しゅく)” の例文
まつわかれた、いすかは、若者わかもの無事ぶじるとこころからしゅくして、日暮ひぐがたまえに、ふねうえぎて、とおくへんでゆきました。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
戦争で頓挫とんざしていたけれども、これからふたたび、前日のような盛況せいきょうを見るであろうことはけ合いで、わがくに園芸界のために、大いにしゅくしてよろしい。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
わたくし誠心まごころもっ彼等かれらしゅくします、彼等かれらためよろこびます! すすめ! 同胞どうぼう! かみ君等きみらたすけたまわん!
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「わしかね、わしは二字名の苗字みょうじで、鐘離しょうりといいますのさ。この地方には、しゅくという姓が多いんだが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目出度めでたいものはいもの種」と申す文句でございます。「目出度いものは芋の種葉広く茎長く子供夥多あまたにエヽ」と詰らん唄で、それを婆アさんが二人並んで大きな声で唄い、目出度めでたくしゅくして帰る。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「この卓子テーブルは、僕の特約の席なんだ。では、お互いの健康をしゅくして……」
しゅくという男があって庚兄庚弟と呼びあっている同年の男の所へ出かけて往ったが、途中で喉が渇いたので何か飲みたいと思って、ふと見ると道傍みちばたへ板の台を構えて一人のばあさんが茶の接待をしていた。
水莽草 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「いや、やりましょう。よう、あなたの健康けんこうしゅくします。」
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
つつしんで、万歳をしゅくたてまつる。」
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
事変じへんがはじまってから、毎日まいにちのように、このえきから出征兵士しゅっせいへいしったので、えきぐちには、しろぬのへ、「しゅく壮途そうと」と、おおきないたがくがかかっていました。
昼のお月さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
「申すことあり! しゅく小伜こせがれども、これへ出て来い」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
りんごのは、最初さいしょは、びっくりしましたが、のちには、こころから、その旅行りょこうしゅくして、その成功せいこういのったのです。そして、たちにかって、北海ほっかいわた時分じぶん注意ちゅういをして
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねずみは、おどろくべき注意力ちゅういりょくをもって、とうとうわたりおわって、あちらのあか屋根やねへつきました。このとき、おもわず、二人ふたりは、をたたいて、ねずみのために、成功せいこうしゅくしたのであります。
ねずみの冒険 (新字新仮名) / 小川未明(著)