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気位
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きぐらい
ふりがな文庫
“
気位
(
きぐらい
)” の例文
旧字:
氣位
これまた、円心におくれては、自身のこけんにかかわるような
気位
(
きぐらい
)
で、ありもせぬ兵略や猛気をふるッているものと思われる。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今から考えて見ると先方が横柄なのではない、こっちの
気位
(
きぐらい
)
が高過ぎたから普通の応接ぶりが横柄に見えたのかも知れない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
智力思想の活溌高尚なることは王侯
貴人
(
きにん
)
も
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みくだ
)
すと云う
気位
(
きぐらい
)
で、
唯
(
ただ
)
六かしければ面白い、
苦中有楽
(
くちゅううらく
)
、
苦即楽
(
くそくらく
)
と
云
(
い
)
う境遇であったと思われる。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それは、
前途
(
ぜんと
)
におおくの
希望
(
きぼう
)
を持った、
若
(
わか
)
い
時代
(
じだい
)
には、ずいぶんいやにすました人だといわれたこともあった。
実際
(
じっさい
)
気位
(
きぐらい
)
高くふるまっていたこともあった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
かれはたかが犬を
連
(
つ
)
れていなかを
興行
(
こうぎょう
)
いて回る
見世物師
(
みせものし
)
の
老人
(
ろうじん
)
ではあったが、ひじょうに
気位
(
きぐらい
)
が高かったし、
権利
(
けんり
)
の
思想
(
しそう
)
をじゅうぶんに持っていたかれは
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
零落
(
おちぶ
)
れても
気位
(
きぐらい
)
をおとさなかった彼女は、渋沢家では夫人がコレラでなくなって困っているからというので、後の事を引受けることになって連れてゆかれた。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
葉子はそんな人間からは一段も二段も高い所にいるような
気位
(
きぐらい
)
を感じた。自分の
扮粧
(
いでたち
)
がその人たちのどれよりも立ちまさっている自信を十二
分
(
ぶん
)
に持っていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
女の癖に変なこうポツ/\毛の生えた羽織などを着ていけません、それに洋学などを習ったりすると変な
気位
(
きぐらい
)
ばかり高くなって、外国の話なんぞを為ますが
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
気位
(
きぐらい
)
の高いベシイ・コンスタンス・アニイ・マンディ嬢から
観
(
み
)
れば、いささか教養の点に不満があったようだが、元来性的結合には、なんらの条件が予在しない。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
こうした
貧窮
(
ひんきゅう
)
の間にもなお、私をその昔のままの
気位
(
きぐらい
)
で育てたのに違いなかったのである。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
姉さんのお気に入ろうと思って、乃公にまで
恁麽
(
こんな
)
に御愛嬌を振撒くのだろうが、豪気だの豪勢だのという下町言葉を使っては、
気位
(
きぐらい
)
ばかり妙に高いお花姉さんに好かれる筈がない。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
……そして、ひょっとして、こんなふうにでもいったら、見向きもしないというこの長人参を、
気位
(
きぐらい
)
の高いこの馬さんに食べていただけるようなことになるかも知れないと思って。
キャラコさん:10 馬と老人
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
言う。貴様、少うし腰も低くなって、
気位
(
きぐらい
)
もだんだんと折れて来たと思ったらじきに今のような
荊
(
とげ
)
を出すな。いくら荊を出したとて、もう貴様等ごとき
痩
(
や
)
せ旗本の天下は廻って来んぞ
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
自分の知人に彼を紹介する場合に、如何に自分が愛されてゐるかを誇示することがまた、
気位
(
きぐらい
)
の高い彼女の性格の現はれの一つでもあつた。それは又一面彼女の愛らしい甘へでもあつた。
ある夜
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
人を人とも思わず、
気位
(
きぐらい
)
高う生まれたは、母の子なれば是非がないのじゃ。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし、その父親は酒飲みで、さんざん遊び暮らし、娘に迷惑ばかりかけてることは、クリストフもたやすく推察し得た。彼女は
搾
(
しぼ
)
り取られながら、
気位
(
きぐらい
)
を高くもって一言も文句を言わなかった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
君兪は名家に生れて、
気位
(
きぐらい
)
も高く、かつ豪華で交際を好む人であったので、九如は大金を
齎
(
もた
)
らして君兪のために
寿
(
じゅ
)
を為し、是非ともどうか名高い定鼎を拝見して、
生平
(
せいへい
)
の渇望を
慰
(
い
)
したいと
申出
(
もうしだ
)
した。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そしてわれわれはそれによってある
気位
(
きぐらい
)
を自分自身で感じていたものだった。先ず
鞭声粛々
(
べんせいしゅくしゅく
)
時代といえばいえる。東洋的
大和魂
(
やまとだましい
)
がまだわれわれの心の
片隅
(
かたすみ
)
に下宿していたといっていいかも知れない。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
事実、直義自身も、それくらいな
気位
(
きぐらい
)
だった。このさいの難関は、たんに、兄の代行者ぐらいなことでは切り抜けえないとしていたのである。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これがお延のとうから
叔母
(
おば
)
にぶつかって、
質
(
ただ
)
して見たい問であった。不幸にして彼女には持って生れた一種の
気位
(
きぐらい
)
があった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
銭は
家
(
うち
)
の銭だ、盗んだ銭じゃないぞと云うような
気位
(
きぐらい
)
で、
却
(
かえっ
)
て藩中者の頬冠をして
見栄
(
みえ
)
をするのを
可笑
(
おか
)
しく
思
(
おもっ
)
たのは少年の血気、自分
独
(
ひと
)
り
自惚
(
うぬぼれ
)
て居たのでしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
けれどいくらなり下がってもやはり
気位
(
きぐらい
)
が高く、これが有名なカルロ・バルザニのなれの
果
(
は
)
てだということを世間に知られるくらいなら、はずかしがって死んだでしょう。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
職人でも芸人でも金持に贔屓にされるア
宜
(
い
)
いが、見よう見真似で万事贅沢になって、
気位
(
きぐらい
)
まで金持を気取って、他の者を見くびるようになるから、
己
(
おら
)
ア金持と
交際
(
つきあ
)
うことア
大嫌
(
でえきれ
)
えだ
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その声に、夫人のふところに眠っていた幼君の
阿斗
(
あと
)
が泣きだした。侍女たちは怖れてみな片隅に打ち慄えている。しかし、さすがに夫人は
気位
(
きぐらい
)
が高い。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小林の云い方があまり
大袈裟
(
おおげさ
)
なので、お延はかえって相手を
冷評
(
ひやか
)
し返してやりたくなった。しかし彼女の
気位
(
きぐらい
)
がそれを許さなかったので、彼女はわざと黙っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
右の如く、ただ
気位
(
きぐらい
)
のみ高くなりて、さて、その生計はいかんというに、かつて目的あることなし。
成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
といえば、今川家では、
侮蔑
(
ぶべつ
)
の
的
(
まと
)
であったから、彼女の
気位
(
きぐらい
)
は、築山の一
廓
(
かく
)
に住んでからも、三河者の家来をいやしみ、良人にはわがままと盲愛でのみ接していた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やはり人間同等の
気位
(
きぐらい
)
で彼等の思想、言行を
評隲
(
ひょうしつ
)
したくなる。これも無理はあるまい。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これへ来るまでのあいだに、宗厳の心は、自分が柳生城の
主
(
あるじ
)
であるというような日頃の習慣や
気位
(
きぐらい
)
はとうに
振
(
ふ
)
りすてていた。道を求めて
熄
(
や
)
まないものだけが胸を占めていた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六波羅の目代という官僚的な
気位
(
きぐらい
)
は、庶民の想像以上、彼自身には、高い位置であった。従って、頼朝をめぐる郷土の青年たちの活動も、まったく知らないではなかったが
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恋の盲目は何をするか分らない——殊に御方は公卿出の
気位
(
きぐらい
)
と、江戸で別扱いの
吾儘
(
わがまま
)
に勝った人、まったくそんなこともやりかねないのである。新九郎は
咽
(
のど
)
を締められるような強迫を感じた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
位
常用漢字
小4
部首:⼈
7画
“気”で始まる語句
気
気色
気遣
気勢
気持
気質
気障
気配
気味
気高