“闖入者:ちんにゅうしゃ” の例文
“闖入者:ちんにゅうしゃ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治7
海野十三5
紫式部5
野村胡堂3
田中貢太郎3
“闖入者:ちんにゅうしゃ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 英米文学 > 小説 物語(児童)10.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.1%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
夫人は起きた。夫人は深夜戸締とじまりをかってに開けて入って来た闖入者ちんにゅうしゃとがめずにはいられなかった。
一握の髪の毛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
京姫はこの恐る闖入者ちんにゅうしゃが、男性であることを意識し乍ら、不思議に恐れる気持が無くなってしまいました。
毎日一定の時間には、必ず一定の昼寝をするように定められているのか知らん、と、闖入者ちんにゅうしゃは疑ったのではあるまい。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私は一瞬間このグロテスクな闖入者ちんにゅうしゃに驚かされましたが、直ぐ眼前の敵である細田氏の姿に眼をうつしました。
三角形の恐怖 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この無作法に一同がすっかり驚き、まだ一人もその驚きがしずまらないうちに、その闖入者ちんにゅうしゃの声が聞えたのであった。
が、会葬者のほとんど過半が、此無遠慮な闖入者ちんにゅうしゃに対して叱責しっせきに近い注視を投げたのである。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
乳母は心配をしながらも普通の闖入者ちんにゅうしゃを扱うようにはできぬ相手に歎息たんそくをしながら控えていた。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ただ折々に何処どこからか野良猫がさまよって来ますが、この闖入者ちんにゅうしゃは棒やほうきで残酷に追い払われてしまいます。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
順作はよけいなことを云っていい気もちになっていた女を怒らした闖入者ちんにゅうしゃが憎くて憎くてたまらなかった。
藍瓶 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
住民は日頃の生活ぶりにかえっていた。闖入者ちんにゅうしゃたちとは同じ場所で、別な空気を吸っているのであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
ようやく周囲に目の馴れて来た彼は突然の闖入者ちんにゅうしゃの自分のために隅の方へ寄って小さくなっている一人の娘の姿を認めた。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
それにすずめの巣に燕が顔を出したとしたら、それは闖入者ちんにゅうしゃということになりはしないだろうか。
落穂拾い (新字新仮名) / 小山清(著)
それにしても自分たちの眼にも見えない闖入者ちんにゅうしゃの名を、幼いお春がどうして知っているのであろう。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そのときこの不可抗の闖入者ちんにゅうしゃは、私はそれを虐殺ぎゃくさつするか、それともそれに全く身をまかせてついてゆくかである。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
と見た投げ槍の小六はまなじりを裂いて樫の玉槍を二人の闖入者ちんにゅうしゃの前にピッタリとつき付けた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羅卒はそれにも明瞭はっきりしたことが云えず、手をあげて闖入者ちんにゅうしゃを案内しているのであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
と、気早やなとびの者が一人、この気味の悪い闖入者ちんにゅうしゃの方へ飛んで行ったが、手にした匕首——しかも血みどろなのを眺めると、
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
それかとって、強盗であるかも知れぬ闖入者ちんにゅうしゃを、かばうような口はけなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ああ、手がつけられない! 兵馬も、うたた感心して、闖入者ちんにゅうしゃというものの扱いにくいことを、今更しみじみと身に覚えたのでしょう。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その次に載っている桑田の小説「闖入者ちんにゅうしゃ」だって、渾然こんぜんとしてまとまった小品だ。
無名作家の日記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
私は、ルセアニア人へ話しかけようとしていた言葉を、唇の上でみ消したまま、この不可抗力による闖入者ちんにゅうしゃ観察スタディした。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
あの石ノ庭、局々つぼねつぼね、およそ柳営の隅々までをいま、足音のない闖入者ちんにゅうしゃのような薄煙が、所きらわず這いまわっている——。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
話し手のいる方角は、彼等の声の響だけではなく、数羽の鳥がまだその闖入者ちんにゅうしゃたちの頭上に驚いて舞っている様子でも、かなり精確にわかった。
皆の者は驚いて、四方あたりにとび散りながら、眼をみはって闖入者ちんにゅうしゃを見る。
探偵戯曲 仮面の男 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
それこそ一糸もまとわぬ全裸な若い少女が二十人ほども、突然の闖入者ちんにゅうしゃ
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
むしろこれへ入って来た闖入者ちんにゅうしゃの来意を問わんとするかのような態度だった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太助は見えぬ眼を見開いて、さして驚く風もなく、この闖入者ちんにゅうしゃを迎えます。
それもあとで聞いたので、小県がぞッとするまで、不思議に不快を感じたのも、赤い闖入者ちんにゅうしゃが、再び合掌して席へ着き、近々と顔を合せてからの事であった。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしこの言葉は顧みられず、一発も撃たれなかったので、闖入者ちんにゅうしゃの一人だけ生き残った奴は逃げおおせて、他の連中と一緒に森の中へ姿を消してしまった。
署長を始め刑事達は、あっけにとられて、不思議な闖入者ちんにゅうしゃの姿を眺めた。
夢遊病者の死 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
うつらうつらと三尺の庭にも陽炎かげろうの舞う昼下がりでした。仮名草紙を出して、九郎判官義経かなんかにあこがれていると、いきなりこの闖入者ちんにゅうしゃです。
この闖入者ちんにゅうしゃは、さっきもいったとおり、なかなかの剛力だった。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「小太ちゃんが、貴女あなたがきっと、ここにいらっしゃるから、誘って行こうって、僕を連れて来たんです。」青年は、何か闖入者ちんにゅうしゃであるかのように、弁解した。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
とささやいた。抱いて行った人を静かに一室へおろしてから三の口をしめた。この不謹慎な闖入者ちんにゅうしゃにあきれている女の様子が柔らかに美しく感ぜられた。ふるえ声で、
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ただ闖入者ちんにゅうしゃが来て、経験したこともない恥ずかしい思いを味わわされたについても、中の君はどう思うことであろうと、せつなく苦しくて、うつ伏しになって泣いていた。
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
突然の闖入者ちんにゅうしゃ門倉平馬、必死の形相で、またも叫んだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
(あっ、彼奴あいつの声だ。怪しい闖入者ちんにゅうしゃの声だ!)
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私達は、この突然の闖入者ちんにゅうしゃの濃いひげでかくれた、中年の苦悩に刻まれた古銅色の顔、霜枯れた衣服の下で凍った靴に、死人のようなはだのぞいているのを見た。
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
意外なる闖入者ちんにゅうしゃ——触覚しょくかくをもった謎の男
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今や尋ねかけるのは闖入者ちんにゅうしゃなる彼の方であった。
卑怯のようであるが、大事をき起さないうちに——またあまり手間どって無用の怪我けがを求めないうちに、この不可解な闖入者ちんにゅうしゃを、一気に成敗してしまうにくはない。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あ、この幽艶ゆうえん清雅な境へ、すさまじい闖入者ちんにゅうしゃ! と見ると、ぬめりとした長い面が、およそ一尺ばかり、左右へ、いぶりを振って、ひゅっひゅっと水をさばいて、真横に私たちの方へ切って来る。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中の二人はむつまじそうに話しているところへ、不意の闖入者ちんにゅうしゃがあったので、びっくりして離れ離れになってちあがったが、入って来た者が奴さんだと知ると、平生へいぜいからばかにしきっている女は
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
五燭の灯の下にぼんやり照し出されるあわれな狼藉ろうぜきの有様は、何か動物が生命をつなぐことのためにわずかなものを必死と食いむさぼる途中を闖入者ちんにゅうしゃのために追い退けられた跡とも見える。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
美しき闖入者ちんにゅうしゃ
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
表にこそはいくらか宵星のうっすらとしたほのあかりがありましたが、屋のうちはあんどん一つともっていないまっくらがりでしたのに、それなる不意の闖入者ちんにゅうしゃばかりは、夜物が見えるふくろうの目玉でも備えつけているのか
闖入者ちんにゅうしゃ
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はじめは女一の宮の女御さんを力のように思っていましたし、后の宮様も六条院の御関係で御寛大に御覧くださるだろうと考えていたことですが、今日はどちらも無礼な闖入者ちんにゅうしゃとしてお憎みあそばすようでしてね。困りましてね。
源氏物語:46 竹河 (新字新仮名) / 紫式部(著)
不時の闖入者ちんにゅうしゃを見て二人は、はっと身を退けましたが、私はむらむらと湧き起る憎念の抑え難く、房枝っ、と叫び態、握って居たスティックを右手に振り上げ呆気にとられて茫然たる妻の真向眼がけて、力委せにっ叩いたのであります。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
すでに明白なのは、神意審問会の際張出縁に動いていた人影と、最初乾板を拾いに来た園芸倉庫からの靴跡、それに薬物室の闖入者ちんにゅうしゃ——と以上の三人が、算哲をたおし、あの夜ダンネベルグ夫人の室に侵入した人物と同一人だという事だった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
が、そこはれいの神馬小屋しんめごやであったので、注連飾しめかざりをつけた白馬しろうまが、ふいの闖入者ちんにゅうしゃにおどろいて、ヒーンと一こえいなないたかと思うと、飛びこんできた蛾次郎の脾腹ひばらひづめでパッと蹴りかえした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飲んで騒ぐことなら光広も負けないし、雅談や酒の量なら信尹もおくれを取っていまいが、こういきなりまくし立てられたので、顔負けしたというか、さすがの二人も、この細ッこい闖入者ちんにゅうしゃのために、すっかり座興をさらわれてしまった形で沈黙していた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ、よくは分らないが、何としても、メントール侯の居間の中にあると思うんだ。もっとも、これまでにメントール侯の居間は、幾度も秘密の闖入者ちんにゅうしゃのために捜査されたらしいが、遂に一物も得なかったという。だから、宝物はまだ安全に、そこに隠されてあるのだと思う」
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
……あたし今度は自分でちっとも済まない事をしたという気が起らないの、でもハズだって随分乱暴なことをいった、不良少女、ヴァンパイア、文学中毒、——ありとあらゆる汚名をあびせて、それでも足りないで光ちゃんのことまでも「寝室の闖入者ちんにゅうしゃ」だの「家庭の破壊者」だのと
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかも、目がよくきかないとみえて、ためつすかしつしながら、しげしげと不意の闖入者ちんにゅうしゃを見ながめていましたが、ひと目に八丁堀衆とわかる巻き羽織した名人のそでの陰に、小娘がおどおどしながらたたずんでいるのに気がつくと、やにわに顔色を変えながら、よたよたとあわてふためいて逃げ出しました。
庸三は時とすると、奥の部屋で子供たちとも一緒に、窮屈な一つ蚊帳かやのなかにまくらを並べるのだったが、世帯しょたいが彼女の世帯で、その上子供や女中もいるので、気持に落着きもなかったし、葉子も時には闖入者ちんにゅうしゃに対するような目を向けるので、なごやかというわけには行かなかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ひとこと残して泰軒の方へ走り去ろうとすると、剣光、栄三郎の背後に乱れ飛んで、火事装束の武士達一がんとなって追い迫ったが、先ほどからこの不意の闖入者ちんにゅうしゃをみとめて、泰軒を捨てて馳せ集まっていた化物屋敷の面々、今は自分の頭上の火の子だから、栄三郎ともども、ひとつに包んでかかってきた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いつも変わらぬ明石の返歌の美しい字を御覧になっても、この人を無礼な闖入者ちんにゅうしゃのように初めは思っていた女王が、近年になって互いに友情を持ち合うようになり、自尊心を傷つけない程度の交わりをしていたのであるが、明石はそれとも気がつかなかったであろうなどとも院は来し方のことを思っておいでになった。
源氏物語:42 まぼろし (新字新仮名) / 紫式部(著)