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せんすい
ふりがな文庫
“
泉水
(
せんすい
)” の例文
広い縁の向うに
泉水
(
せんすい
)
の見える部屋だ。庭いっぱい、
黄金
(
こがね
)
いろの液体のような日光が
躍
(
おど
)
って、
霜枯
(
しもが
)
れの草の葉が
蒼穹
(
あおぞら
)
の色を映している。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
門の中には右のほうに水のきれいな
泉水
(
せんすい
)
があって、その
縁
(
へり
)
に
仮山
(
つきやま
)
があった。仮山の上には二三本の形のおもしろい小松が植わっていた。
藤の瓔珞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
泉水
(
せんすい
)
の
中
(
なか
)
に、こいと
金魚
(
きんぎょ
)
が、たのしそうに
泳
(
およ
)
いでいました。しかし、
黒
(
くろ
)
いねこが、よくねらっていますので、ゆだんができませんでした。
こいのぼりと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『今度、お引移りになる本所のお屋敷にも、かなり広い
泉水
(
せんすい
)
があるそうですから、鶴も、それへ移せば仔細はございますまいが』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
件
(
くだん
)
の
泉水
(
せんすい
)
を隔てて寝床の
裾
(
すそ
)
に立つて居るのが、
一間
(
いっけん
)
真蒼
(
まっさお
)
になつて、
桟
(
さん
)
も数へらるゝばかり、黒みを帯びた、動かぬ、どんよりした光がさして居た。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
与八はつるべ縄へ掛けた手を休めて見ていると、その人の影は
泉水
(
せんすい
)
の池のほとりから奥殿の廊下の方へと進んで行きます。
泥棒
(
どろぼう
)
だ、泥棒に違えねえ
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
両手で膝をかかえ、視線は、公会堂から
泉水
(
せんすい
)
のうえに散る水しぶきの方に落したまま、なお、ひとりごとのように
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
地中を掘ってゆくうち、そういうことのないように気をつけていたつもりであったけれど、とうとうお隣りの
鬼河原邸
(
おにがわらてい
)
の
泉水
(
せんすい
)
をこわしてしまったのであった。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
左側の方は支那風を摸したので桐や竹が植ゑてある。後側は日本固有の造り庭で
泉水
(
せんすい
)
や
築山
(
つきやま
)
が
拵
(
こしら
)
へてある。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そしてその地図の
立派
(
りっぱ
)
なことは、夜のようにまっ黒な
盤
(
ばん
)
の上に、一々の
停車場
(
ていしゃば
)
や
三角標
(
さんかくひょう
)
、
泉水
(
せんすい
)
や森が、青や
橙
(
だいだい
)
や
緑
(
みどり
)
や、うつくしい光でちりばめられてありました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
祖母はやはり母家を仕切って裏側の部屋に住んでいたが、間の
檜戸
(
ひのきど
)
は
堅
(
かた
)
く釘づけにされて開かなかった。裏の
泉水
(
せんすい
)
は木の葉や泥で
埋
(
うず
)
もって浅く汚くそして
濁
(
にご
)
っていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
飾り付けも立派でございまして、庭からずうと見渡すと、
潮入
(
しおい
)
りの
泉水
(
せんすい
)
になって、模様を取って
土橋
(
どばし
)
が
架
(
かゝ
)
り、紅白の萩其の
他
(
た
)
の秋草が盛りで、何とも云えん
好
(
よ
)
い景色でございます。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昨日
一昨日
(
おととい
)
までは礫一つ打つことならざしり
泉水
(
せんすい
)
の、尺余の鯉を、思ふまゝに釣り勝ち取り勝ちし得べき、公開? 釣堀と変りたることなれは、
数
(
す
)
百の釣手、
数
(
す
)
千の見物の、
蟻集麕至
(
ぎしゅうくんし
)
せしも
東京市騒擾中の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
四角い爪をいじりながら西向きのお庭の
泉水
(
せんすい
)
に咲いているお父様の御自慢の
花菖蒲
(
はなしょうぶ
)
をボンヤリ見ておりましたが、今までカンカン照っていたお日様に雲がかかったかしてフッと暗くなりました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして、
黒
(
くろ
)
いねこが
泉水
(
せんすい
)
の
近
(
ちか
)
くを
歩
(
ある
)
いていると、コケッコ、コケッコといって、
泉水
(
せんすい
)
の
中
(
なか
)
の
金魚
(
きんぎょ
)
や、こいにも、
注意
(
ちゅうい
)
をしたのであります。
こいのぼりと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
人間地下戦車が、お隣りの鬼河原邸の
泉水
(
せんすい
)
をこわしてしまったので、岡部一郎は、たいへん叱られた。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
戸外
(
おもて
)
の方は騒がしい、
仏間
(
ぶつま
)
の
方
(
かた
)
を、とお辻はいつたけれども
其方
(
そっち
)
を枕にすると、
枕頭
(
まくらもと
)
の障子
一重
(
ひとえ
)
を隔てて、中庭といふではないが一坪ばかりのしツくひ
叩
(
たたき
)
の
泉水
(
せんすい
)
があつて
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お力士さんのように肥ったからだに、紋服の
突
(
つ
)
き
袖
(
そで
)
が似合った。
泉水
(
せんすい
)
のまわりを歩いているのだ。いい天気だ。金いろの水のような日光が
空間
(
くうかん
)
を占めて、空は、高く蒼い。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
フラン
毛布
(
けっと
)
を前に押附けて、これから福寿庵の前に車を
下
(
おろ
)
します。車から出て板橋を渡って這入りますと、奥に庭が有りまして、あの庭は余程
手広
(
てびろ
)
で有りまして、
泉水
(
せんすい
)
がございます。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かねて
今宵
(
こよい
)
のことをもくろんでいる
裏切
(
うらぎ
)
り者は、夕方の
炊事
(
かしぎ
)
どきを見はからって、
砦
(
とりで
)
の
用水
(
ようすい
)
——山からひく
掛樋
(
かけひ
)
、
泉水
(
せんすい
)
、
井戸
(
いど
)
、そのほかの
貯水池
(
ちょすいち
)
へ、
酔魚草
(
すいぎょそう
)
、とりかぶとなどという
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
竹林に、風が騒ぎ、どこかの
泉水
(
せんすい
)
に、水の落ちている音がする。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
それは空気の中に何かしらそらぞらしい
硝子
(
ガラス
)
の分子のようなものが
浮
(
うか
)
んできたのでもわかりましたが
第一
(
だいいち
)
東の九つの小さな青い星で
囲
(
かこ
)
まれたそらの
泉水
(
せんすい
)
のようなものが大へん光が弱くなりそこの空は早くも
鋼青
(
こうせい
)
から
天河石
(
てんがせき
)
の
板
(
いた
)
に
変
(
かわ
)
っていたことから
実
(
じつ
)
にあきらかだったのです。
インドラの網
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「
私
(
わたくし
)
が、
見張
(
みは
)
りをしてあげましょう。」と、
毎日
(
まいにち
)
、
泉水
(
せんすい
)
のほとりで
遊
(
あそ
)
んでいる
鶏
(
にわとり
)
がいいました。
鶏
(
にわとり
)
は、すばしこかったから、けっして、ねこにとらえられるようなことはありませんでした。
こいのぼりと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
數「いや中々の
博識
(
ものしり
)
じゃ、うふゝゝ面白い男だの、此の
泉水
(
せんすい
)
は
潮入
(
しおいり
)
かえ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
館
(
やかた
)
の
奥庭
(
おくにわ
)
を、もののかげからかげへ、
暗
(
くら
)
がりから暗がりへ、ソロ……ソロ……と
息
(
いき
)
をころして
忍
(
しの
)
んでいった三つの
影
(
かげ
)
は、やがてひろい
泉水
(
せんすい
)
の
縁
(
ふち
)
へでて、たがいになにかうなずき合いながら
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは
泉水
(
せんすい
)
の大きな池であった。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
泉水
(
せんすい
)
の音。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
天竜川からみれやあ、こんな川は、まるで
泉水
(
せんすい
)
みてえなものだ。
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蘭「どうも広いお
泉水
(
せんすい
)
で」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“泉水”の意味
《名詞》
泉の水。
庭に作った池。
(出典:Wiktionary)
泉
常用漢字
小6
部首:⽔
9画
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
“泉水”で始まる語句
泉水盤
泉水縁