じん)” の例文
小林少年はふたりのチンピラ君といっしょに、手塚家の裏手の、いちばんさびしいばしょにじんどって、しんぼう強く待っていました。
青銅の魔人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「二十九余町よちょう——まア、ざっと三十里でございまする。すると桑名くわなのごじんへつきますまでには、約三日ののちとあいなります」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仕方なく衛門のじんを出ようとすると、軽装した男が一人寄って来て(お供がいないのですか。私が負って差しあげましょう)
大力物語 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
三人がこんなふうにじんどっているとき、四歳よっつになる孫は、ゆかの上で、しきりに小さな板きれをあつめています。
ついに父は荒川放水を逃路とうろの限りとして背水のじんき、青海流水泳の最後の道場を死守するつもりである。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「どうせやる以上は、堂々のじんを張って、だらしのない今度の五年生を反省させるところまで行くんだな。」
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
二間三間とじんどって、ゆっくりはいりたければ、代金さえ支払えば定員だけはいらなくともよいのだし、そのかわりに子供もぜて六人はいっている窮屈なのもある。
何もかも素直に投げだして、背水はいすいじんいたらしく見える彼女を思うと、渡瀬はふと奇怪な涙ぐましさをさえ感じた。渡瀬はもとよりおぬいさんを憎んでいるのではない。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「今晩は陰暦十一月十六日、夜の十時には月高くお裏山の公孫樹こうそんじゅにかかって、老梟寒飢ろうきょうかんきに鳴く。一じん疾風しっぷう雑木林をわたって、颯々さつさつの声あり。ちょうど手頃でございますぞ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
別棟にじんどっている柳生の若侍たちも、夜は人なみに眠るものとみえて、広大な屋敷うちが、シインと深山みやまのよう……昼間のあばれくたびれか、白河夜船のさいちゅうらしく
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と一じんの強風が吹きすぎたと思うとともに、絞車盤こうしゃばんをとっていた、ドノバン、バクスター、イルコック、グロース、サービス、ウエップの六名は、ほんぜんと地上に投げたおされた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
三月程して熊本城の包囲が解け、薩軍は山深く退いたので、欣々と帰って見ると、オブチは彼の家にじんどった薩摩健男さつまたけおに喰われてしまって、頭だけ出入の百姓によって埋葬されて居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そうおもうとわたくしはわれをわすれて、おかうえからりようとしましたが、その瞬間しゅんかんたちまちゴーッとみみもつぶれるような鳴動うなりともに、いままでとはちがって、西にしからひがしへときをかえた一じん烈風れっぷう
和尚おしょうさんはねこじんとねずみのじんのまんなかにつっって、両手りょうてをひろげて
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこの家の安雄やすおさんは、もう青年学校にいっているような大きい人です。けれどいつも小さい太郎たちのよい友だちでした。じんとりをするときでも、かくれんぼをするときでもいっしょに遊ぶのです。
小さい太郎の悲しみ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
なんともろいぞ、てきじん
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
「つねにりきたえている胡蝶こちょうじんみましょう。ふだん武芸ぶげいをはげむのも、こういう場合ばあいのためにではありませぬか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おもな用件は、講師じんの編成とか、助手や炊事夫すいじふその他の使用人の物色ぶっしょくとかいうことにあったらしく、帰ってくるとその人選難をかこつことがしばしばだった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
学監の安斉あんざい先生は別の机にじん取って、若様がたの勉強ぶりを拝見しているが、実は先生の監督かんとくもかねている。家庭教師は元来やりにくいものである。教室で教える時のように
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それは蛇形だぎょうじんのごとく、うねうねと、裾野すそののあなたこなたからぬいめぐってくる一どう火影ほかげである。多くの松明たいまつ右往左往うおうざおうするさまにそういない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
凱歌がいかじんに見物されながら、ちりぢりに、あとの生活のあてもなく、落ち別れてゆく人々の姿と心はさまざまだった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういう背水はいすいじんを以て催促されているので、奉行ぶぎょうたる長秀は、信長が屡〻しばしば見まわりに来るごとに、その扈従こじゅうと案内に立っている暇も、実は、迷惑なほど、時間が惜しまれていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目明めあかじん、五里霧中のこと。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
梅酸ばいさんなつじん
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
矢作やはぎじん
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石兵せきへいじん
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じん展開てんかい
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鉄鎖てっさじん
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)