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きたはち
で、たゞ
匁で
連出す
算段。あゝ、
紳士、
客人には、あるまじき
不料簡を、うまれながらにして
喜多八の
性をうけたしがなさに、
忝えと、
安敵のやうな
笑を
漏らした。
坂の
上の
煙草屋にて
北八嗜む
處のパイレートを
購ふ。
勿論身錢なり。
此の
舶來煙草此邊には
未だ
之れあり。
但し
濕つて
味可ならず。
北八は、にやり/\、
中流に
至る
頃ひ
一錢蒸汽の
餘波來る、ぴツたり
突伏して
了ふ。
危えといふは
船頭の
聲、ヒヤアと
肝を
冷す。
亡なつた
一葉女史が、たけくらべといふ
本に、
狂氣街道といつたのは
是から
前ださうだ、うつかりするな、
恐しいよ、と
固く
北八を
警戒す。