目口めくち)” の例文
ハツと呼吸いきく。目口めくち吹込ふきこ粉雪こゆきに、ばツとけて、そのたびに、かぜ反對はんたいはう眞俯向まうつむけにつてふせぐのであります。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
はじめのうちは、それでも元気げんきよくあるいていましたが、しまいにはとなく、みみとなく、はなとなくあぶらながれこんできて、目口めくちかなくなったので、若者わかもの
てかてか頭の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あんだっていやにあてこすりばかり言って、つまらん事にも目口めくちを立てて小言こごとを言うんです。近頃はあいつまでが時々いやなそぶりをするんです。わたしもうしゃくさわっちゃったから
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
表二階おもてにかいの、狭い三じょうばかりの座敷に通されたが、案内したものの顔も、つとほのめくばかり、目口めくちも見えず、う暗い。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今日は雪が降って、風が強くて、目口めくちかぬ程だから、少し、いつもよりは遅れて来るだろう。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
刺身ッていやあ一寸試いっすんだめしだ、なますにすりゃぶつぶつぎりか、あのまた目口めくちのついた天窓あたまへ骨がつながって肉がまといついて残る図なんてものは、といやな顔をするからね。ああ
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その夜は非常に吹雪ふぶきのした晩であった。普通の者はとても、この広い野原を歩けない。勿論むろん道の付いている筈がなし、北西の風を真面まともに受けて、雪が目口めくちに入って一足も踏み出せるものでない。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
刺身さしみツていやあ一寸試いつすんだめしだ、なますにすりやぶつ/\ぎりか、あのまた目口めくちのついた天窓あたまほねつながつてにくまとひついてのこなんてものは、といやかほをするからね。あゝ
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
くひしばつても、ぢても、目口めくち粉雪こゆきを、しかし紫陽花あぢさゐあを花片はなびらふやうにおもひました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まへもおきよ、わたし毎日まいにち出勤しゆつきんするあの破堂やぶれだうなかで、かほあせだらけ、砂埃すなぼこりうへ蜘蛛くもで、目口めくちかない、可恐ひどよわつたところを、のおかただ、そで綺麗きれいにしてくだすつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じつはなくなりましたちゝが、危篤きとくとき東京とうきやうからかへりますのに、(タダイマココマデキマシタ)とまちから發信はつしんした……とそれを口實こうじつに——時間じかんおそくはありませんが、目口めくちもあかない
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
カン/\カン/\と、不意ふい目口めくち打込うちこまれるやうにひゞきました。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)