かわ)” の例文
背中から左の横腹や腰にかけて、あそこやここでかわがわる痛んで来る事は地獄で鬼の責めを受けるように、二六時中少しの間断もない。
病牀苦語 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
「念の為めだ。僕は学務部長がかわる度に誰か知ったものを通して、大友を推薦している。ほかのものに切られちゃ堪まらないからね」
首切り問答 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この恐ろしい世間のかわやう、又た友達の栄枯得失を聞いて、自分の唯だ此処に取残されたことを顧みたリツプの落胆は思ひ遣られます。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
「そうか、詩人か。」神様は二人の男が詩人だと聞いて、いくらか気持がかわったらしく、急に調子を荒らげて相手の雑人を叱りつけた。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
と夢中で饒舌しゃべる間にスープ皿は引込まされてかわりの皿が客の前にならび「兄さん鮎の御馳走が冷めてしまいます」とお登和嬢の注意。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
おれは生れかわったつもりで御当家へ足軽として仕えた、おれの生涯はここから始るのだ、横井、……この気持がわかって貰えるか
足軽奉公 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「これでは、いかに何でも、おれないでしょう。あしたは、ほかの旅籠はたごかわりましょう。毎夜ですから、寝不足になりますよ」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
でございますけれど、こうして再びこの世へ生れかわって参りましても、ごうが尽きない限り、この世もあの世も同じことの地獄でございます
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今度は、所司代が、会津の容保かたもりと、かわるそうだが、此奴は、きっと、市中取締が手厳しくなろう。すると、諸国浪士共が、じっとしていまいし——
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
先ず親玉から子玉が生れ、その子玉から孫玉が出て、それからまた曾孫ひまごが出た。そしてその代のかわには、赤や青の煙の塊が飛び出すのであった。
雑記(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
カツキル連山が季節の移りかわりや天候の変るごとに、いや実に一日の中でも刻々に不思議な色やら形やらを変えるので
山と村 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
職人と入れかわって刈り初めたが、話はやっぱりルーゲンパルクの野天芝居で、役者はどこのもんで、衣裳がすばらしいなんて、髪結床らしい対話がはじまる。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
陛下が崩御になれば年号もかわる。其れを知らぬではないが、余は明治と云う年号は永久につゞくものであるかの様に感じて居た。余は明治元年十月の生れである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
越前は、そのままにするつもりでいたところ、月がかわると、左膳の方から、いきなり押しかけて来た。
奉行と人相学 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
私はこれだけの事実を極度の注意を払って検査した上で、もう一度、岩形氏の枕元に在る注射器と茶色の小瓶と、ポケットから出た小鋏とをかわがわる取り上げてみた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あて人の家自身が、それぞれ、農村の大家おおやけであった。其が次第に、官人つかさびとらしい姿にかわって来ても、家庭の生活には、何時までたっても、何処か農家らしい様子が、残って居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
「月でもかわりましたら、御緩ごゆっく入来いらしって下さい」と正太は叔父叔母の顔を見比べて
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
世間でおもちゃにして飼っている矮鶏とはちがって、本当の矮鶏で、自分が六代生まれかわらせて、チャボの本種を作り出そうと苦心してこしらえ上げたもので、これ以上本筋のチャボはない。
「自分が姉になるのが嫌いだったら、姉をこそ、自分に生れかわらしたら、どう」
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
されば今われが前にて、彼の金眸が洞の様子、またあの山の要害怎麼に、委敷くわしく語り聞かすべし。かくてもなお他を重んじ、事の真実まことを語らずば、その時こそは爾をば、われ曹三匹かわる更る。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
ああまた、工女の歌が革命歌に、喜びの歌にかわる日よ!
工女の歌 (新字新仮名) / 丹沢明(著)
「日本にいて日本のことを知らなくて何うするものか。君は横手の五郎が木山弾正きやまだんじょうの生れかわりだという話を知っているかい?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
御馳走はかわがわでて尽くる事なし。続いて来れるは西洋チサのしんのみをりたる上等のサラダ、サラダを喫しおわりし時美事みごとなる寄物よせものず。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「お豊さん、お前はいったん死んだ体、わしもいったん地獄を見て来た体、うまかわり同士がこうして一緒になるのも三輪の神様のお引合せだね」
そのときはどうぞ哀れなやつと思召おぼしめして、こんどの罪をおゆるし下さいまし、こんどの世には、りっぱな日本の女に生れかわって来たいと存じます。
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
鈴なりのくだものが、枝のしなうばかりにって、草の上にもいくつとなく、もう色づいた木の実がころがって居る、私達はかわがわる杖を振るって、その実でゴルフをやって遊び廻った
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
……のう。主と家臣とはあしたかわり夕べに変ずるような、そんな軽薄なものではあるまい。隠居はしても、光圀のそちに対する愛、また信、すこしも変らぬつもりである。たのむぞ、この上とも、当主の輔佐や、吉孚よしのぶの将来を
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「詰まらないから官の方へでもかわろうと度々思ったが、あの時余所よそへ行ったら、幾ら努力したって今日はなかったろう。人間は辛抱が肝心だよ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
御両親が御着き遊ばしたらズーットお車へお乗せ申して家へ着くと直ぐ例の三十六品の料理がかわる更る出て来る。御両親もさぞお驚き遊ばすだろう。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
こうして後、森の中の修験者へ行って逐一ちくいちにその身の上を語る。雲のことを語る。そうすれば自分は生れかわった身になれることのように思われてきました。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ナゼというのに大原は三度の食事を我々の三、四倍も食う。大きな飯櫃めしびつを一人でからにして汁なんぞは五、六杯もおかわりをする。家の内儀かみさんがこぼすまいことか。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
一寸生れかわったようだった。但し女房を貰った嬉しさが手伝っている。それにしても見直した。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
なるほど飯の上に何か載せてある。一つあじわってみよう、ウムこれは結構だ。お登和さん、どうぞおかわりを
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
尚おその以前に木山弾正きやまだんじょうという勇者がこの辺にございまして、一度清正公を組み伏せたことがあります。五郎は骨柄こつがらすぐれたところが弾正の生れかわりだろうという評判でございました。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
以前の客間にいざないて「サア大原さん、ようやく出来ました。貴君あなたはきっと沢山召上るだろうと思って大きな丼鉢どんぶりばちへ入れて来ましたから御遠慮なく何杯でもおかわりして下さい」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「はい。私も長らく御心配をかけましたから、今度は生れかわって勉強します」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ガヷナーこそ鬼瓦の生れかわりで神経衰弱なんて柄じゃないんだがなあ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あいも変らぬ長談義ながだんぎの中に前なる皿はいつの間にか新しき品とかわれり。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「あなた、新太郎は真正ほんとうに生れかわりましたのよ、今度は褒めて戴きます」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
乃公おれのいない後で、教会の牧師がかわった。今度の牧師は若い。二十七だという。眼鏡を掛けて、顔色かおの青白い、ひょろりとした男で、甘い菓子と若い女の子が好きらしい。今日は夕飯にばれて来た。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「年を取り戻して生れかわらなければなりません」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「僕は決心が堅い。後十日たつと生れかわる」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「こゝだ。新入学と共に生れかわろう」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「君は生れかわったね。豪い」
善根鈍根 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)