ふり)” の例文
つまり山浦内蔵助作刀頒布会はんぷかいなのである。口数ふりかずを百ふりとして、酒井家は勿論、旗本仲間、各藩の有志に、刷物すりものを廻して、会員をつのろう。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「朝鮮国より、玉六十八枚、金銀装横刀一ふり、鏡一面、倭文やまとおり二端、白眼鴾毛ぼうもう馬一匹、白鵠しろくぐい二翼、造顔師一人、御贄おんにえ五十かき、を献ず」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
先ず第一に太刀がひとふり、つづいて小脇差が二腰、飾り巻の弓が三張り、それに南蛮鉄なんばんてつの鉄扇五挺を加えて都合十一品でした。
八五郎が持つて來たのは、紺糸こんいと柄卷つかまきをした、手頃の脇差が一とふり。血だらけの拔刄ぬきみのまゝで、その血がにかはのやうにねばり附いてゐるのも無氣味です。
……とびらあさうして、しかくらおくに、一人面蛇体にんめんじやたいかみの、からだを三うねり、ともに一ふりつるぎまとうたのが陰影いんえいつて、おもてつるぎとゝもに真青まつあをなのをときよ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それではこれで、いよいよ締め切りに……エエ石川左近将監いしかわさこんしょうげんどのより、四つ。ほかに、長船おさふねの刀一ふり一石飛騨守様いっこくひだのかみさまより五つ半、および絹地きぬじ五反。堀口但馬ほりぐちたじまさまより——
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その司令官の少将夫妻に、某青年が渡米中お世話になったので、来朝を幸い父が右夫人を招待し、少将に太刀一ふりを贈った、そのまた返礼として軍艦へ招かれたのである。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
彼は幾ふりも持っている刀のうちでも、これを最も秘蔵の業物わざものとしていたので、去年故郷を退転する時にも余の刀はみんな手放してしまって、籠釣瓶だけを身につけて来たのであった。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
邸の中へ入って調べて見ると、この時の盗難が金子きんす三百両と秘蔵の藤四郎とうしろうふり
皇国農民同盟の前田某や大日本生産党の鈴木某が四十一ふりの日本刀を用いて、銃砲火薬店を襲撃し、拳銃や実弾を手に入れた上で、いつもねらわれる牧野内府邸や首相官邸、政党本部、警視庁
社会時評 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
聞勘解由は打喜び金子にて相濟あひすむ事なれば何とか取計ひ申すべしシテ其の金高は何程なるやと申に安田佐々木の兩人は右金高はまづ水死すゐし二人の代り金二千兩御道具だうぐの中御太刀一ふりめい來國行らいくにゆき是は別て御大切の御品成ば此代金千兩外御道具代金三百兩都合三千三百兩右の如く借用致されたしと書付を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
例えば、信州諏訪すわ神社には三百何十ふりという古来からの奉納刀がありますが、この中で、さびていなかったのは、五ふりともありませんでしたな。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも刀剣が八ふり、槍が三本、鎧が二領、それらの中に交って、老人、医道の心得があるらしく、いく袋かのせんじ薬と共に、立派な薬味箪笥やくみだんすが見えました。
平次は裏木戸の外の一寸人目につかぬ物蔭にしやがむと、泥と血にまみれた、匕首あひくちを一ふり持つて來ました。
やがて室内の四方へ眼を配った二人のうち南条は、能登守の机の抽斗ひきだしから白鞘しらさやの短刀一ふりを探し出しました。五十嵐は能登守が鎔鉱の試験用に使う三尺ばかりの鉄の棒を一本探し出しました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
じぶんの身長より高いくらいの陣太刀二ふりを抱えた豆太郎が、森の木のあいだをくぐり抜けて、みるみるそれこそ豆のように小さくなっていくから、はじめて事態の容易ならぬを知った弥生
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
折つたが、眼の前の大川が流れてゐることに氣が付かなかつたんだ。ちよつと出て俺の立てた目印めじるしのあたりを覗いて見ねえ、底に脇差が一ふり沈んでゐるのが、よく見えるぜ
孫権は、刀百ふり、絹千匹を贈って、彼を賞した。甘寧はそれをみな百人にけた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「石川家伝来、長船おさふねの名刀一ふり、ほんの名刺代り。つつがなく日光御用おはたしにあいなるようにと、主人将監の微意にござりまする。お国おもての対馬守御前へ、よろしく御披露のほどを……」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
やがて、口上言ひの男が、ふりの短刀を持出して、お松、お村に一本づつ渡しました。見たところ如何にもよく切れさうで、美女の裸身と、ひどく面白い對照になります。
伊予国いよのくにの大三島神社の刀蔵かたなぐらは有名なもので、何百年来の所蔵が三千ふりにも上っておりますが、凡そ一ヵ月もこもって調べたところ、三千口のうち光っている刀は十口ともなかったという
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、口上言いの男が、二たふりの短刀を持出して、お松、お村に一本ずつ渡しました。見たところいかにもよく切れそうで、美女の裸身と、ひどく面白い対照になります。
百刀会の百ふり鍛ち上げにかかると共に、一時はさかずきを捨ててもみたが、鬼となって、仕事へ打ち込む情熱は、酒へもつい燃えつき易く、一くち触れれば、ままよとなって、一升二升、暮れても明けても
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
固唾かたづを呑む人々の前へ、さやもない、小型の匕首あひくちが一とふり、妙に薄曇つて物凄く光ります。
ふりの申込みは、またたくまに、加入者で満たされてしまった。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
固唾かたずを呑む人々の前へ、さやつかもない、小型の匕首あいくちが一とふり、妙に薄曇って物凄く光ります。
匕首あいくちが一とふり、肌守りと煙草入と、その煙草入の中に、小粒が三つ四つ、外には持ち物もなく、もとより誰がこんな恐ろしいことをやったのか、手掛りらしいものは一つもありません。
ところで、劍の富山七之助には、自慢の名刀が一ふりあつたのです。それは來國俊らいくにとしと稱する二尺八寸の大業物、無銘であつたが、二つ胴も試したといふ、見るからに物凄い代物でした。
匕首あひくちが一とふり、肌守りと煙草入と、その煙草入の中に、小粒が三つ四つ、外には持ち物もなく、素より誰がこんな恐ろしいことをやつたのか、手掛りらしいものは一つもありません。
作内がしたのは、部屋の隅に丸めてあるお玉のさゝやかな荷物でした。兄の清三郎が平次の目配せにこたへてそれを解くと、女物の華奢な短刀が一とふり、何んの仔細もなく轉げ出します。