎麥そば富士ふじほど山盛やまもりにすこしこゝろ浮島うきしまがはら。やまもりに大根だいこんおろし。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ときに——いまわたつたはしである——わたし土産みやげがきをもらつて、寫眞しやしんて、十綱橋とつなばしとあるのを、喜多八きたはち以來いらい早合點はやがてんで、十網橋とあみばしだとおもつた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、たゞもんめ連出つれだ算段さんだん。あゝ、紳士しんし客人きやくじんには、あるまじき不料簡ふれうけんを、うまれながらにして喜多八きたはちしやうをうけたしがなさに、かたじけねえと、安敵やすがたきのやうなゑみらした。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
喜多八きたはち、さあ、あゆばつしと、いまこそ着流きながし駒下駄こまげたなれ、以前いぜんは、つかさやをかけたお太刀たち一本いつぽん一寸ちよつとめ、振分ふりわけ荷物にもつ割合羽わりがつぱ函嶺はこね夜路よみちをした、内神田うちかんだ叔父的をぢき
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だなをおとした喜多八きたはちといふではひだすと、「あのかた、ね、友禪いうぜんのふろ敷包しきづつみを。……かうやつて、すこなゝめにうつむき加減かげんに、」とおなじ容子ようすで、ひぢへ扇子せんすの、扇子せんすはなしに
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うらやましさうにながめながら、喜多八きたはち曠野あらのちた團栗どんぐりで、とぼんとしてつてた。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つたく……旅館以下りよくわんいかにして、下宿屋以上げしゆくやいじやう所謂いはゆる高等御下宿かうとうおんげしゆくなるものは——東區ひがしく某町ぼうちやうふのにあつて、其處そこから保險會社ほけんぐわいしや通勤つうきんする、もつと支店長格してんちやうかくで、としすくないが、喜多八きたはちにはぎた
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れば度胸どきようゑて、洒落しやれてる。……しつはいづれも、舞臺ぶたいのない、大入おほいり劇場げきぢやうぐらゐにんでたが、さいはひに、喜多八きたはち懷中くわいちうかるければ、かるい。荷物にもつはなし、おまけ洋杖ステツキほそい。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
喜多八きたはちの懐中、これにきたなくもうしろを見せて
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)