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偶
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たまた
ふりがな文庫
“
偶
(
たまた
)” の例文
かかれば何事にも楽むを知らざりし心の今日
偶
(
たまた
)
ま人の
相悦
(
あひよろこ
)
ぶを見て、又
躬
(
みづから
)
も
怡
(
よろこ
)
びつつ、
楽
(
たのし
)
の影を追ふらんやうなりしは何の故ならん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
よし恋の場合に男は
偶
(
たまた
)
ま命掛であるとしても、産という命掛の事件には男は何の
関係
(
かかわり
)
もなく、また何の役にも立ちません。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
曰く「強烈なる心霊の苦痛は、
偶
(
たまた
)
ま些細なる肉体の苦痛を以て滅却する事を得。」そうだ、………それに違いない。………
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼の十二、三歳の頃、
嘗
(
かつ
)
て萩城下、林某の宅に
寓
(
ぐう
)
し、藩学明倫館に通学す。彼の寓室は階上に
在
(
あ
)
り、家
偶
(
たまた
)
ま火を失す。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
これより
先
(
さ
)
き
小厠
(
こづかい
)
を一
人
(
にん
)
使用するの必要は無論感ずる所なりしといえども、
強
(
しい
)
てこれを
伴
(
ともな
)
わんとすれば、非常に高き賃金を要し、また
偶
(
たまた
)
ま自ら進んで
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
▼ もっと見る
旧幕府の末年に神田
孝平
(
たかひら
)
氏が府下本郷通を散歩の
折節
(
おりふし
)
、
偶
(
たまた
)
ま聖堂裏の露店に最と古びたる写本のあるを認め、手に取りて見れば
紛
(
まぎ
)
れもなき蘭学事始にして
蘭学事始再版之序
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
妙子の家とはひと夏葉山で
偶
(
たまた
)
ま近処に家を借り、学校が同じところから近づきになって一緒に遊んだそうだ。
結婚
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
それが
偶
(
たまた
)
ま訪ねて來たいたづらな酒飮みの友達が、彼等の知らぬ間に龜の子を庭の草なかに放してなくなしてしまつた。彼は云ひやうのない憂欝な溜息を感じた。
哀しき父
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
犯人が
偶
(
たまた
)
ま盗品を所持している際に発見逮捕せられた場合には、これまた現行盗であるとしておった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
偶
(
たまた
)
ま真の文学的凜気爽かなるこの如き書に接しられたならば Pitt Diamon とも申すべく得難き読書の快はやはりこの如き純粋なる文学書のなかにこそ
坂口安吾君の『黒谷村』を読む
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
保雄が毎
月
(
げつ
)
の
生活
(
くらし
)
に困る様な事も無からうが、新体詩は
然
(
さ
)
う買つて呉れる所も無いから保雄の方でも自分から進んで売らうとは
仕無
(
しな
)
い、
偶
(
たまた
)
ま雑誌社からでも頼まれゝば書くが
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
峻山深谿
(
しゅんざんしんけい
)
を
跋渉
(
ばっしょう
)
したるもの幾人かある、今や中央鉄道開通して、その益を
享
(
う
)
くるもの、塩商米穀商以外に多からずとせば、邦人が鉄道を利用するの道もまた狭いかな、
偶
(
たまた
)
ま地質家、山林家
山を讃する文
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
そしてその峠のところで
尾籠
(
びろう
)
な話だが
偶
(
たまた
)
ま大便を催したので、路傍の林中へはいって用を足しつつそこらを睨め回していたら、ツイ直ぐ眼前の木の枝に異形な物が着いているのを見つけた。
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
黎庶
(
れいしょ
)
ソノ所ニ安ンゼヨト。諸僚佐次ヲ以テ進ミテ拝ス。廟ノ門ヲ出デ別路ヲ取ツテ南ニ下リ小橋ヲ過ギテ浦口ニ
抵
(
いた
)
リ船ヲ買ツテ松島ニ赴ク。微雨
偶
(
たまた
)
マ至ル。
篷
(
とま
)
ノ避クベキモノナシ。各傘ヲ張ル。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
投げた物が
偶
(
たまた
)
ま刃物であったために大それた刃傷沙汰になったが、ヒステリイの不可抗力に襲われたその時の気分は
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
偶
(
たまた
)
ま外国修業の書生などが
帰
(
かえっ
)
て来て、僕は
畢生
(
ひっせい
)
独立の覚悟で政府仕官は思いも寄らぬ、なんかんと
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく私方へ来て満腹の
気焔
(
きえん
)
を吐く者は幾らもある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それが
偶
(
たまた
)
ま
訪
(
たづ
)
ねて来たいたづらな酒飲みの友達が、彼等の知らぬ間に亀の子を庭の草なかに放してなくなしてしまつた。彼は云ひやうのない
憂鬱
(
いううつ
)
な溜息を感じた。
哀しき父
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
偶
(
たまた
)
ま人中を迷ひたりし子の母の親にも
逢
(
あ
)
ひけんやうに、
少時
(
しばし
)
はその
傍
(
かたはら
)
を離れ得ざるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
またヘロドーツスの歴史によれば、古代のペルシアにおいては、真正の親を殺す者のあるはずがないとし、
偶
(
たまた
)
ま親を殺す者があっても、その者は私生児であるとしたということである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
何処からか来ていたものが、
偶
(
たまた
)
まそこに生えていたのに過ぎないのである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
偶
(
たまた
)
まに川下りをしようとして、河畔に立つ旅人があつても、船が出ないために、空しく失望して引き返さねばならなかつた、私も二度ばかりさうした憂き目を見て、心ならずも傍路へ外らされた。
天竜川
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
偶
(
たまた
)
ま若い婦人で思想論などをする知名な人があっても、それが多くは婦人の発言である所から世の注意を
惹
(
ひ
)
くだけで、大抵の男子には出来る議論であり
婦人改造と高等教育
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
英帝ヘンリー第五世がまだ太子であった頃、或るとき親王の寵臣某が
偶
(
たまた
)
ま罪あって捕えられ、遂に「王座裁判所」(King's Bench)において公判を開かれることとなった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
旧幕府の末年に神田孝平氏が府下本郷通を散歩の
折節
(
おりふし
)
、
偶
(
たまた
)
ま聖堂裏の露店に
最
(
い
)
と古びたる写本のあるを認め、手に取りて見れば
紛
(
まぎ
)
れもなき蘭学事始にして、
然
(
し
)
かも
鷧斎
(
いさい
)
先生の親筆に係り
蘭学事始再版序
(新字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
やや有りて彼は
徐
(
しづか
)
に立ち上りけるが、こ
回
(
たび
)
は更に
邇
(
ちか
)
きを眺めんとて双眼鏡を取り直してけり。
彼方此方
(
あなたこなた
)
に差向くる筒の
当所
(
あてど
)
も無かりければ、
偶
(
たまた
)
ま
唐楪葉
(
からゆづりは
)
のいと近きが
鏡面
(
レンズ
)
に
入
(
い
)
り
来
(
き
)
て一面に
蔓
(
はびこ
)
りぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二勺より路は
黒鉄
(
くろがね
)
を鍛へたる如く、天の一方より急斜して、
爛沙
(
らんさ
)
、
焦石
(
せうせき
)
、
截々
(
せつ/\
)
、風の
噪
(
さわ
)
ぐ音して人と伴ひ落下す、
偶
(
たまた
)
ま雲を破りて額上
微
(
かす
)
かに見るところの宝永山の
赭土
(
あかつち
)
より、冷乳の
缸
(
かめ
)
を傾けたる如く
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
偶
(
たまた
)
ま豊臣氏のように微賤から出た政治家があっても新しい官僚政治家が一人殖えただけで、政治に対する国民の権利を官僚から取返してこれを国民に分配したというのではありません。
選挙に対する婦人の希望
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
偶
(
たまた
)
ま
以
(
もっ
)
て一旧臣の
為
(
た
)
めに富貴を得せしむるの
方便
(
ほうべん
)
となりたる
姿
(
すがた
)
にては、たといその
富貴
(
ふうき
)
は
自
(
みず
)
から求めずして天外より
授
(
さず
)
けられたるにもせよ、
三河武士
(
みかわぶし
)
の末流たる徳川一類の身として考うれば
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それがウィルソンの偉大な理想と
偶
(
たまた
)
ま似ている所があるというに過ぎません。
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
逆上すると同時に
偶
(
たまた
)
ま手近にあった刃物を取って姑に投げ附けた。積極的に
斬
(
き
)
ろうとするのでなく、勿論殺意があるのでなく、手当り次第に投げ附けた。それは猛烈なヒステリイの発作であった。
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
偶
(
たまた
)
ま
逢
(
あ
)
う同じ街の友人にも非結婚主義を熱心に勧めたりなんかした。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
一概にこれを
我儘
(
わがまま
)
だといって、
偶
(
たまた
)
ま嫁に
貰
(
もら
)
ってくれる口があれば、その配偶者たる男子の人格も研究せず、わが娘をば厄介者を追払うようなつもりでその男子に押附けようとする風がありますけれど
女子の独立自営
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
偶
(
たまた
)
ま
市
(
いち
)
の
大通
(
おほどほり
)
に
行
(
ゆ
)
き会ひし時
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
偶
常用漢字
中学
部首:⼈
11画
“偶”を含む語句
偶然
配偶
木偶
土偶
配偶者
偶人
偶々
偶〻
偶像
木偶坊
偶中
匹偶
偶数
偶然性
土偶像
時偶
偶合
偶時
偶座
土偶人形
...