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閉籠
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とじこも
ふりがな文庫
“
閉籠
(
とじこも
)” の例文
独身で暮す
鰥
(
やもお
)
に似ず、
極
(
ごく
)
内気でございますから、
外出
(
そとで
)
も致さず
閉籠
(
とじこも
)
り、
鬱々
(
うつ/\
)
と
書見
(
しょけん
)
のみして居ります
処
(
ところ
)
へ、
或日
(
あるひ
)
志丈が尋ねて参り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
区々たる藩閥の巣窟に
閉籠
(
とじこも
)
り、自家の功名栄達にのみ
汲々
(
きゅうきゅう
)
たる桂内閣ごときでは、到底、永遠に日本の活力を増進せしめる事は出来ない。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
正午
(
ひる
)
時分にいったん帰って、居間へ
閉籠
(
とじこも
)
ったが、しばらくすると、またどこへか出て行きました。そうして夕方になって戻って来ました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
種彦は日ごと
教
(
おしえ
)
を乞いにと尋ねて来る門弟たちをも次第々々に遠ざけて、唯一人二階の
一間
(
ひとま
)
に
閉籠
(
とじこも
)
ったまま、昼となく夜となく
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
岸本はまたその頃の記憶を階下から自分の書斎へ持って来ることも出来た。
独
(
ひと
)
りで二階に
閉籠
(
とじこも
)
って机に向っている彼自身がある。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
世間ではよい月だと云つて、
或
(
あるい
)
は二階から仰ぎ、あるひは店先から望み、あるひは往来へ出て眺めてゐるなかで、かれ一人は奥に
閉籠
(
とじこも
)
つてゐた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私はその中に
閉籠
(
とじこも
)
り、世の中との交渉を絶つ事によって、ようやく
嘲罵
(
ちょうば
)
の声を耳にしず、石をぶつけられ、
横面
(
よこつら
)
を張飛ばされる事を免かれました。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
多人数一室へ
閉籠
(
とじこも
)
って、徹夜で、
密々
(
ひそひそ
)
と話をするのが、
寂
(
しん
)
とした
人通
(
ひとどおり
)
の無い、
樹林
(
きばやし
)
の中じゃ、その
筈
(
はず
)
でしょう。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
研究室に
閉籠
(
とじこも
)
っていて世間とはまったく
往来
(
ゆきき
)
をしなかったばかりか、博士号をどうしても固辞して受けなかった、ということは聞いていたが、それにしても
地図にない島
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
来た当座、針を動かしている彼は時々巡査の影を見て
怕
(
おそ
)
れおののいていた。そしてどんな事があっても、一切
日
(
ひ
)
の
面
(
おもて
)
へ出ることなしに、家にばかり
閉籠
(
とじこも
)
っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「まあ、
気鬱症
(
きうつしょう
)
とか申すのだそうでございましょうかな。滅多にございませんが、一旦そうおなりになると一人であすこへ
閉籠
(
とじこも
)
って、人と口を利くのを嫌がられます」
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「わしは、これからひとりで
閉籠
(
とじこも
)
って、十号ガスをうんとつくらにゃならんのじゃ。火星兵団をやっつけるには、十号ガスをよほど多量にもっていなければならんのでのう」
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
教師が学校内にばかり
閉籠
(
とじこも
)
っているのと
違
(
ちが
)
い、若い婦人は学校の門を一足出れば直ぐに「娘」としての自由な天地に遊んで、自身で新代の令嬢教育を不完全ながら試みております。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
母や兄嫁は立ったり坐ったり、何となしに家事に忙しかったが、勝代はざっと二階の
掃除
(
そうじ
)
をして、時間はずれの朝餐を一人で食べると、下女に
吩咐
(
いいつ
)
けて、二階の
炬燵
(
こたつ
)
に火を入れさせて
閉籠
(
とじこも
)
った。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
そうして朝暮出入している愛松、極堂らの諸君とは軌道を
異
(
こと
)
にして、多くの時間は二階に
閉籠
(
とじこも
)
って学校の先生としての忠実なる準備と英文学者としての真面目な修養とに力を注いでいたのである。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
相川さん、今晩は用心しないといけませんぜ。先生はひどく不機嫌です。いつも余り機嫌のいい人じゃありませんがね。今晩は殊にひどいですよ。さい前帰ってから、書斎に
閉籠
(
とじこも
)
ったきり、お茶を
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
君、部屋のなかに
閉籠
(
とじこも
)
っているので、散歩がてらそこへ行ってみ給え。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
大した
創
(
きず
)
ではないが
容体
(
ようだい
)
が思わしくないから、お浜が引続き郁太郎を
介抱
(
かいほう
)
している間に、竜之助は一室に
閉籠
(
とじこも
)
ったまま
咳
(
せき
)
一つしないでいるから
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そんなこといってる
隙
(
ひま
)
がなかったのが、雨で
閉籠
(
とじこも
)
って、淋しいので思い出した、ついでだから聞いたので。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二階からといって、眼薬をさす
訳
(
わけ
)
でもない。私が現在
閉籠
(
とじこも
)
っているのは、二階の八畳と四畳の二間で、飯でも食う時のほかは
滅多
(
めった
)
に下座敷などへ降りたことはない。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
船房に
閉籠
(
とじこも
)
っている乗客は少なかった。大概の人は
甲板
(
かんぱん
)
の上に出て、春らしい光と熱とに
耽
(
ふけ
)
り楽んだ。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
始終蒼い顔ばかりしている病身な主婦は、暖かそうな日には、明い裏二階の部屋へ来て、
希
(
まれ
)
には針仕事などを取出していることもあったが、大抵は薄暗い自分の部屋に
閉籠
(
とじこも
)
っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
復讐
(
かたきうち
)
の外は人を殺せば大抵死罪と決って居りますから、何分長二を助命いたす工夫がございませんので、筒井侯も思案に屈し、お居間に
閉籠
(
とじこも
)
って居られますを、奥方が御心配なされて
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そう思うと、居ても立っても居られなかった。このごろでは自動車の運転も控え目にして、
温和
(
おとな
)
しく、
閉籠
(
とじこも
)
っている自室を出ると孫を呼んで、自分が生きているかどうかを、
尋
(
たず
)
ねてみた。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
日の目を見ないやうな奥の
間
(
ま
)
にばかり
閉籠
(
とじこも
)
つてゐるために、運動不足、それに伴ふ食慾不振がいよ/\
彼女
(
かれ
)
を疲らせて、さながら生きてゐる幽霊のやうになり果てた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その
老人
(
としより
)
は、
年紀
(
とし
)
十八九の時分から
一時
(
ひとしきり
)
、この世の中から行方が知れなくなって、今までの間、甲州の山続き
白雲
(
しらくも
)
という峰に
閉籠
(
とじこも
)
って、
人足
(
ひとあし
)
の絶えた処で、行い澄して
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一中節の門付はそんなことには
些
(
ちっ
)
とも
頓着
(
とんじゃく
)
はしませんで、時間を
違
(
ちが
)
えず毎日廻ってまいり、お若さんの
閉籠
(
とじこも
)
っている
草庵
(
そうあん
)
の前に立って三味線弾くこともありますが、或日の事でございました
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と藤色の緒の
表附
(
おもてつき
)
の
駒下駄
(
こまげた
)
を、
紅
(
べに
)
の
潮
(
さ
)
した
爪先
(
つまさき
)
に
引掛
(
ひっか
)
けながら、私が
退
(
の
)
いた後へ手を掛けて、格子から外を
覗
(
のぞ
)
いた、
門
(
かど
)
を出てからで
可
(
よ
)
さそうなものを、やっぱり雨に
閉籠
(
とじこも
)
った処を
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奥様も人に顔を見られるのを
厭
(
いと
)
って、年中アノ座敷に
閉籠
(
とじこも
)
ったままで滅多に外へ出た事も無かったでしたが、ツマリ自分の良心に責められたのでしょう、
気病
(
きやみ
)
のようにブラブラと寝つ起きつ
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
朝晩は、
単衣
(
ひとえ
)
に羽織を
被
(
き
)
て、ちとまだぞくぞくして、悪い陽気だとばかり、言合って
閉籠
(
とじこも
)
っていた処……その日は朝から雨が
上
(
あが
)
って、昼頃には
雲切
(
くもぎれ
)
がして、どうやら晴れそうな空模様。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
父さんはね、それにね、
頃日
(
このごろ
)
は、家族主義の事に就いて、ちっと纏まった著述をするんだって、母屋に
閉籠
(
とじこも
)
って、時々は、何よ、一日蔵の中に入りきりの事があってよ。蔵には書物が一杯ですから。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
閉
常用漢字
小6
部首:⾨
11画
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“閉”で始まる語句
閉
閉口
閉塞
閉切
閉場
閉門
閉鎖
閉込
閉伊
閉出