狼藉者ろうぜきもの)” の例文
一時は呆気あっけに取られたが、ほこを取り直して、この意外な狼藉者ろうぜきものを取押えて、弁慶を救い出そうという途端、仏頂寺弥助が眼を怒らして
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「無礼者っ」廻廊にいながれている国司の家来たちがいちどに立ち上がり、群衆もこの異様な狼藉者ろうぜきものに、わっと、驚いて立ちくずれた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丹波がアッとたおれたら、植木屋がとんできて、御免といって丹波の手から、刀を取って、その狼藉者ろうぜきものに立ちむかったんですって
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「霊場を荒す狼藉者ろうぜきもの闖入ちんにゅうじゃッ。末院まついんの御坊達お山警備の同心衆どうしんしゅう! お出合い召されいッ、お出合い召されいッ」
傍若無人ぼうじゃくぶじん狼藉者ろうぜきものの大きな肢体がこれで愈々いよいよ煙となって消え失せると思えば、私の感慨もさすがに深い。
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
持って居ったかとも思いまする。それゆえたちまち狼藉者ろうぜきものを数馬と悟ったかとも思いまする。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大手を広げて立塞たちふさがり、「うぬ昼盗賊ひるどろぼう狼藉者ろうぜきもの。」「さあ一足でも入るが最後、手は見せぬぞ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
孝「へい怪我はございません、こりゃ狼藉者ろうぜきもの何等なんらの遺恨で我に斬付けたか、次第を申せ」
すると、この狼藉者ろうぜきものの放った爆音によって、あたりの自然はことごとく調子を乱してしまう。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
加藤安太夫が介錯した。本庄は丹後国たんごのくにの者で、流浪していたのを三斎公の部屋附き本庄久右衛門ほんじょうきゅうえもんが召使っていた。仲津で狼藉者ろうぜきものを取り押さえて、五人扶持十五石の切米取きりまいとりにせられた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
まず、化け物にせよ人間にせよ、とにかくあの不敵な狼藉者ろうぜきものが、この太い綱の一方の端をあの塔の頂きのランプ室から、玻璃窓の下の小さな通風孔をとおして、外の高い岩の上へたれておく。
灯台鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
俳諧師はいかいし生花師いけばなし等の無用の遊歴は差し置くまじき事、そればかりでなく、狼藉者ろうぜきものがあったら村内打ち寄って取り押え、万一手にあまる場合は切り捨てても鉄砲で打ち殺しても苦しくないというような
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「おのれ、狼藉者ろうぜきものッ——取っておさえろッ」
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
狼藉者ろうぜきもの!」叫んで踏込む又平
半化け又平 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
狼藉者ろうぜきものが入り込んだのでな」
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その槍を構えて、いま辻斬の狼藉者ろうぜきもののふらふらと歩んで行って、ふと隠れたとおぼしい榛の木馬場の前まで追いかけました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
列を追ッかけて来て「——狼藉者ろうぜきものを渡せ」と罵り「ここをどこと思う。もったいなくも御連枝ごれんしの宮、すなわち天台座主ざす亮性りょうしょう法親王のお住居なるを」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この騒動に、お庭をけがす狼藉者ろうぜきものとばかり、不知火の門弟一同、抜きつれて二人をかこむ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
十四五人の狼藉者ろうぜきものが出まして、得物/\を持って切り付けましたから、旦那はお手利てきゝでございますからすぐに脇差を抜いて向うと、富五郎も元は武士で剣術も存じておりますから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
心剛こころたしかなる女なれども、渠はさすがに驚きてたたずめり。狼藉者ろうぜきもの一個ひとり濁声だみごえを潜めて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
狼藉者ろうぜきものッ。退れッ、退れッ。霊場を騒がして何ごとじゃッ。退らッしゃいッ」
六郎が祖父は隠居所いんきょじょにありしが、馳出はせいでて門のあきたるを見て、外なる狼藉者ろうぜきものを入れじと、門をとざさんとせしが、白刃振りてせまられ、いきおいてきしがたしとやおもいけん、また隠居所に入りぬ。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
すると、この狼藉者ろうぜきものの放った爆音によって、いっさいの自然は調子が狂う。
「ははあ、さては狼藉者ろうぜきものだな」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
狼藉者ろうぜきもの、斬ってしまえ」
武道宵節句 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「あいや、御岳みたけ舎人とねりたちに申しあげる。狼藉者ろうぜきものは手まえの友人ゆえ、このほうにて取りおさえますから、しばらくの間、そのご神縄を拝借はいしゃくいたします」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太刀打ちの音も、矢玉の叫びも、何一つ合戦らしい物の響はせず、もとより火の手も上っていない、狼藉者ろうぜきもの及び軍兵らの影も形も、一つも見えないではないか。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
狼藉者ろうぜきものが忍入るような事もあれば一大事じゃから、其の方おれがお上屋敷へまいってうちは、折々お内庭を見廻れ、御寝所近い処も見廻るようにと兄よりわたくし言付いいつかって居ります
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「先生! 今のが狼藉者ろうぜきものでござりますか、心得ました。それッ!」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あッ。殿様、狼藉者ろうぜきものでござりまするぞッ!」
「これ何をする! 狼藉者ろうぜきもの!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ええ、ゆうべおやかた乱入らんにゅうした、あの狼藉者ろうぜきもののためにしばられて、とうとうここで夜を明かしてしまったんで」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お前の助太刀すけだちで難をのがれたが、いつも道庵は、用心棒がなければひとり太刀が使えねえということに見られると名折れだから、今度、途中で万が一、いかなる狼藉者ろうぜきものが現われようとも
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何故なぜ早く云わん、それじゃア狼藉者ろうぜきものが忍び込み、飯島が流石さすが手者てしゃでも多勢たぜい無勢ぶぜい切立きりたてられているのを、お前が一方を切抜けて知らせに来たのだろう、宜しい、手前は剣術は知らないが
狼藉者ろうぜきものでござりまするぞッ」
狼藉者ろうぜきものっ」と叱りつけた。声に、ただならぬ底力そこぢからがあって、くろがねのようなこぶしをふりあげると
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時に、馬に附添って来た三人の武士は、おの狼藉者ろうぜきもの! と呼ばわってきってかかりでもするかと思うと、それも微塵みじん騒がず、にわかに馬の側から立退いて、やや遠く三方に分れて立ちました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
途端に貴方が出てずぷりと遣り、惣次郎を殺すと金が三十両あるから持ってうちへ帰り、構わず寝て入らっしゃい、まアさお聞きなさい、手前は面部へきずを付けて帰って、今狼藉者ろうぜきものが十四五人出て
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ウーム、徳川家とくがわけしゅう浜松はままつの衆、出合であえッ、出合えッ、狼藉者ろうぜきものだ、狼藉だ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狼藉者ろうぜきものガハイッテ惣領忠蔵ヲキリ殺シタガ、ソノ時、早速ニ使ヲヨコシタ故、飛ンデイッタガ、モハヤ事ガキレタ、翌日心当リガアッタカラ、小石川ヘ行ッタガ立退イタト見エテ知レヌカラ帰ッタ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「御方さま、狼藉者ろうぜきものの乱入でござります、狼藉者が、あれ、あれッ……」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狼藉者ろうぜきもの、お供先を要撃する賊がある」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
孫権自身、狼藉者ろうぜきものをうしろから抱きとめて叱りつけた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狼藉者ろうぜきもの!」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
狼藉者ろうぜきものっ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狼藉者ろうぜきものっ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狼藉者ろうぜきものっ」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狼藉者ろうぜきものが」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)