一群いちぐん)” の例文
わたくしと、日出雄少年ひでをせうねんと、ほか一群いちぐん水兵すいへいとは、りくとゞまつて、その試運轉しうんてん光景くわうけいながめつゝ、花火はなびげ、はたり、大喝采だいかつさいをやるつもりだ。
彼らほど多人数たにんずでない、したがって比較的静かなほかの客が、まるで舞台をよそにして、気楽そうな話ばかりしているお延の一群いちぐんを折々見た。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕もまた或晩春の午後、或オペラの楽屋の廊下らうかに彼等の一群いちぐんを見たことがある。彼等は佐藤君の書いたやうに、ぞろぞろ廻り梯子ばしごを下つて行つた。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
で、宿やど了見れうけんばかりで電報でんぱうつた、とえて其処そこ出逢であつた一群いちぐんうちには、おうら親類しんるゐ二人ふたりまざつた、……なかない巡査じゆんさなどは、おな目的もくてきで、べつ方面はうめんむかつてるらしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
メェフラワァは、約三百年前、信仰、生活の自由をけん為に、欧洲からはる/″\大西洋を越えて、亜米利加の新大陸に渡った清教徒の一群いちぐんピルグリム、ファザァスが乗った小さな帆前船ほまえせんである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
すさまじい荒法師の一群いちぐんが、肩をいからし、高足駄を踏みならして
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沙立ちて銃声じうせいおこる一群いちぐんの支那兵わしる蒙古狗もうこいぬ吠ゆ
しわだむざう一群いちぐんよ、ふとしきあし練歩ねりあし
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
兵士、友人、縁者の一群いちぐん
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
快活くわいくわつなる水兵すいへい一群いちぐんその周圍まわり取卷とりまいて、『やあ、可愛かあひらしい少年せうねんだ、乃公おれにもせ/\。』と立騷たちさわぐ、櫻木大佐さくらぎたいさ右手めてげて
この何かに動かされる読者の一群いちぐんが、つまり読書階級と呼ばれるのである。或は文芸的知識階級と呼ばれるのである。
小説の読者 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼は残酷に在来の家屋をむしって、無理にそれを取り払ったような凸凹でこぼこだらけの新道路のかどに立って、その片隅かたすみかたまっている一群いちぐんの人々を見た。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うまでじやうたかぶつたところへ、はたと宿やどからさがしに一行いつかう七八人しちはちにん同勢どうぜい出逢であつたのである……定紋じやうもんいた提灯ちやうちん一群いちぐんなかツばかり、念仏講ねんぶつかうくづれともえれば、尋常じんじやう遠出とほで宿引やどひきともえるが
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
獅子児ししじ一群いちぐん
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲板かんぱん其處此處そここゝには水兵すいへい一群いちぐん二群にぐん、ひそ/\とかたるもあり、たのわらふもあり。武村兵曹たけむらへいそう兩眼りやうがんをまんまるにして
予は唯予の道を教へるだけである。……天下の人はことごとく互に虚偽を移し合つてゐる。丁度ちやうど一群いちぐん病羊びやうやうのやうに
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この陰気な一群いちぐんの人々は、ほとんど例外なしに似たり寄ったりの過去をもっているものばかりであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
翼の長い一群いちぐんかもめはちょうど猫のように啼きかわしながら、海面を斜めに飛んで行った。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)