一頭いつとう)” の例文
少年せうねんゆびさかたながめると如何いかにも大變たいへん! 先刻せんこく吾等われら通※つうくわして黄乳樹わうにうじゆはやしあひだより、一頭いつとう猛獸まうじういきほいするどあらはれてたのである。
……つひむかふを、うです、……大牛おほうし一頭いつとう此方こなたけてのそりとく。図体づうたいやまあつして野原のはらにもはゞつたいほど、おぼろなかかげおほきい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この遊歩いうほあひだ武村兵曹たけむらへいそうめいずるまゝに、始終しじゆう吾等われらまへになり、うしろになつて、あらかじ猛獸まうじう毒蛇どくじや危害きがいふせいでれた、一頭いつとう猛犬まうけんがあつた。
たれにか棄てられけむ、一頭いつとう流浪るらうの犬の、予が入塾の初より、数々しば/\庭前ていぜん入来いりきたり、そこはかと𩛰あさるあり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三聲みこゑつゞけていたとおもふと……ゆきをかついだ、ふとたくましい、しかしせた、一頭いつとう和犬わけん、むくいぬの、みゝ青竹あをだけをそいだやうにつたのが、吹雪ふゞきたきを、うへみねから
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
爆裂彈ばくれつだん! なんために? と讀者どくしや諸君しよくんいぶかるであらうが、これにはおほい考慮かんがへのあることである、いまその目的地もくてきちたつし、いざ建塔けんたふといふ塲合ばあひに、獅子しゝ猛狒ゴリラが、一頭いつとうでも、二頭にとうでも
なかおそろしかつたは、——ちや白大斑しろおほまだらけもの一頭いつとう天守てんしゆ階子はしごを、のし/\と、ひづめんであがつて、たゝみいてひとのやうに立上たちあがつた影法師かげぼふしが、をんなうへよことほると、姿すがたかくれて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)