“陣幕”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とばり84.2%
じんまく15.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夜の戦野せんやから拾ッて来たと称して、物見組の一将校が、二人のかよわい者を連れ、おそるおそる尊氏の陣幕とばりへそれを告げに来ていた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陣幕とばりの外の士卒に、駒をあずけて、相木熊楠はずかずかと入って来た。鎧の鍛具うちものや太刀の柄に、雨のしずくが燦々きらきらと溜っている。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その陣幕じんまくをはらいあげて、忍剣にんけんは、蚕婆には見むきもせず、飛足ひそくばしておどりこむなり、稲妻いなずまのようにつぎのとばりのへ、チラとげこんだ黒衣こくいそでを、グッとつかんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
劇壇において芝翫しかん彦三郎ひこさぶろう田之助たのすけの名を挙げ得ると共に文学には黙阿弥もくあみ魯文ろぶん柳北りゅうほくの如き才人が現れ、画界には暁斎ぎょうさい芳年よしとしの名がとどろき渡った。境川さかいがわ陣幕じんまくの如き相撲すもうはそのには一人もない。
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)