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三途
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さんず
ふりがな文庫
“
三途
(
さんず
)” の例文
怨霊
(
おんりょう
)
のやつめ、
三途
(
さんず
)
の川で見当まちげえやがって、お門違いのおひざもとへ迷ってきやがったかもしれませんぜ。ええ、そうですよ。
右門捕物帖:23 幽霊水
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その翌日は非常に
厳
(
きつ
)
い坂で
三途
(
さんず
)
の
脱
(
のが
)
れ坂というのを
踰
(
こ
)
えねばならん。ところが幹事は誠に親切な人でヤクを貸して上げましょうという。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
(第二)来世の迷信から、その妻子・眷属にわかれて、ひとり死出の山、
三途
(
さんず
)
の川をさすらい行く心ぼそさをおそれるのもある。
死刑の前
(新字新仮名)
/
幸徳秋水
(著)
町の情報通は、虚と実のけじめもなく、そんなことをガヤガヤ話しあいながら、裸馬の
三途
(
さんず
)
行列を、首を長くして、待っていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
面白い。いや、真剣だ。——天人にはまだ修業が足りない。地獄、餓鬼、畜生、
三途
(
さんず
)
が相当だ。早い処が、舞台で、
伯竜
(
はくりょう
)
の手から、羽衣を
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
綿利
(
わたり
)
八右衛門など一人当千の勇士の面々、火の中にもあれ水の中にもあれ、死出
三途
(
さんず
)
主従一緒と思詰めたる者共が
堪
(
たま
)
り兼ねてツツと躍り出た。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
露
(
あら
)
わにした胸に並んで見える肋骨の併列と、
布子
(
ぬのこ
)
ともかたびらともつかない広袖の一枚を打ちかけた姿と言い、誰が見ても
三途
(
さんず
)
の川に頑張って
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だから死に近づきながら好い心持に、
三途
(
さんず
)
のこちら側まで行ったものが、順路をてくてく引き返す
手数
(
てすう
)
を
省
(
はぶ
)
いて、急に、
娑婆
(
しゃば
)
の真中に出現したんである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
泰平
(
たいへい
)
の世の江戸参勤のお供、いざ戦争というときの陣中へのお供と同じことで、
死天
(
しで
)
の山
三途
(
さんず
)
の川のお供をするにもぜひ殿様のお許しを得なくてはならない。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「悪い場所で消えようというのですね。しかし
三途
(
さんず
)
の川はどうしても渡らなければならないそうですから、その時は手の先だけを私に引かせてくださいますか」
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
この上は
三途
(
さんず
)
の川のおともをしてすえながくおそばにおいていたゞくとしよう、どうか来世はめあきにうまれておうつくしいおすがたをおがめるようになりたいものだ
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
といっちゃ
悪
(
わり
)
いでやすが、……こいでまあお嬢様お二人も、もうこの世に何にも思い残しなさることもねえようなわけで……今頃はお三人で、楽しく
三途
(
さんず
)
の川原ででも
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
あの刑事なら右腕をつけ根のところから
千切
(
ちぎ
)
られて、今頃は蒼い顔をして
三途
(
さんず
)
の川を歩いている筈だった。——が、それにしても、
声音
(
こわね
)
が似ているので、貫一はぞっとした。
奇賊悲願:烏啼天駆シリーズ・3
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
唯乳母が居て、地獄、極楽、
剣
(
つるぎ
)
の山、
三途
(
さんず
)
の川、
賽
(
さい
)
の
河原
(
かわら
)
や地蔵様の話を始終聞かしてくれた。
四
(
よつ
)
五歳
(
いつつ
)
の彼は身にしみて其話を聞いた。而して子供心にやるせない
悲哀
(
かなしみ
)
を感じた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
これが永代へでも
伸
(
の
)
された日にゃ、今頃は
三途
(
さんず
)
の川で夜桜を眺めているぜ、危ねえ話だ
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
キチガイ地獄の
三途
(
さんず
)
の川だよ。聞いたばかりで身の毛がザワ付く。八万地獄は愚かな事だよ。阿呆メチャクチャ
出鱈目
(
でたらめ
)
放題。あらん限りの虐待つづける。この世からなる精神病者の。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
美妙が
大祖
(
たいそ
)
と称するところの、八十五歳の養祖母おます婆さんは、
木乃伊
(
ミイラ
)
のごとき体から
三途
(
さんず
)
の川の
脱衣婆
(
おばあ
)
さんのような眼を光らせて、
姑
(
しゅうとめ
)
およしお婆さんの頭越しに錦子を
睨
(
にら
)
めつけた。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この極楽の蓮池の下は、丁度
地獄
(
じごく
)
の底に当って居りますから、
水晶
(
すいしよう
)
のような水を透き徹して、
三途
(
さんず
)
の河や針の山の景色が、丁度
覗
(
のぞ
)
き
眼鏡
(
めがね
)
を見るように、はっきりと見えるのでございます。
蜘蛛の糸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
下谷
通新町
(
とおりしんまち
)
の長助という若い大工が例の景品をせしめる
料簡
(
りょうけん
)
で、勇気を振るって木戸をはいって、獄門首のさらされている藪のきわや、骸骨の踊っている木の下や、
三途
(
さんず
)
の川や血の池や
半七捕物帳:57 幽霊の観世物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
地獄の沿道には
三途
(
さんず
)
の川、
剣
(
つるぎ
)
の山、
死出
(
しで
)
の山、
老
(
おい
)
の
阪
(
さか
)
、
賽河原
(
さいのかわら
)
などがあり、地獄には
叫喚
(
きょうかん
)
地獄、難産地獄、
無間
(
むげん
)
地獄、妄語地獄、
殺生
(
せっしょう
)
地獄、
八万
(
はちまん
)
地獄、お糸地獄、清七地獄等々があって
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
氏出でてより平和の極楽に達するになんの苦もなく、いわゆる剣山もなく、
三途
(
さんず
)
の川もなく、横行濶歩もって、陶朱公が術を抱いて、釈迦の極楽に旅行するの道を教えたり。この門ひとたび通ず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
彼は
三途
(
さんず
)
の川に侵入せり……
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「だれが、嘘を。——何も、死んでゆく俺の身は、
三途
(
さんず
)
の渡し賃さえあれやいい
理
(
わけ
)
だが、天下の御通宝を、腐らしちまうなあ、余り、勿体ねえからの」
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
テームスは彼らにとっての
三途
(
さんず
)
の川でこの門は
冥府
(
よみ
)
に通ずる入口であった。彼らは涙の
浪
(
なみ
)
に揺られてこの
洞窟
(
どうくつ
)
のごとく薄暗きアーチの下まで
漕
(
こ
)
ぎつけられる。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
恥をかきたくなけりゃ、子分どもをしかったらどうだい。それとも、三、四人
三途
(
さんず
)
の川を渡らせるかッ
右門捕物帖:21 妻恋坂の怪
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
生きて峠が越えられねえのだから、死んで
三途
(
さんず
)
の川を渡るのも、
乙
(
おつ
)
な
因縁
(
いんねん
)
だろうじゃねえか。道行の相手に、まあこのくらいの女なら俺の
身上
(
しんじょう
)
では大した不足もあるめえ。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
天に生まれる人も一度は
三途
(
さんず
)
の川まで行くということにあたることだとそれを思って私はこれで長いお別れをする。私が死んだと聞いても仏事などはしてくれる必要はない。
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
わざと
裸体
(
はだか
)
に耳打ちすると、裸体に
外套
(
がいとう
)
を
引被
(
ひっかぶ
)
って、……ちっとはおまけでしょうけれどもね、雪
一条
(
ひとすじ
)
、土塀と川で、
三途
(
さんず
)
のような寂しい
河岸道
(
かしみち
)
へ飛出して、気を構えて見ますとね
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三途
(
さんず
)
の
脱
(
のが
)
れ坂を
踰
(
こ
)
ゆ さてその翌日もその寺で泊り込んでいろいろその地の事について研究しましたが、夜はやはり
禅定
(
ぜんじょう
)
に入ってその楽しみを続けた。その時の楽しみは一生忘れられません。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
うららかな
春日
(
はるび
)
が丸窓の
竹格子
(
たけごうし
)
を黒く染め抜いた様子を見ると、世の中に不思議と云うものの
潜
(
ひそ
)
む余地はなさそうだ。神秘は
十万億土
(
じゅうまんおくど
)
へ帰って、
三途
(
さんず
)
の
川
(
かわ
)
の
向側
(
むこうがわ
)
へ渡ったのだろう。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この土地の新聞
一種
(
ひといろ
)
、買っては読めない境遇だったし、新聞社の掲示板の前へ立つにも、土地は狭い、人目に立つ、死出
三途
(
さんず
)
ともいう処を、一所に
徜徉
(
さまよ
)
った
身体
(
からだ
)
だけに、自分から気が
怯
(
ひ
)
けて
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
再び
三途
(
さんず
)
の
火坑
(
かこう
)
に
回
(
めぐ
)
り
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“三途(三悪趣)”の解説
三悪趣(さんあくしゅ)とは、仏教において、悪行を重ねた人間が死後に「趣く」といわれる3つの下層世界(地獄・餓鬼・畜生の3つ)を指す。三悪道(さんあくどう)、あるいは三悪、また三途(三塗とも、さんづ / さんず)などともいう。
浄土宗では「さんなくしゅ / さんなくどう」、浄土真宗 / 真宗では「さんまくしゅ / さんまくどう」と読み慣わす。
(出典:Wikipedia)
三
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“三途”で始まる語句
三途川
三途河
三途笠
三途川原
三途無量