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衢
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ちまた
ふりがな文庫
“
衢
(
ちまた
)” の例文
これは
衢
(
ちまた
)
の神たる猿田彦大神を青面金剛すなわち三猿の親方と同体と心得、道家のいわゆる三尸が天に登って人の罪悪を告ぐるを防がんため
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
歴史があり、物語があり、繁華がある。それらは
暫
(
しばら
)
くの間若い心を躍らせて常に憧憬の
衢
(
ちまた
)
であった東都の空を想う念も暫くの間は薄らいでいた。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
私などは衆群にはいる前にもっと独居しなくてはならないのではありますまいか。
衢
(
ちまた
)
に出ずるまでにもっと荒野に試みられねばならないのでは?
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
疑がえば
己
(
おのれ
)
にさえ
欺
(
あざ
)
むかれる。まして己以外の人間の、利害の
衢
(
ちまた
)
に、損失の
塵除
(
ちりよけ
)
と
被
(
かぶ
)
る、
面
(
つら
)
の厚さは、容易には
度
(
はか
)
られぬ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
我は
羅馬
(
ロオマ
)
の塵多き
衢
(
ちまた
)
、焦げたるカムパニアの野、汗流るゝ午景を背にせしを喜びて、人々の我を伴ひ給ひしを謝したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
それらの者はこの六月の末という暑気に重い甲冑を着て、
矢叫
(
やさけび
)
、
太刀音
(
たちおと
)
、
陣鐘
(
じんがね
)
、太鼓の
修羅
(
しゅら
)
の
衢
(
ちまた
)
に汗を流し血を流して、追いつ返しつしているのであった。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
渠等
(
かれら
)
は
社
(
やしろ
)
の抜裏の、くらがり坂とて、穴のような中を抜けてふとここへ
顕
(
あらわ
)
れたが、坂下に大川一つ、橋を向うへ越すと、山を
屏風
(
びょうぶ
)
に
繞
(
めぐ
)
らした、
翠帳紅閨
(
すいちょうこうけい
)
の
衢
(
ちまた
)
がある。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
よぶ たらちねの 母の
命
(
みこと
)
か
百
(
もも
)
足
(
た
)
らず
八十
(
やそ
)
の
衢
(
ちまた
)
に
夕占
(
ゆふげ
)
にも
卜
(
うら
)
にもぞ問ふ 死ぬべき我がゆゑ
伊勢物語など
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
六四
畿内河内の国に
六五
畠
(
はたけ
)
山が
同根
(
どうこん
)
の争ひ果さざれば、
京
(
みやこ
)
ぢかくも騒がしきに、春の頃より
六六
瘟疫
(
えやみ
)
さかんに
行
(
おこな
)
はれて、
屍
(
かばね
)
は
衢
(
ちまた
)
に
畳
(
つ
)
み、人の心も今や
六七
一
劫
(
ごふ
)
の
尽
(
つ
)
くるならんと
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
あたかも
刀戟
(
とうげき
)
相摩し、砲銃相接するの修羅の
衢
(
ちまた
)
に悠然として平服を着し、脱刀して横行濶歩する者のごとく、実にその傍若無人の挙動に至りては、何人といえども驚かざるを得ず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
悲しいかな仏日はやく没して、
生死流転
(
しょうじるてん
)
の
衢
(
ちまた
)
冥々
(
みょうみょう
)
たり。人ただ色に耽り酒に耽る。誰か
狂象
(
きょうぞう
)
、
跳猿
(
ちょうえん
)
の迷を取り除くを得ん。徒らに人を
謗
(
ぼう
)
し法を謗す。これあに
閻魔
(
えんま
)
獄卒の責めを免れんや。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
われひとり物おもふ
室
(
へや
)
にきこえくる
鈍
(
にぶ
)
くおもおもしき
衢
(
ちまた
)
のおとは
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
堕落させ、果し合い、あちこちへ
流離
(
さすら
)
わせ、
迷
(
まよい
)
の
衢
(
ちまた
)
を
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
ただ
茫然
(
ばうぜん
)
と、
迷
(
まど
)
はしき「愛」の
衢
(
ちまた
)
にひとり立つ。
ありとあらゆるわが思
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
終
(
つひ
)
に見果てぬ内心の夢の
衢
(
ちまた
)
に迷ふらむ。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
舊きは
廢
(
すた
)
れ
街
(
まち
)
衢
(
ちまた
)
、また新しく榮ゆべき
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
道の
衢
(
ちまた
)
にいきほへど
ソネット
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
ひねもす空の
八
(
や
)
衢
(
ちまた
)
に
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
衢
(
ちまた
)
や、旅行や、盗難を司る庚申のほかに、田畑、作物を司る猴神ある事前述のごとく、そのほかまた猴を山の神とせるあり。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
われは
蹣跚
(
まんさん
)
として
階
(
きざはし
)
を下り、舟を
喚
(
よ
)
びて水の
衢
(
ちまた
)
を逍遙せり。二人の
柁手
(
こぎて
)
は相和して歌ふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
海陸飛脚の往来
櫛歯
(
くしのは
)
を
挽
(
ひ
)
くよりも
忙
(
いそ
)
がわしく、江戸の大都繁華の
巷
(
ちまた
)
も
俄
(
にわか
)
に
修羅
(
しゅら
)
の
衢
(
ちまた
)
に変じ、万の武器、調度を持運び、市中古着
商
(
あきな
)
う家には
陣羽織
(
じんばおり
)
、
小袴
(
こばかま
)
、
裁付
(
たっつけ
)
、
簑笠
(
みのかさ
)
等をかけならべ
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
私はキリストが昔「われ
衢
(
ちまた
)
に立ちて笛ふけども人躍らず、歌えども和せず」
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
皆具
(
かいぐ
)
取鎧
(
とりよろ
)
うて
草摺長
(
くさずりなが
)
にザックと着なした
大鎧
(
おおよろい
)
で茶室へも通れまいし、又如何に茶に招かれたにしても
直
(
ただち
)
に其場より修羅の
衢
(
ちまた
)
に踏込もうというのに
袴
(
はかま
)
肩衣
(
かたぎぬ
)
で、其肩衣の鯨も抜いたような
形
(
なり
)
も変である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
卜部
(
うらべ
)
をも八十の
衢
(
ちまた
)
も
占問
(
うらと
)
へど君をあひ見むたどきしらずも
伊勢物語など
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
心しづめて部屋にし居れば
衢
(
ちまた
)
より神の祭りの
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
きこゆ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
終
(
つひ
)
に見果てぬ内心の夢の
衢
(
ちまた
)
に迷ふらむ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
京洛
(
けいらく
)
の
衢
(
ちまた
)
に満つる初笑
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
蒸
(
む
)
しぐるし
衢
(
ちまた
)
日中
(
ひなか
)
を
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
われは或ときは蔭多き
衢
(
ちまた
)
をそゞろありきし、或ときは一室に枯坐して新に戲曲の稿を起しつ。曲の主人公はレオナルドオ・ダ・ヰンチなりき。レオナルドオの住みしは此地なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
衢
漢検1級
部首:⾏
24画
“衢”を含む語句
街衢
通衢
康衢
八衢
八千衢
八達之衢
天八達之衢
敵討合法衢
絵本合法衢
衢神
衢風
趙衢
通衢上
道衢
雲衢