トップ
>
物騒
>
ぶっそう
ふりがな文庫
“
物騒
(
ぶっそう
)” の例文
旧字:
物騷
その
歳
(
とし
)
も段々
迫
(
せまっ
)
て、とう/\慶応三年の
暮
(
くれ
)
になって、世の中が
物騒
(
ぶっそう
)
になって来たから、生徒も自然にその影響を
蒙
(
こうむ
)
らなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
おかみさんは
物騒
(
ぶっそう
)
だからといって、さんざん止めたのだけれど、何しろ豪傑と名を取った床屋の親方だから、承知するものでない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
……と言ふと
忽
(
たちま
)
ち、天に
可恐
(
おそろ
)
しき
入道雲
(
にゅうどうぐも
)
湧
(
わ
)
き、地に
水論
(
すいろん
)
の
修羅
(
しゅら
)
の
巷
(
ちまた
)
の流れたやうに聞えるけれど、決して、そんな、
物騒
(
ぶっそう
)
な
沙汰
(
さた
)
ではない。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
自家
(
うち
)
まで
尾
(
つ
)
いて来られては、父母や女房の手前もある。ましてこの為体のしれない
物騒
(
ぶっそう
)
な
面魂
(
つらだましい
)
、伝二郎は
怖気
(
おぞけ
)
を振ったのだった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しないぞ。日本の国内にこんな
物騒
(
ぶっそう
)
なものを据えつけるような卑怯な国の人間に、いい具合にこきつかわれてたまるものか
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
姉達はみんな
夜半
(
よなか
)
に起きて
支度
(
したく
)
をした。途中が
物騒
(
ぶっそう
)
だというので、用心のため、下男がきっと
供
(
とも
)
をして行ったそうである。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ネクタイ屋の看板にしては、これはすこし
物騒
(
ぶっそう
)
すぎる。聖公教会の門のところに、まるで
葡萄
(
ぶどう
)
の
房
(
ふさ
)
みたいに
一塊
(
ひとかたま
)
りに、
乞食
(
こじき
)
どもがかたまっている。
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
暇があれば、
壬生寺
(
みぶでら
)
の本堂に籠ったり、深夜、
物騒
(
ぶっそう
)
な町を歩いてみるくらいのことで、いままでは至って無事でした。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『事情の如何にかかわらず、左様な物を盗み出す
物騒
(
ぶっそう
)
な女が、御邸内にいても差し
閊
(
つか
)
えないと尊公は云われるのか』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから、起重機の鎖から危くぶらさがっている
物騒
(
ぶっそう
)
な梁に、
巧
(
うま
)
く
引綱
(
ひきづな
)
をしばりつけなければならないのだ。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
今も見上げると、天井の墜ちて露出している屋根裏に大きな隙間があるのであった。まだ
此処
(
ここ
)
では水道も出ず、電燈も
点
(
つ
)
かず、夜も昼も
物騒
(
ぶっそう
)
でならないという。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
これらの
些細
(
ささい
)
の事柄は笑うべきではあったが、まただいたいにおいて彼らのなすところ、
物騒
(
ぶっそう
)
の傾向なきにあらざりしも、その動機においてはいかにも男性的で
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
燃えて来たのかと聞くと、そうではないが放火で
物騒
(
ぶっそう
)
だし今にも燃えて来そうなのだという。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
私が死にましたら此処の寺へ投込みになすって道中も
物騒
(
ぶっそう
)
でございますから、お気をお付けなすって、あなたは江戸へ
入
(
いら
)
っしゃいまして親父の岩吉にお頼みなすって下さいまし
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
玄関は真暗なので、
身体
(
からだ
)
付きも分らないが「どうも失礼致しました。この頃ちょっと
物騒
(
ぶっそう
)
なものでとんだ失礼を致しました。どうぞお上り下さいませ」という丁重な言葉
付
(
つき
)
である。
I駅の一夜
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「それに、ちがいありません……。なんという
物騒
(
ぶっそう
)
なことでしょう……。」
なまずとあざみの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「これはどうも
物騒
(
ぶっそう
)
千万、死地へ乗り
入
(
い
)
ると同じようなものだ」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし、もっともっと
綺麗
(
きれい
)
な赤い色。それに、
物騒
(
ぶっそう
)
でない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
(再び籠を編み始める)………
物騒
(
ぶっそう
)
でしようがない。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「マ、そ、その、
人斬庖丁
(
ひときりぼうちょう
)
という
物騒
(
ぶっそう
)
なものを納めなされ。そして、そして、何なりと、ゆっくり話を
承
(
うけたま
)
わろうではござらぬか」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そんな
物騒
(
ぶっそう
)
な話が我が身の上に懸けられているとも知らぬ覆面探偵青竜王は、竜宮劇場屋上の
捕物
(
とりもの
)
をよそに、部下の勇少年と電話で話をしていた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「だって、ちま子さんの殺されていたのは、この短剣とそっくりの兇器だったじゃないの。あんたの外に、こんな
物騒
(
ぶっそう
)
なもの持ってる人はありゃしないわ」
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
余はこの
物騒
(
ぶっそう
)
な男から、ついに吾眼をはなす事ができなかった。別に恐しいでもない、また
画
(
え
)
にしようと云う気も出ない。ただ眼をはなす事ができなかった。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
がんりきの
周囲
(
まわり
)
で、あちらにもこちらにも紛失物の声がありましたので、
四辺
(
あたり
)
がにわかに
物騒
(
ぶっそう
)
になります。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、ひたすら急いで来たのであったが、女の脚ではあり、
物騒
(
ぶっそう
)
な戦地に近づくほど、道も思うまま
捗
(
はかど
)
らず、とうとう兄の
臨終
(
いまわ
)
には間にあわなかったものであった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おおこれはどうだ。赤バラ印の
弾薬函
(
だんやくばこ
)
だッ。これを使う銃は、僕の探していたアメリカのギャングが好んで使う軽機関銃じゃないか。これは
物騒
(
ぶっそう
)
だぞオ——」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何となく
物騒
(
ぶっそう
)
な
気合
(
けわい
)
である。この時津田君がもしワッとでも叫んだら余はきっと飛び上ったに相違ない。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「近頃は、トンと左様な
噂
(
うわさ
)
も聞きませぬ。なんにしても、こう吠えられては
物騒
(
ぶっそう
)
でなりませんな」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
母里太兵衛や栗山善助が危ぶんでいた理由は、主君の体ばかりでなく、帰路の
物騒
(
ぶっそう
)
にもあった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
物騒
(
ぶっそう
)
な折も折、もう八時を過ぎた今時分、彼女は一体どんな急用が起こったというのであろう。いくら気丈な女探偵だといっても、これは少し冒険すぎはしないだろうか。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「火事装束? へんな話だね。なんにしても押し迫ってから
物騒
(
ぶっそう
)
な」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
なにしろ、東京のまん中に原因不明の爆破事件が起るなんて、
物騒
(
ぶっそう
)
なことですからね。当局はこういう方面のことについては、たいへん警戒をしているのです。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おれは、
性来
(
しょうらい
)
構わない性分だから、どんな事でも苦にしないで今日まで凌いで来たのだが、ここへ来てからまだ一ヶ月立つか、立たないうちに、急に世のなかを
物騒
(
ぶっそう
)
に思い出した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「こいつは、おかしい。うっかり町へは
物騒
(
ぶっそう
)
で踏み込めないぞ。気をつけろ、
石秀
(
せきしゅう
)
」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それは
物騒
(
ぶっそう
)
だ」
山道
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
真鍮は真鍮と悟ったとき、われらは制服を捨てて
赤裸
(
まるはだか
)
のまま世の中へ飛び出した。子規は血を
嘔
(
は
)
いて新聞屋となる、余は尻を
端折
(
はしょ
)
って
西国
(
さいこく
)
へ
出奔
(
しゅっぽん
)
する。御互の世は御互に
物騒
(
ぶっそう
)
になった。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「——ずいぶんお気をつけておいでなされ。路次はなかなか
物騒
(
ぶっそう
)
ですぞ」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうですかい。この辺は
物騒
(
ぶっそう
)
ですから、気をおつけなさい」
奇賊悲願:烏啼天駆シリーズ・3
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それにしても世の中は不思議なものだ、虫の好かない奴が親切で、気のあった友達が
悪漢
(
わるもの
)
だなんて、人を
馬鹿
(
ばか
)
にしている。大方
田舎
(
いなか
)
だから万事東京のさかに行くんだろう。
物騒
(
ぶっそう
)
な所だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見ると、役人であろう、胸に県の
吏章
(
りしょう
)
をつけている。近頃は
物騒
(
ぶっそう
)
な世の中なので、地方の小役人までが、平常でもみな武装していた。二人のうち一名は
鉄弓
(
てっきゅう
)
を持ち、一名は
半月槍
(
はんげつそう
)
をかかえていた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先頃、
佐々成政
(
さっさなりまさ
)
の
物騒
(
ぶっそう
)
な暗躍や、あばれ方に対して、前田利家にも、何事につけても、五郎左と協力してやれと秀吉は云いやっておいたが、その後も、丹羽五郎左の行動は、すこしも積極的でない。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「待ってたものがなんで門なんか締めるんだ。
物騒
(
ぶっそう
)
だからかね」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
曲者
(
くせもの
)
といえばこれくらい上品にして
物騒
(
ぶっそう
)
な曲者はない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
大分
(
だいぶ
)
物騒
(
ぶっそう
)
な事になりますね」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何しても
物騒
(
ぶっそう
)
な人物。この上とも要心に
如
(
し
)
くはない」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人々は思わず、
物騒
(
ぶっそう
)
らしい顔を空にむけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これは
物騒
(
ぶっそう
)
だ」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
騒
常用漢字
中学
部首:⾺
18画
“物騒”で始まる語句
物騒千万