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樋
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とひ
ふりがな文庫
“
樋
(
とひ
)” の例文
「水道橋の
下手
(
しもて
)
——上水の
樋
(
とひ
)
の足に引つ掛つてゐたのを、船頭が見付けて引揚げましたが、もう蟲の息さへもねエ——可哀想に——」
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
埋
(
うづ
)
む今ま三四年せば卷烟草一本吸ひ盡さぬ間に
蝦夷
(
ゑぞ
)
長崎へも到りヱヘンといふ響きのうちに奈良大和へも遊ぶべし
况
(
いは
)
んや手近の温泉塲など
樋
(
とひ
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
そこで
峠
(
たうげ
)
の
方
(
はう
)
から
清水
(
しみづ
)
を
引
(
ひ
)
いて、それを
溜
(
た
)
める
塲所
(
ばしよ
)
が
造
(
つく
)
つてあつたのです。
何
(
なん
)
といふ
好
(
よ
)
い
清水
(
しみづ
)
が
長
(
なが
)
い
樋
(
とひ
)
を
通
(
とほ
)
つて、どん/\
流
(
なが
)
れて
來
(
き
)
ましたらう。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
むきたての玉子のやうな、
蒼味
(
あをみ
)
がかつたすべすべした肌で、うつぶせになつて眠つてゐる。唇は開いたまゝ時々、
樋
(
とひ
)
に水の溜るやうないびきをあげてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
日當
(
ひあた
)
りの
惡
(
わる
)
い
上
(
うへ
)
に、
樋
(
とひ
)
から
雨滴
(
あまだれ
)
ばかり
落
(
お
)
ちるので、
夏
(
なつ
)
になると
秋海棠
(
しうかいだう
)
が
一杯
(
いつぱい
)
生
(
は
)
える。
其
(
その
)
盛
(
さか
)
りな
頃
(
ころ
)
は
青
(
あを
)
い
葉
(
は
)
が
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
つて、
殆
(
ほと
)
んど
通
(
とほ
)
り
路
(
みち
)
がなくなる
位
(
くらゐ
)
茂
(
しげ
)
つて
來
(
く
)
る。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
軒の
樋
(
とひ
)
から溢れ落ちる水の音と一ツになつてしめやかな
夜
(
よる
)
の澄み渡る
燈火
(
ともしび
)
の光に悲痛な音樂を奏する。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
あたかも紫の雲のたなびけるがごとし。されどもつひにそのあたりに近づくことあたはず。かつて茸を採りに入りし者あり。白望の山奥にて金の
樋
(
とひ
)
と金の杓とを見たり。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
丑滿刻ごろから小雨になつて、壞れたトタンの
樋
(
とひ
)
を流るゝ水の音が、
小鼓
(
こつゞみ
)
のやうであつた。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
室
(
へや
)
は二階のはしで、窓のそばに、大きな
雨樋
(
あまどひ
)
が地面までつゞいてゐました。エミリアンはその
樋
(
とひ
)
の
留金
(
とめがね
)
に片手でつかまり、樋に両足をかけると、そのまゝ、するすると滑りおりました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
それは
如何
(
いか
)
にも、あの
綺麗
(
きれい
)
な
雪
(
ゆき
)
が
溶
(
と
)
けて、
露
(
つゆ
)
の
玉
(
たま
)
になつて
樋
(
とひ
)
の
中
(
なか
)
へ
轉
(
まろ
)
び
込
(
こ
)
むのにふさはしい
音
(
おと
)
である……
轉
(
まろ
)
び
込
(
こ
)
んだ
露
(
つゆ
)
はとろ/\と
響
(
ひゞき
)
に
誘
(
いざな
)
はれて
流
(
なが
)
れ、
流
(
なが
)
れる
水
(
みづ
)
はとろ/\と
響
(
ひゞき
)
を
導
(
みちび
)
いて
行
(
い
)
く。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ほうこれは牛蒡の花だな湯の
樋
(
とひ
)
の湯気がふつかけ濃いむらさきだ
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
あたらしき
樋
(
とひ
)
をふせつゝ湯けむりをあびる男の打つ杭の音
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
空の青さで君の屋根の
樋
(
とひ
)
の中までが一ぱいになる……
ジャム、君の家は
(旧字旧仮名)
/
シャルル・ゲラン
(著)
濁り水は早口に鍛冶屋の
樋
(
とひ
)
へをどり込み
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
ブリキの
樋
(
とひ
)
に身を隠し
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
藤六は、さう言ひ乍ら、ガラツ八に手傳つて貰つて、三重になつて居る、水槽の
樋
(
とひ
)
を開きました。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
樂
(
たの
)
しい
御休處
(
おんやすみどころ
)
。
父
(
とう
)
さんが
祖母
(
おばあ
)
さんから
貰
(
もら
)
つて
來
(
き
)
た
金米糖
(
こんぺいたう
)
なぞを
小
(
ちひ
)
さな
鞄
(
かばん
)
から
取出
(
とりだ
)
すのも、その
御休處
(
おんやすみどころ
)
でした。
塲處
(
ばしよ
)
によりましては、
冷
(
つめた
)
い
清水
(
しみづ
)
が
樋
(
とひ
)
をつたつて
休茶屋
(
やすみぢやや
)
のすぐ
側
(
わき
)
へ
流
(
なが
)
れて
來
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
ます。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
樋
(
とひ
)
をつたふ荒い水音が、打楽器のやうに聴える。こゝには何の思想も不要だつた。たゞ生きるだけの為にこゝにある気がして、富岡は、何も考へないで酒をあふつた。どの地をも神は支配してゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「八、その臼を起して見るが宜い。その下に古い
樋
(
とひ
)
か何かあるだらう」
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
樋
(
とひ
)
をつたふ雨声が滝のやうに激しくなり、ゆき子はふつとまた現実に呼び戻される。くさくさして、仲々寝つかれない。仏印での華やかな思ひ出が、走馬燈のやうに頭のなかに浮きつ沈みつしてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
樋
漢検準1級
部首:⽊
15画
“樋”を含む語句
雨樋
樋口
大樋
伏樋
樋竹
竹樋
樋放
木樋
掛樋
懸樋
樋口一葉
石樋
竪樋
戸樋
樋口兼光
大伏樋
樋田
樋速日
樋口次郎兼光
樋竹売
...