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烏合
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うごう
ふりがな文庫
“
烏合
(
うごう
)” の例文
尾を振ってグウグウ唸って友を呼でいるのではないか。犬すらそうだ。また
烏合
(
うごう
)
という文字がある。
烏
(
からす
)
もお友達を求め歩いている。
イエスキリストの友誼
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「密告により、今朝、急に襲って、良忠以下、おもなる者五人を
数珠
(
じゅず
)
つなぎにし、あとの
烏合
(
うごう
)
は、目下諸所にわたって、追跡中でおざる」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「見渡すところ、その議論に於て、大久保に優るものなく、その明断に於て西郷に優る者なく、謂わば、これ、
烏合
(
うごう
)
の徒だ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「食いこまれたって、いいじゃねえか。数なんか問題じゃない。敵は幾万ありとても、
烏合
(
うごう
)
の衆なぞ、恐れるに足らずだ」
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
けれど、その妹が、敵は幾万ありとても、すべて
烏合
(
うごう
)
の
勢
(
せい
)
なるぞ——という軍歌が、おなじ人が、早く作ったものだということは知らないでいた。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
ところで人間の顔や形を何百人寄せ集めたところがエクレシヤにはなりません。それはただ
烏合
(
うごう
)
の衆であるだけです。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
群衆は共同の意思を形成して実行し得るような組織性を持たない単なる
烏合
(
うごう
)
の
衆
(
しゅう
)
であるが、しかしなんらか共通の感情に支配されているものである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
各省兵勇はあたかも
烏合
(
うごう
)
の無頼漢のようなものだったから、組織的に訓練された学堂出身の警吏は兵勇よりも信頼されて事実上軍務をも帯びていた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「柳生一刀流などと申しても、しょせんは、一人二人の秀抜な剣士をとり巻く
烏合
(
うごう
)
の勢にすぎぬとみえますなあ」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
名前はまだないから係わりようがなかろうと云うなら体面に係わる。決して退却は出来ない。
諺
(
ことわざ
)
にも
烏合
(
うごう
)
の衆と云うから三羽だって存外弱いかも知れない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが元来これらの労働者はすべて
烏合
(
うごう
)
の衆で、なんら有力な労働組合を組織していなかったものである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
しかしこうは云うものの人夫の数は三百しかなく、それに身分から云う時は、町人もあれば百姓もあり、いわゆる
烏合
(
うごう
)
の寄せ集め勢で訓練された兵ではない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
再びわずかな
烏合
(
うごう
)
の衆を引き連れてノルウェーへ攻め込むあたりからがなんとなく心にしみている。
春寒
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
烏合
(
うごう
)
の官兵によくもみごとに追い立てられたな、白河口のたたかいでは——ときには身のいましめとして
憶
(
おも
)
いだすがよかろう、その方らのいただくお武頭の萱野弥五郎は
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
そうして、所謂官軍は、所謂賊軍を、「すべて
烏合
(
うごう
)
の衆なるぞ」と歌って気勢をあげる。
如是我聞
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
殊に
烏合
(
うごう
)
の衆が新しき土地に社会を建設する初めに当っては、法律生活の必要、法的秩序の重んずべきことが切に感ぜられるところから、かくの如き作り話も生じたのであろう。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
人類は実に、暗黒の影暗い勝利を、その偽りの光輝のうちに、ただ
茫然
(
ぼうぜん
)
とうちながめてばかりいる
烏合
(
うごう
)
の衆にすぎない。暴君を打ち倒せ! しかしそれはだれのことを言うのか。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
倒れた兵は自決し、或いは射殺された。宇治は血を吐きながら杖にすがって歩いた。サンホセに入っても何時まで軍隊としての
命脈
(
めいみゃく
)
が保てるのか。それはもはや
烏合
(
うごう
)
の衆であった。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ともかくも
江湖
(
こうこ
)
流落のボロ書生が
烏合
(
うごう
)
未熟の一座を率いて、殆んど東西をわきまえない東京のまん中へ打って出て、苦戦悪闘、わずかに三年、五年のあいだにその地盤をふみ固めたのは
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
十万百万の兵も
烏合
(
うごう
)
の衆では足なみも
揃
(
そろ
)
うまい、これに対して一騎当千と申す言葉がある、これはその人の強さではなく、たたかう心のあらわれを申すものだと思う、その心のあらわれが
日本婦道記:笄堀
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼らは、一時集めの
烏合
(
うごう
)
の衆で、闘う気持は持っていなかったのである。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
男女
烏合
(
うごう
)
の
徒
(
と
)
を集めて芝居をしてさえもし芸術のためというような名前を付けさえすればそれ相応に
看客
(
かんきゃく
)
が来る。田舎の中学生の虚栄心を
誘出
(
さそいだ
)
して投書を
募
(
つの
)
れば文学雑誌の経営もまた容易である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ことにこのごろ、募集した歩兵隊——一名
茶袋
(
ちゃぶくろ
)
は
烏合
(
うごう
)
の寄せ集めで、市民をいやがらせながらも、ともかくも新式の武器を持って、新式の調練を受けているから、それを相手には仕事がしにくい。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
江崎の方は、人数ばかり多うても、
烏合
(
うごう
)
の衆、同然。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
凛々
(
りんりん
)
たる
勇姿
(
ゆうし
)
、あたりをはらった。さしも、
烏合
(
うごう
)
の
野武士
(
のぶし
)
たちも、このけなげさに、一
滴
(
てき
)
の
涙
(
なみだ
)
を、
具足
(
ぐそく
)
にぬらさぬものはない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
驚き
周章
(
あわて
)
る彼らの群へ、太刀を抜いて割って入り力の限り切り立てましたところ、
烏合
(
うごう
)
の衆と見えまして左右にパッと逃げ散りましてござる、まず安心と思った瞬間
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
烏合
(
うごう
)
の友である。喰い合いの友である。パックである。元より一時的の団体でフレンドシップやコンパニオンシップではない、集るものは烏合の衆だからあてにはならぬ。
イエスキリストの友誼
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
何の覚悟もない
烏合
(
うごう
)
の衆の八十人ではおそらく一坪の物置の火事でも消す事は出来ないかもしれないが、しかし、もしも十分な知識と訓練を具備した八十人が、完全な統制の下に
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
烏合
(
うごう
)
の衆は民衆に対する裏切り者である。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
わらうべし、わらうべし、
乳
(
ちち
)
くさい
伊那丸
(
いなまる
)
や
咲耶子
(
さくやこ
)
などが、
烏合
(
うごう
)
の小勢でよせまいろうとて、なにをぎょうぎょうしい軍議などにおよぼうか。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんの覚悟もない
烏合
(
うごう
)
の衆の八十人ではおそらく一坪の物置きの火事でも消す事はできないかもしれないが、しかし、もしも充分な知識と訓練を具備した八十人が、完全な統制のもとに
からすうりの花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それに味方がどうかというに、残念ながら
烏合
(
うごう
)
の衆さ。町人、百姓、ごろん棒、女子供に食い詰め浪人、一束いくらっていう人足だよ。ところがお前、あいつらときたら、一騎当千の武者だからねえ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
行動の中心に正義と報国を奉じ、個々の中心に、主君を持たないでは、それは徒党の乱に終り、
烏合
(
うごう
)
の
衆
(
しゅう
)
と化してしまう。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そりゃあ集めればありましょうが、いずれ
烏合
(
うごう
)
の衆ばかりで」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
きょうのただ一人の相手が強敵かといえば、
烏合
(
うごう
)
の百人よりもただ一人の佐々木小次郎のほうが、遥かに
惧
(
おそ
)
るべきものであることは勿論だった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とそれに
怯
(
ひる
)
んだ者の弱音に、浮足立った
烏合
(
うごう
)
の群はしばらくジリジリに押し戻していたが、どッと崩れ立つと一人も残らず雲霞と逃げ散ってしまった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
地勢こそ
嶮
(
けん
)
だが、また、草木もなびくべき天皇旗だが、いたずらに山風寒いのみで、
馳
(
は
)
せ参じてくる者といっては、微々たる小族
烏合
(
うごう
)
の
輩
(
ともがら
)
ばかりだった。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「たかの知れた宮方の
烏合
(
うごう
)
。それに、これしきな砦一つを、味方二万が、いつまで、ただ遠巻きに見ているのか」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また主将の楠木は、ここに見えず、という観察と、正成一族のほかは、
烏合
(
うごう
)
の土民で、住吉辺にその本陣を置く、とやや真相らしい情報もあったりする。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに
半端
(
はんぱ
)
な具足をつけ、また中には、ゆうべ限り六波羅方に見切りをつけて、たちどころに、野盗と変じた逃亡兵なども交じっているかと思われる
烏合
(
うごう
)
だった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが山奥の伊勢ざかいまで聞えて、はやくも美濃近江の要路、
摺針峠
(
すりばりとうげ
)
から番場へかけ、こんな結集をみせたのは、どうもただの
烏合
(
うごう
)
の
衆
(
しゅう
)
にしては出来すぎている。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いわゆる
烏合
(
うごう
)
の衆なるものだ。——これを、みそなわしては、後醍醐のおむねも、公卿ばらの心のうちにも、ひそかに、安からぬものがあったのは、いうまでもない。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「元より最初から
烏合
(
うごう
)
の数は望まぬところ。一人だに、一念神仏に通じれば、世をも動かそう。鉄石の心をもつ、
武士
(
つわもの
)
の八十余騎もおれば、何事か貫けぬことやあろう」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「十八ヵ国十七鎮の大兵と誇称するも、反逆軍は
烏合
(
うごう
)
の
勢
(
せい
)
とみえたり。何ほどのこともないぞ」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四国に散在している雑然たる敵性の
烏合
(
うごう
)
に、しらみつぶしの
剿滅
(
そうめつ
)
を加えていたからである。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
北京の難を、直接、救わんとすれば大きな犠牲を要しますが、彼らの留守を襲って、先に、梁山泊を
陥
(
おと
)
してしまえば、元々、
烏合
(
うごう
)
の
衆
(
しゅう
)
、あとは苦もなき
掃討
(
そうとう
)
でかたづきましょう
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
聞説
(
きくならく
)
、
淮南
(
わいなん
)
の大兵二十余万とかいっています。しかし、
烏合
(
うごう
)
の衆でしょう。なぜならば、袁術はここにわかに、帝位につかんという野心から、急激にその軍容を
膨脹
(
ぼうちょう
)
させました。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まったくの
烏合
(
うごう
)
の勢にひとしく、得物や
物具
(
もののぐ
)
も雑多だったが、ただ若い肉体は見事に揃っていた。そして
凄
(
すさ
)
まじい争闘心がどの眼にもぎらついているのには、山木勢も胆を冷やした。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし
麾下
(
きか
)
の軍団は、幾段、幾十隊か数も知れない。そしてそれぞれ
金甲
(
きんこう
)
鉄鎗
(
てっそう
)
の
燦然
(
さんぜん
)
たる部将のもとに
楯
(
たて
)
をならべ——ござんなれ
烏合
(
うごう
)
の賊——と
弩弓
(
どきゅう
)
の
満
(
まん
)
を
持
(
じ
)
して待ちかまえていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「野武士とあれば、多くも二、三十人。それも
多寡
(
たか
)
の知れたあぶれ者の
烏合
(
うごう
)
です。喜兵衛殿と二人して、お道を払って参ります故、殿にはしばし木蔭にでもお
憩
(
いこ
)
い遊ばしてお待ちください」
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
烏
漢検準1級
部首:⽕
10画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“烏”で始まる語句
烏
烏帽子
烏賊
烏滸
烏瓜
烏羽玉
烏有
烏丸
烏金
烏山