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物陰
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ものかげ
ふりがな文庫
“
物陰
(
ものかげ
)” の例文
驚怖
(
きやうふ
)
の
餘
(
あま
)
り
物陰
(
ものかげ
)
に
凝然
(
ぢつ
)
と
潜伏
(
せんぷく
)
して
居
(
ゐ
)
た
鷄
(
とり
)
は
次
(
つぎ
)
の
朝
(
あさ
)
漸
(
やうや
)
く
他
(
た
)
の
鷄
(
とり
)
の
群
(
むれ
)
に
交
(
まじ
)
つて
歩
(
ある
)
いたけれど
幾
(
いく
)
らかまだ
跛足
(
びつこ
)
曳
(
ひ
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
福徳の
大神
(
おほかみ
)
に祈誓をかけたからで、その證據にはあの男が繪を描いてゐる所を、そつと
物陰
(
ものかげ
)
から覗いて見ると必ず陰々として靈狐の姿が、一匹ならず前後左右に
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし
蠅
(
はえ
)
を取りつくすことはほとんど
不可能
(
ふかのう
)
に近いばかりでなく、これを
絶滅
(
ぜつめつ
)
すると同時に、
蛆
(
うじ
)
もこの世界から
姿
(
すがた
)
を消す、するとそこらの
物陰
(
ものかげ
)
にいろいろの
蛋白質
(
たんぱくしつ
)
が
腐敗
(
ふはい
)
して
蛆の効用
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
狂風一陣
(
きやうふういちぢん
)
梢
(
こずゑ
)
をうごかして
來
(
きた
)
る
氣
(
き
)
の
立
(
た
)
つた
折
(
をり
)
には、
父樣
(
とうさん
)
も
母樣
(
かあさん
)
も
兄樣
(
にいさん
)
も
誰
(
た
)
れも
後生
(
ごしやう
)
、
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
せて
下
(
くだ
)
さるな、とて
物陰
(
ものかげ
)
にひそんで
泣
(
な
)
く、
聲
(
こゑ
)
は
腸
(
はらわた
)
を
絞
(
しぼ
)
り
出
(
だ
)
すやうにて
私
(
わたし
)
が
惡
(
わる
)
う
御座
(
ござ
)
りました
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
随分僕を教育する上には苦心したようでした。けれども
如何
(
どう
)
いうものか僕は
小児
(
こども
)
の時分から学問が
嫌
(
きら
)
いで、たゞ
物陰
(
ものかげ
)
に
一人
(
ひとり
)
引込んで、何を
考
(
かん
)
がえるともなく
茫然
(
ぼんやり
)
して居ることが何より
好
(
すき
)
でした。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
ふいに、
物陰
(
ものかげ
)
から躍り出て、
漆間
(
うるしま
)
蔵
(
ぞう
)
六が前に立った。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「危い。みんな、
物陰
(
ものかげ
)
にかくれろ」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼
(
かれ
)
は
今
(
いま
)
熾
(
さかん
)
な
暑
(
あつ
)
い
日
(
ひ
)
を
仰
(
あふ
)
いだ
目
(
め
)
を
放
(
はな
)
つて
俄
(
にはか
)
に
物陰
(
ものかげ
)
を
探
(
さが
)
さうとするものゝやうに
酷
(
ひど
)
く
勝手
(
かつて
)
が
違
(
ちが
)
つたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
福徳の
大神
(
おほかみ
)
に
祈誓
(
きせい
)
をかけたからで、その証拠にはあの男が絵を描いてゐる所を、そつと
物陰
(
ものかげ
)
から覗いて見ると、必ず陰々として霊狐の姿が、一匹ならず前後左右に
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
は
朝
(
あさ
)
からきら/\と
照
(
て
)
つた。
暖
(
あたゝ
)
かい
日光
(
につくわう
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
土間
(
どま
)
まで
偃
(
は
)
つた。
地上
(
ちじやう
)
は
凡
(
すべ
)
て
軟
(
やはら
)
かな
熱度
(
ねつど
)
を
以
(
もつ
)
て
蒸
(
む
)
された。
物陰
(
ものかげ
)
に一
夜
(
や
)
保
(
たも
)
つてゆつくりした
雪
(
ゆき
)
が
慌
(
あわ
)
てゝ
溶
(
と
)
けた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
陰
常用漢字
中学
部首:⾩
11画
“物”で始まる語句
物
物凄
物語
物憂
物識
物怪
物騒
物置
物音
物思