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膂力
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りょりょく
ふりがな文庫
“
膂力
(
りょりょく
)” の例文
それからもう一つは、そう云う
離業
(
はなれわざ
)
を
演
(
や
)
って
退
(
の
)
けられる
膂力
(
りょりょく
)
と習練を備えた人物が、現在この事件の登場人物のうちにあるからだ。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
裏庭の暗がりを、肉体のしなやかさにくらべて、驚くべき
膂力
(
りょりょく
)
を持った不思議な人間は、ぐいぐいと、お初を塀の方へ
曳
(
ひ
)
いてゆく。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
すべての
膂力
(
りょりょく
)
と意力を傾けてたたかうことが出来る、征服するか、それともこちらが
斃
(
たお
)
れるか、ぎりぎりで挑むことが出来るであろう。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
が、それにしても、あんなに
膂力
(
りょりょく
)
すぐれた大石武右衛門が、こんなに簡単に殺されるなどということが、あり得るだろうか。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
果してそれは驚くべき程の
膂力
(
りょりょく
)
であった。額に大きな汗をにじませ今に息も絶え兼ねまじい苦しい表情で、一歩一歩と踏板を下りて行くのだ。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
▼ もっと見る
見れば
山寨
(
さんさい
)
第一の
膂力
(
りょりょく
)
、熊のごとき
髯
(
ひげ
)
をたくわえている
轟又八
(
とどろきまたはち
)
だった。すると一ぽうから、
軍謀
(
ぐんぼう
)
第一のきこえある
丹羽昌仙
(
にわしょうせん
)
がしかつめらしく
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
膂力
(
りょりょく
)
また衆に秀でていると見えて、ひと際すぐれた
強力
(
ごうきゅう
)
を満月に引きしぼりながら、気取りに気取って射放ったまでは大層もなく立派だったが
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と私は一喝したが、しかし私とてもこの付近にあの
膂力
(
りょりょく
)
すぐれた類人猿が潜んでいると知っては、もちろん背筋を冷汗が走るのを禁じ得なかった。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
悪漢は異常な
膂力
(
りょりょく
)
を有していて脱走することを得たが、脱走後三、四日にして、警察は再びパリーにおいて彼を捕えた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
金五郎の
膂力
(
りょりょく
)
をよく知っているので、正面から立ち向かっても、勝ち味のないことは、角助自身が、百も承知している。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
すなわち片手で自由自在に、大刀を
揮
(
ふる
)
うだけの
膂力
(
りょりょく
)
あるもの、そうして
軽捷
(
けいしょう
)
抜群の者と
自
(
おのずか
)
ら
定
(
き
)
められているのであった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
けれども
焉
(
いずく
)
んぞ知らん、外より共に帰って家庭内の人となるや、往々にして、
忽
(
たちま
)
ち夫婦
喧嘩
(
げんか
)
を演じ、声荒々しく
膂力
(
りょりょく
)
逞しき妻にその手をねじ伏せられて
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
そうして殆ど
凡
(
すべ
)
ての場合、相手の女を抓り引掻き突飛ばした
揚句
(
あげく
)
、丸裸に引剥いて
了
(
しま
)
った。エビルは腕も脚も飽く迄太く、
膂力
(
りょりょく
)
に秀でた女だったのである。
南島譚:02 夫婦
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
この人間以上の
膂力
(
りょりょく
)
は、周囲に
佇
(
たたず
)
んだ若者たちから、ほとんど声援を与うべき余裕さえ奪った
観
(
かん
)
があった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
廖平こゝに
於
(
おい
)
て人々に
謂
(
い
)
って曰く、諸人の
随
(
したが
)
わんことを願うは、
固
(
もと
)
よりなり、但し随行の者の多きは功無くして害あり、家室の
累
(
るい
)
無くして、
膂力
(
りょりょく
)
の
捍
(
ふせ
)
ぎ
衛
(
まも
)
るに足る者
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
常人よりも
膂力
(
りょりょく
)
の弱い私は、常に人一倍の苦痛を忍ばねばならなかった。その記憶が眼前の光景につながり、
呼吸
(
いき
)
がつまるような気がした。私は、吉良兵曹長の顔をぬすみ見た。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
組ませておいて投げるつもりだったが、相手のくそ力に
吃驚
(
びっくり
)
した。右四つに組んだ
巨躰
(
きょたい
)
は千斤の鉄塊のように重く、じりじりと引く双腕の
膂力
(
りょりょく
)
はまんりきのように
強靱
(
きょうじん
)
であった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一学は剣技に錬達しているだけではなく、それに持ち前の
膂力
(
りょりょく
)
が加わって、どのような敵に対しても肉体的な迫力を示した。その進境の眼ざましさには浦周之助も舌を巻いている。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
囮
(
おとり
)
になった浅川監督は、人一倍優れた
膂力
(
りょりょく
)
を持っていたし、その上武器も持っていれば、張り切った警戒力も備えていた筈であった。おまけに相手は武器も持たずに隠れているのだ。
坑鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
なかなかの
膂力
(
りょりょく
)
があって、酒を飲んで興たけなわなる時は、
神祇組
(
じんぎぐみ
)
でも、
白柄組
(
しらつかぐみ
)
でも、向うに廻して喧嘩を辞せぬ勇気があり、また喧嘩にかけては、ほとんど無敵——というよりは
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
とにかく腕力と
膂力
(
りょりょく
)
とだけは十分な記録があり、また記録外の証跡も残っている。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この動物の巨大な身長や、非常な
膂力
(
りょりょく
)
と活動力や、凶猛な残忍性や、模倣性などは、すべての人によく知られているところである。私はあの殺人が凄惨を極めているわけをすぐに悟った。
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
年の割り合いに体重があり
膂力
(
りょりょく
)
がある法師丸は、剣にかけても自信があった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
猿は臂長く
膂力
(
りょりょく
)
に富み樹枝を
揺
(
ゆす
)
って強く
弾
(
はじ
)
かせ飛び廻る。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
膂力
(
りょりょく
)
は自然の
賜物
(
たまもの
)
だ。……
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
空腹と疲労から来る神経の
昂
(
たか
)
ぶりであったかも知れぬ。いずれにせよ、あの男のことを考えると
膂力
(
りょりょく
)
が全身にみなぎって来た。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「宗匠、遺憾ながら事態を解せず。剣力、
膂力
(
りょりょく
)
をもって処せんには、あに怖れんや。ただ金力なきをいかんせん」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それっと手下の者ども、総がかりとなって、相手の浪人を
蔽
(
おお
)
いつつみましたが、その者の
膂力
(
りょりょく
)
絶倫
(
ぜつりん
)
で、当れば当るほど猛気を加え、如何とも手がつけられません。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この人は苦労人だなとすぐに子路は感じた。
可笑
(
おか
)
しいことに、子路の
誇
(
ほこ
)
る武芸や
膂力
(
りょりょく
)
においてさえ孔子の方が上なのである。ただそれを
平生
(
へいぜい
)
用いないだけのことだ。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
手力雄尊は素戔嗚の罪を憎みながらも、彼の非凡な
膂力
(
りょりょく
)
には愛惜の情を感じていた。これは同時にまた思兼尊が、むざむざ彼ほどの若者を殺したくない理由でもあった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
で、八犬士でも為朝でもそれらを否定せぬ様子を現わして居ります。武術や
膂力
(
りょりょく
)
の尊崇された時代であります。で、八犬士や為朝は無論それら武徳の
権化
(
ごんげ
)
のようになって居ります。
馬琴の小説とその当時の実社会
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
右衛門は桂子の
股肱
(
ここう
)
の臣で、桂子のためなら水火の中であろうと、笑って平然とはいって行くほどの、忠誠の心の持ち主であり、仁に近いほどの
木訥漢
(
ぼくとつかん
)
であったが、剛勇無双
膂力
(
りょりょく
)
絶倫
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ハヌマン猴王は死せず、その身金剛にして
膂力
(
りょりょく
)
人に絶す。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
山の木を
伐
(
き
)
ったり、土を掘りくりかえしたり——つまり、これは一人前だ、と、そう認める
膂力
(
りょりょく
)
であった。労働に耐え得る体格であったのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
司馬の道場をここまで持ってきたのは、むろん、老先生の剣と人物によることながら、ひとつには、この
膂力
(
りょりょく
)
と才智のすぐれた峰丹波というものがあったからで。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼等はみんな腕まくりをして、なるべく大きい岩を
抱
(
だ
)
き起そうとした。が、手ごろな巌石のほかは、中でも
膂力
(
りょりょく
)
の
逞
(
たくま
)
しい五六人の若者たちでないと、容易に砂から離れなかった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ところが、生不動一人さえ容易ならぬ大敵だのに、彼の両側には、こんがら重兵衛、せいたか藤兵衛という、
膂力
(
りょりょく
)
のすぐれた二人の乾分がいて、事ごとに手をやくばかりだった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
魁岸
(
かいがん
)
勇偉、
膂力
(
りょりょく
)
絶倫、満身の
花文
(
かぶん
)
、人を驚かして自ら異にす。太祖に従って、出入離れず。
嘗
(
かつ
)
て太祖に
随
(
したが
)
って出でし時、
巨舟
(
きょしゅう
)
沙
(
すな
)
に
膠
(
こう
)
して動かず。成
即
(
すなわち
)
便舟を負いて行きしことあり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と、呼ばわりつつ、縦横に血戦を
展
(
ひら
)
き、
膂力
(
りょりょく
)
のつづく限り暴れ廻った。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よって其の護衛を削り、其の指揮
宗麟
(
そうりん
)
を
誅
(
ちゅう
)
し、王を廃して庶人となす。又
湘王
(
しょうおう
)
柏
(
はく
)
偽
(
いつわ
)
りて
鈔
(
しょう
)
を造り、及び
擅
(
ほしいまま
)
に人を殺すを以て、
勅
(
ちょく
)
を
降
(
くだ
)
して之を責め、兵を
遣
(
や
)
って
執
(
とら
)
えしむ。湘王もと
膂力
(
りょりょく
)
ありて気を負う。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
武敏は、
精悍
(
せいかん
)
な若さと、すぐれた
膂力
(
りょりょく
)
をもっていて
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“膂力”の意味
《名詞》
からだのちから。筋肉のちから。
(出典:Wiktionary)
膂
漢検1級
部首:⾁
14画
力
常用漢字
小1
部首:⼒
2画
“膂”で始まる語句
膂肉