縁組えんぐみ)” の例文
第二、上等士族を給人きゅうにんと称し、下等士族を徒士かちまたは小役人こやくにんといい、給人以上と徒士以下とは何等なんらの事情あるも縁組えんぐみしたることなし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
したが、こゝな浮氣者うはきもの、ま、わしと一しょにやれ、仔細しさいあって助力ぢょりきせう、……この縁組えんぐみもと兩家りゃうけ確執かくしつ和睦わぼくへまいものでもない。
馬鹿っ! 貧乏はしても嘉三郎だぞ! そこえらの水呑みずのみ百姓と縁組えんぐみが出来ると思うのか! 痩せても枯れても庄屋の家だぞ。
栗の花の咲くころ (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
鵙屋夫婦は出来てしまったことは仕方がないしまあまあ佐助だったのはよかったそのくらいなら去年縁組えんぐみをすすめた時なぜあのような心にもないことを
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
熊内中尉を別に毛虫のようにしんから嫌っているわけではないのだから、いくらでも、竹花中尉との縁組えんぐみをAに自らすすんで破らせる位のことは、なんなくできるんだ。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
四十にちかしとか隨分ずゐぶん相應さうおう縁組えんぐみなれば能々よく/\御世話頼入おせわたのみいると申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さへてりとくにむすめためにもためにも行末ゆくすゑわろき縁組えんぐみならずとより/\の相談さうだんれきくはらだゝしさ縱令たとひ身分みぶんむかしとほりならずとも現在げんざいゆるせし良人をつとあるいまはしき嫁入よめいり沙汰ざたきくもいやなりおもてにかざる仁者顏じんしやがほ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ロレ ロミオよ、てござれ、てござれよ、こりゃ人目ひとめおそはゞかをとこ。あゝ、そなた憂苦勞うきくらう見込みこまれて、不幸ふしあはせ縁組えんぐみをおやったのぢゃわ。
かつかぎりある士族の内にて互に縁組えんぐみすることなれば、縁に縁を重ねて、二、三百年以来今日にいたりては、士族はただ同藩のよしみあるのみならず、現に骨肉の親族にして
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
何時いつまで獨身ひとりこゝろかぞへるとし心細こゝろぼそこれほどならばなぜむかしことばそむいていとひしかれとれませぬはゝさまなしのおひとつに御苦勞ごくらうたんとけましてうへうへにもまた幾年いくねんこゝろやすめぬ不料簡ふれうけん不孝ふかうのおわび向後きやうこうさつぱりよしさまのことおもつて何方いづかたへの縁組えんぐみなれおほせに違背ゐはい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……まん一、このくすり毒藥どくやくであったら? ロミオどのと縁組えんぐみさせておきながら、婚禮こんれいをさすときは、宗門しゅうもんはぢとなるによって、それでわしころさうといふふか陰謀たくみ毒藥どくやくではあるまいものでもない。