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端
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ばた
ふりがな文庫
“
端
(
ばた
)” の例文
行燈
(
あんどん
)
が一つ、
上
(
あが
)
り
端
(
ばた
)
に置いてあるだけで、そこらはうす暗い。その
半暗
(
はんあん
)
を乱して、パッ、奥の廊下を渡って来た風のような人影がある。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しかしその
中
(
うち
)
に
家
(
うち
)
の外側を七分通り
巡
(
まわ
)
って、ちょうど台所の裏手に当っている
背戸
(
せど
)
の井戸
端
(
ばた
)
まで来ると、草川巡査はピタリと足を
佇
(
と
)
めた。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこから
広小路
(
ひろこうじ
)
へ出るところに、十三屋という
櫛屋
(
くしや
)
があって、往来
端
(
ばた
)
に櫛の絵を画いた、低くて四角な
行灯
(
あんどん
)
が出してありました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
新堀
端
(
ばた
)
に龍宝寺という大きい寺がある。それが和泉屋の菩提寺で、その寺参りの帰り途にかの大鯉を救ったのであると、梶田老人は説明した。
鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
といったのは兄にあたる武士で、
莞爾
(
かんじ
)
という言葉にうってつけの笑いを、その口
端
(
ばた
)
に漂わせたが、鈴江の話の後をつづけた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
……まことに不思議な、久しく下草の中に消えていた、街道
端
(
ばた
)
の牡丹が、去年から芽を出して、どうしてでしょう、今年の夏は、花を持った。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と口には申しましても、玄石が腰を掛けて
居
(
お
)
る
上
(
あが
)
り
端
(
ばた
)
へ、べったりと大きなお
尻
(
いど
)
を
据
(
す
)
えて居りますから、玄石が上りたくも上ることが出来ません。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鹿子木氏はぶつ/\
呟
(
つぶや
)
きながら
川
(
かは
)
つ
端
(
ばた
)
を下つて来ると、
漸
(
やつ
)
と二三本
舞妓
(
まひこ
)
のやうな恰好をしたのが見つかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それとは心づかない君江は
広小路
(
ひろこうじ
)
の四辻まで歩いて
早稲田
(
わせだ
)
行の電車に乗り、江戸川
端
(
ばた
)
で乗換え、更にまた
飯田橋
(
いいだばし
)
で乗換えようとした時は既に赤電車の出た後であった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
するとあの
大地震
(
おおじしん
)
で、——忘れも致しません十月の二十八日、かれこれ午前七時頃でございましょうか。私が井戸
端
(
ばた
)
で
楊枝
(
ようじ
)
を使っていると、妻は台所で釜の飯を移している。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「どんなことって、まるで裏長屋の
婆
(
ばばあ
)
が井戸
端
(
ばた
)
でグズるのと
異
(
こと
)
なったことはないさ」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私は時に高畑の東にある
新薬師寺
(
しんやくしじ
)
まで散歩した。その途中で数人の知友に
出遇
(
であ
)
ったりもした。あるいは夕日の暑さに
溶
(
と
)
ろけた油絵具の
糟
(
かす
)
が、道
端
(
ばた
)
の石垣に塗りつけられてあったりする。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
仲間の子供たちが声を
揃
(
そろ
)
へて
喚
(
わめ
)
き出したので、お涌も井戸
端
(
ばた
)
から離れた。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ヨーイトマイタ——と深川の道路ツ
端
(
ばた
)
に
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
代助は堀
端
(
ばた
)
へ
出
(
で
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
專
(
もつぱ
)
らとなし料理屋旅籠屋
兼帶
(
けんたい
)
なり因て
間毎々々
(
まごと/\
)
には
泊
(
とま
)
り
客
(
きやく
)
あり又一時の
遊興
(
いうきよう
)
に來る客も多く殊の外
繁昌
(
はんじやう
)
なる見世なれば長兵衞も心の中に是は聞しに
増
(
まさ
)
る家のかゝりかなと思ひながら内へ入コリヤ長八荷物は此處へ
卸
(
おろ
)
すべしヤレ/\
草臥
(
くたびれ
)
しと云つゝ上り
端
(
ばた
)
に腰を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ほれた弱味——でもあるまいが江戸の
姐御
(
あねご
)
だ。左膳を見あげたお藤が、ひとすじ血をひいた口もとをにっことほころばせると、一同顔が上がり
端
(
ばた
)
へ向いた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ただ
畔
(
あぜ
)
のような
街道
(
かいどう
)
端
(
ばた
)
まで、福井の車夫は、笠を手にして見送りつつ、われさえ指す
方
(
かた
)
を知らぬ
状
(
さま
)
ながら、
式
(
かた
)
ばかり日にやけた黒い手を挙げて、
白雲
(
しらくも
)
の
前途
(
ゆくて
)
を指した。
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのうちにいろいろの
小名
(
こな
)
がありますが、これから申し上げるのは小日向の水道
端
(
ばた
)
、明治以後は水道端町一丁目二丁目に分かれましたが、江戸時代には
併
(
あわ
)
せて水道端と呼んでいました。
半七捕物帳:55 かむろ蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鹿子木氏は精々
閑
(
ひま
)
をこさへては、
川
(
かは
)
つ
端
(
ばた
)
へ出掛けて往つたが、格別急がうともしないで、のつそりとしてゐるので、その画が出来上つたのは、写生を始めてから
恰
(
ちやう
)
ど三十日ばかり経つてゐる頃だつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
件
(
くだん
)
の
大崩壊
(
おおくずれ
)
の海に突出でた、獅子王の腹を、太平洋の方から一町ばかり
前途
(
ゆくて
)
に見渡す、街道
端
(
ばた
)
の——直ぐ崖の下へ白浪が打寄せる——江の島と富士とを、
簾
(
すだれ
)
に透かして描いたような
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
“端”を含む語句
端折
尖端
尻端折
片端
出端
端緒
一端
端正
山端
縁端
端然
端艇
突端
上端
町端
切端
川端
下端
端々
発端
...