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檻
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をり
ふりがな文庫
“
檻
(
をり
)” の例文
或日おれは
檻
(
をり
)
の羊に、いろいろな本を食はせてやつた。聖書、Une Vie,
唐詩選
(
たうしせん
)
、——
何
(
なん
)
でも羊は食つてしまふ。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
襦袢
(
じゆばん
)
や何かを縫つたり又は
引釈
(
ひきと
)
きものなどをして単調な重苦しい時間を消すのであつたが、然うしてゐると牢獄のやうな
檻
(
をり
)
のなかにゐる
遣瀬
(
やるせ
)
なさを忘れて
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
狐も沢山くしゃみをして起きあがってうろうろうろうろ
檻
(
をり
)
の中を歩きながら向ふの獅子の檻の中に居るまっくろな大きなけものを暗をすかしてちょっと見ました。
月夜のけだもの
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
自分の心の
裡
(
うち
)
を眺め、その思想や感情を
査
(
しら
)
べ、
果
(
はて
)
しのない
埓
(
らち
)
のない、想像の荒野の中を
逍遙
(
さまよ
)
つてゐるのを嚴格な手で安全な常識の
檻
(
をり
)
の中につれ歸らうと努力した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
金太郎は中學で物理の時間に四
角
(
かく
)
な
檻
(
をり
)
のやうな
針
(
はり
)
金
細
(
さい
)
工の
箱
(
はこ
)
の中に人間を入れておいて、その
箱
(
はこ
)
に高
壓
(
あつ
)
電流を通じても、中の人間は少しも知らないで平然としてゐられる
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
老人は障子の外の、廊下の片隅に置いてある
檻
(
をり
)
の狐に合掌して何か云つてゐた。よく聞くと
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
萬一の事を考へて、俺はこれだけの用意をしたのだ——今まで彼方此方に散らして置いた五人の兄妹は、昨夜
纒
(
まと
)
めて此處へ連れ込んで、以前熊を入れた
檻
(
をり
)
の中へ投り込んである。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
幾ら異教徒嫌ひの神様だつて、まさかソクラテスと浜田氏を同じ
檻
(
をり
)
には
打込
(
ぶちこ
)
むまいから。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
之に加ふるに東側の巌端には危ふく懸れる倒石ありて我を
脅
(
おびや
)
かし、西方の鉄窓には巨大なる悪蛇を住ませて我を怖れしめ、前面には猛虎の
檻
(
をり
)
ありて、我室内に向けて戸を開きあり
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
それはお
疳癪
(
かんしやく
)
の
募
(
つの
)
つて
生
(
なま
)
やさしい
離縁
(
りえん
)
などをお
出
(
だ
)
しなさるより
何時
(
いつ
)
までも
檻
(
をり
)
の
中
(
なか
)
へ
置
(
お
)
いて
苦
(
くる
)
しませてやらうといふお
考
(
かんが
)
へであつたか
其處
(
そこ
)
は
解
(
わか
)
らぬなれども、
今
(
いま
)
では
私
(
わたし
)
は
何事
(
なにごと
)
の
恨
(
うら
)
みも
無
(
な
)
い
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
おくみはその間井戸ばたへ出て、
褄
(
つま
)
をからげて傘をさしかけてゐてお上げした。山羊はじと/\と水を吸うた
檻
(
をり
)
の板屋根の下に小暗く引つ込んで、人のけはひを恋しがるやうにみい/\啼いた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
イヘ默止ますまいと云ば何役人へ對ひ不屆の一言牢へ
打込
(
うちこむ
)
ぞと
叱
(
しか
)
り付れば三五郎はハイ/\牢へでも
檻
(
をり
)
でも勝手の處へ入度ば入さつしやい何ぼ御奉行でも
理
(
り
)
より
外
(
ほか
)
には御座るまい
依怙贔屓
(
えこひいき
)
などを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
小さな
檻
(
をり
)
が運ばれて来た。それには兎と雞とが入れてあつた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
うつし世をはかなむかあはれ穴熊は
檻
(
をり
)
の奧
處
(
ど
)
にべそをかきゐる
河馬
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
我は知る、この
檻
(
をり
)
の家を出づる
期
(
ご
)
なきを
妄動
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
日は
檻
(
をり
)
の外よりぞ
酷
(
むご
)
くも臨む。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
花百合のなかに
獸
(
けもの
)
の
檻
(
をり
)
は見ゆ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
また
苦
(
にが
)
き
檻
(
をり
)
のおびえに
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
檻
(
をり
)
のなか
歌時計:童謡集
(旧字旧仮名)
/
水谷まさる
(著)
外を
覗
(
のぞ
)
くと、うす暗いプラツトフオオムにも、今日は珍しく見送りの人影さへ跡を絶つて、唯、
檻
(
をり
)
に入れられた小犬が一匹、時々悲しさうに、吠え立ててゐた。
蜜柑
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は心の弱き者の爲めに力を願ひ、
檻
(
をり
)
からさまよひ出た者に導きを、また現世と肉の誘惑が狹い路から誘つてゐる者の爲めに、しまひぎはにさへ歸つて來ることを願つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
その青じろい月の明りを浴びて、
獅子
(
しし
)
は
檻
(
をり
)
のなかをのそのそあるいて
居
(
を
)
りましたが、ほかのけだものどもは、頭をまげて前あしにのせたり、横にごろっとねころんだりしづかに
睡
(
ねむ
)
ってゐました。
月夜のけだもの
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
獣
(
けもの
)
に於て
檻
(
をり
)
と呼ぶもの
妄動
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
外
(
そと
)
を
覗
(
のぞ
)
くと、うす
暗
(
ぐら
)
いプラットフォオムにも、
今日
(
けふ
)
は
珍
(
めづ
)
らしく
見送
(
みおく
)
りの
人影
(
ひとかげ
)
さへ
跡
(
あと
)
を
絶
(
た
)
つて、
唯
(
ただ
)
、
檻
(
をり
)
に
入
(
い
)
れられた
小犬
(
こいぬ
)
が一
匹
(
ぴき
)
、
時時
(
ときどき
)
悲
(
かな
)
しさうに、
吠
(
ほ
)
え
立
(
た
)
ててゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あの横手にある
檻
(
をり
)
にゐる野獸か、それとも惡鬼の動くのを耳をすましてゐなくてはならなかつた。しかし、ロチスター氏が來て以來、それはまるで咒文に縛られたやうであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
前のいろ/\な出來事に懲りてゐる弟子たちは、まるで虎狼と一つ
檻
(
をり
)
にでもゐるやうな心もちで、その後師匠の身のまはりへは、成る可く近づかない算段をして居りましたから。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
前のいろ/\な出来事に懲りてゐる弟子たちは、まるで虎狼と一つ
檻
(
をり
)
にでもゐるやうな心もちで、その後師匠の身のまはりへは、成る可く近づかない算段をして居りましたから。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
檻
漢検1級
部首:⽊
18画
“檻”を含む語句
御折檻
檻車
鐵檻車
折檻
熊檻
自動鐵檻車
檻禁
檻房
責折檻
鉄檻
檻送
未決檻
罠檻
野獣檻
送檻
試験檻
檻舎
空檻
直欄横檻
猪檻
...