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竿
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ざお
ふりがな文庫
“
竿
(
ざお
)” の例文
それが、ほそいつり
竿
(
ざお
)
を何十本もそろえたような口ひげを、左右にピンとのばして、ほら穴のような大きな口をあいて、笑っているのです。
虎の牙
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
六尺棒や物干し
竿
(
ざお
)
を持ち出す者があり、番小屋へ走ってゆく者があり、女房はその人たちに護られながら、なお人殺しだと叫びたてていた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
たぶんだめだろうとは思ったが、試みに物干し
竿
(
ざお
)
の長いのを持って来て、たたき落とし、はね落とそうとした。しかしやっぱり無効であった。
簔虫と蜘蛛
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
だが、小次郎の体は、モチ
竿
(
ざお
)
に着いた小鳥のように、
槍柄
(
やりえ
)
の下に添って、五郎次のふところへそのまま、つけ入って行った。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天道花
(
てんとうばな
)
または
高花
(
たかはな
)
などと称して、竹
竿
(
ざお
)
の頂に色とりどりの花を
結
(
ゆ
)
わえて立てるなども、もちろん仏者は我が信仰によって理由を説こうとするが
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
ふと葉子は目の下の枯れ
葦
(
あし
)
の中に動くものがあるのに気が付いて見ると、大きな
麦桿
(
むぎわら
)
の海水帽をかぶって、
杭
(
くい
)
に腰かけて、
釣
(
つ
)
り
竿
(
ざお
)
を握った男が
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ある時、算術の時間中、私は退屈して、蜻蛉が、とりもち
竿
(
ざお
)
でたたかれる時の痛さというものについて考えつづけた。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
そのなかでは朝から晩までから
竿
(
ざお
)
の音がいそがしく鳴りひびき、つばめや岩つばめが
軒端
(
のきば
)
をかすめて飛び、さえずり、屋根の上には
鳩
(
はと
)
がいく列もならんで
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
そしてそれを珍重がっていた。虎やんまは往来を低く飛んできて、たちまちのうちにもち
竿
(
ざお
)
の陣を突破してしまう。虎やんまの出るのは
主
(
おも
)
に日盛りの時分である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
秋の赤蜻蛉、これがまた実におびただしいもので、秋晴れの日には小さい竹
竿
(
ざお
)
を持って往来に出ると、北の方から無数の赤とんぼがいわゆる
雲霞
(
うんか
)
の如くに飛んで来る。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは屋根裏の窓で、
防寨
(
ぼうさい
)
の少し外にある七階建ての人家の屋根上になっていた。蒲団は斜めに置かれ、下部は二本の物干し
竿
(
ざお
)
に掛け、上部は二本の綱でつるしてあった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
家の中で釣り
竿
(
ざお
)
を担いでいるさえあるに、その挨拶がまた、恐ろしくサッパリしたものだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
城址
(
しろあと
)
の
錆
(
さ
)
びた沼に赤い夕日がさして、ヤンマが
蘆
(
あし
)
の
梢
(
こずえ
)
に一疋、二疋、三疋までとまっている。
子児
(
こども
)
が長いもち
竿
(
ざお
)
を持って、田の中に腰までつかって、おつるみの
蜻蛉
(
とんぼ
)
をさしていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ときに、己の最も貴重せる大切の釣り
竿
(
ざお
)
一本を海岸に忘れて帰りしを発覚し、その紛失せんことを恐れしも、夜中のことなれば海岸までたずねに行くこともできず、そのまま
臥床
(
がしょう
)
した。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
年とった女の人たちは
戸口
(
とぐち
)
にすわって、
紡車
(
つむぎぐるま
)
をつかわずに、ただ一本の糸まき
竿
(
ざお
)
で、糸をつむいでいました。
商店
(
しょうてん
)
は、ちょうど
露店
(
ろてん
)
のようなぐあいに、通りにむかって開いていました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
二間も三間もある長い竹
竿
(
ざお
)
を秋晴の空に差しあげて、まぶしい眼をしかめて柿の実をちぎるだけでも相当の技量が
要
(
い
)
るのに、あの
実
(
み
)
ならとねらってちぎったものに滅多に渋いのは無かった。
かき・みかん・かに
(新字新仮名)
/
中島哀浪
(著)
「それじゃ
釣
(
つ
)
り
竿
(
ざお
)
はどうします?」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
剣は三尺に足らずといえども
物干
(
ものほ
)
し
竿
(
ざお
)
より勝りましょう。お館には勿体ないものに
美々
(
びび
)
しい衣裳を着せてお用いではある
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木部の顔は仮面のように冷然としていたが、
釣
(
つ
)
り
竿
(
ざお
)
の先は不注意にも水に浸って、釣り糸が女の髪の毛を流したように水に浮いて軽く震えていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
すぐ裏の冬田一面には
黄金色
(
こがねいろ
)
の日光がみなぎりわたっている。そうかと思うと、村はずれのうすら寒い竹やぶの曲がり
角
(
かど
)
を鳥刺し
竿
(
ざお
)
をもった子供が二三人そろそろ歩いて行く。
病院の夜明けの物音
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ここに、
衣
(
きぬ
)
かけの松といって、名木になっている、いっぽんの木がある。下枝が一本、物ほし
竿
(
ざお
)
のように横一文字に伸びて、地上三尺ばかりのところを、長く突き出ているのである。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
没義道
(
もぎどう
)
に頭を切り取られた
高野槇
(
こうやまき
)
が二本
旧
(
もと
)
の姿で台所前に立っている、その二本に
干
(
ほ
)
し
竿
(
ざお
)
を渡して小さな
襦袢
(
じゅばん
)
や
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
時々、
干
(
ほ
)
し
竿
(
ざお
)
の着物を手で触ってみる。陽が強いのですぐ乾きそうに思われたが、なかなか乾かないのである。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物干
(
ものほ
)
し
竿
(
ざお
)
で追い廻された猫のように、逃げ口の度を失ッて、あッちこッちを駆け廻ッておりましたが、例の馬春堂が封じられた暗剣殺の建物のうしろまで来ますと
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あなたとはずいぶん口
喧嘩
(
げんか
)
をしましたが、奥さんができたらずいぶんかわいがるでしょうね、そうしてお子さんもたくさんできるわ。そうして物干し
竿
(
ざお
)
におしめがにぎやかに並びますわ。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その先へかかった敵は、ちょうどモチ
竿
(
ざお
)
にとまった
蜻蛉
(
とんぼ
)
のように、
退
(
ひ
)
く間も交わす間もなかった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
剣道は
卜伝
(
ぼくでん
)
の父
塚原土佐守
(
つかはらとさのかみ
)
の
直弟子
(
じきでし
)
。
相弟子
(
あいでし
)
の小太郎と同格といわれた腕、
槍
(
やり
)
は
天性
(
てんせい
)
得意とする
可児才蔵
(
かにさいぞう
)
が、それとは
似
(
に
)
もつかぬもち
竿
(
ざお
)
をかついで
頭巾
(
ずきん
)
に
袖
(
そで
)
なしの
鳥刺
(
とりさ
)
し姿。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
才蔵は
新参者
(
しんざんもの
)
の身にすぎた光栄と、いさんでその夜、こっそりと
鳥刺
(
とりさ
)
し
稼業
(
かぎょう
)
の男に
変装
(
へんそう
)
した。そしてもち
竿
(
ざお
)
一本肩にかけ
安土
(
あづち
)
の城をあかつきに抜けて、
富岳
(
ふがく
)
の国へ道をいそぐ——
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
窓いっぱいに
銀河
(
あまのがわ
)
だ。その星の色を吹きこぼすような風が、秋のあわただしさを跫音にもって、灯のない部屋の二つの寝顔を
撫
(
な
)
でて通りぬける。裏の
物干
(
ものほ
)
しで干し物
竿
(
ざお
)
が、からからと鳴る。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、お通が今いる所は、
漁師
(
りょうし
)
の家ではなく、そこらの松の枝や干し
竿
(
ざお
)
に、かけ渡してある
藍染
(
あいぞめ
)
の布を見ても直ぐ知れるように、
飾磨染
(
しかまぞめ
)
と世間でよぶ
紺染
(
こんぞめ
)
を業とする小さい染屋の庭にいるのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“竿”の解説
竿(さお)は、何らかの道具として使用する細長い棒である。原義は竹から枝葉を取り払ったもののことであったが、同じ用途の竹以外の材質のものも同じ名で呼ぶようになった。
(出典:Wikipedia)
竿
漢検準1級
部首:⽵
9画
“竿”を含む語句
旗竿
一竿
竿頭
竿立
水竿
殻竿
釣竿
竹竿
物干竿
黐竿
三竿
竿竹
百尺竿頭
檣竿
繼竿
継竿
間竿
竿幟
水馴竿
竿燈
...