)” の例文
しもあなたのようなさしい御方おかた最初さいしょからお世話せわをしてくださったら、どんなにか心強こころづよいことであったでございましたろう……。
今現に金の指環に真珠をむる細工に掛れる、年三十二三のさ男、成るほど女にも好かれそうなる顔恰好は是れが則ち曲者生田なるべし
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
薄色の服をつけたさがたの彼女の雰囲気には、今夜のテーブルの用意もした主婦らしいほてりがちっとも感じられなかった。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
奧から飛んで出て、講中の人達の間に道を作つてくれたのは、手代の巳之吉といふ、二十四五のさ男でした。
子爵ししやくきみ最愛さいあいのおもひものなど、桐壼きりつぼ更衣かういめかしきがたなるが、此奧方このおくがたねたみつよさに、可惜あたらはなざかり肺病はいびやうにでもなりて、形見かたみとゞめし令孃ひめならんには、父君ちヽぎみあいいかばかりふかかるべきを
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
弓馬きゅうばみちれる、武張ぶばったひとではございましたが、八十人力にんりきなどというのはうそでございます。気立きだても存外ぞんがいさしかったひとで……。
年の頃五十七八、大町人らしい恰幅かっぷくで、後ろに従えたさ男の茂七とは、対蹠的たいしょてきに堂々としております。
こひ一方いつはうつよよく一方いつはうはきものとくはいつはり何方いづれすてられぬ花紅葉はなもみぢいろはなけれど松野まつのこゝあはれなり、りとて竹村たけむらきみさしき姿すがたおもえもしたれ、あさからぬ御志みこゝろざしかたじけなさよ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたくしさしい名前なまえがよいとおもいまして、さんざんかんがいたすえにやっと『鈴懸すずかけ』というおもいついたのでございます。
若旦那と言つても父親がないので、これが三河屋の若主人ですが、丹次郎型のさ男は、何時まで經つても町内の衆に若旦那と呼ばれるのを見得にして居たのです。
如何どうも申されねどおまへさまのおさしさはにしみてわすれませぬ勿躰もつたいなけれどお主樣しゆうさまといふ遠慮ゑんりよもなく新參しんざんのほどもわすれてひたいまゝの我儘わがまゝばかり兩親ふたおやそばなればとて此上このうへ御座ございませぬりながらくやしきは生來せいらいにぶきゆゑ到底とて御相談ごさうだん相手あいてには
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)