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旅商人
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たびあきんど
ふりがな文庫
“
旅商人
(
たびあきんど
)” の例文
「——な、なんでえ、てめえはさッき坂本で休んでいた
旅商人
(
たびあきんど
)
じゃねえか。侍みてえな声を出しゃあがって、
恟
(
ぎょ
)
ッとするじゃねえか」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今にもう一人ここへ来て寝るそうじゃが、お前様と同国じゃの、若狭の者で
塗物
(
ぬりもの
)
の
旅商人
(
たびあきんど
)
。いやこの男なぞは若いが感心に
実体
(
じってい
)
な
好
(
よ
)
い男。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたしたちの商売は
旅商人
(
たびあきんど
)
なのだよ。まあそんなふうにして、十三年目におまえがわたしたちの所へ帰って来たというわけだ。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
右「へえ先程大原村の茶店で馬を買ってお手附をお出しになる時、側に茶を
喫
(
の
)
んで居りました
私
(
わたくし
)
は
旅商人
(
たびあきんど
)
でございます」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
向こう岸の土手では
糸経
(
いとだて
)
を着て紺の
脚絆
(
きゃはん
)
を白い
埃
(
ほこり
)
にまみらせた
旅商人
(
たびあきんど
)
らしい男が大きな荷物をしょって、さもさも疲れたようなふうをして歩いて行った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
勝負事の好きなものは
博奕打
(
ばくちうち
)
になる。おべんちゃらの巧い奴は
旅商人
(
たびあきんど
)
になる。碁打ちになる、俳諧師になる。
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
つけてもいい歳だよ。驢馬の始末なら、明日にでも通りがかりの
旅商人
(
たびあきんど
)
に売り払ったらいいじゃないか。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
行きずりの
旅商人
(
たびあきんど
)
にも尋ねてみた。村に這入れば百姓に、町へ着けば役場へいって訊いてみた。
親ごころ
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
昔の宿場風の休茶屋には
旅商人
(
たびあきんど
)
の群が居りました。「
唐松
(
からまつ
)
」という名高い並木は
伐
(
きり
)
倒される最中で、大木の
横倒
(
よこたおし
)
になる音や、高い枝の裂ける響や、人足の騒ぐ声は
戦闘
(
いくさ
)
のよう。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
隣りの腰掛で最前から、一人でちびりちびり、黒鯛の塩焼で飲んでいる
旅商人
(
たびあきんど
)
らしい一人の男。前にも銚子が七八本行列をしているのだが、一向酔ったような顔はしていなかった。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
幕末の
比
(
ころ
)
であった。本郷の
枳殻寺
(
からだちでら
)
の傍に新三郎と云う男が住んでいたが、その新三郎は
旅商人
(
たびあきんど
)
でいつも上州あたりへ織物の買い出しに往って、それを東京近在の小さな呉服屋へ卸していた。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
或
旅商人
(
たびあきんど
)
が、京都で笛のうまい人を見たといつた。よくきいて見ると、それはどうやら兄さんの仇敵らしかつた。武士は消えかかつた勇気を取返し、刀を研いで京都にのぼつて来たのである。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
一学は舌打ちをして
肩越
(
かたご
)
しに眼を向けた。三十四五の
旅商人
(
たびあきんど
)
にしては
陽焦
(
ひや
)
けの浅い男である。
眸
(
ひとみ
)
がぶつかると、急に世辞笑いをして
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その二里の街道には、やはり
旅商人
(
たびあきんど
)
が通ったり、
機回
(
はたまわ
)
りの車が通ったり、自転車が走ったりしていた。尻をまくって赤い腰巻を出して歩いて行く田舎娘もあった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
かめ「
私
(
わたくし
)
は江戸の本郷春木町に居ります
旅商人
(
たびあきんど
)
の、岸田宇之助と申す者の女房でございます」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「でもどうして
旅商人
(
たびあきんど
)
風情
(
ふぜい
)
が、その子どもにレースのボンネットや、
縫箔
(
ぬいはく
)
の外とうを着せるだけの金があったろう。
旅商人
(
たびあきんど
)
というものは、そんなに金のあるものではないさ」
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
その頃は今ほどの人気役者ではなかったので、田舎の小さな宿屋にくすぶっていると、そこに泊り合せた親子づれの
旅商人
(
たびあきんど
)
があって、その親父の方は四、五日わずらって死んだ。
女侠伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
氷店
(
こおりみせ
)
の
白粉首
(
しろくび
)
にも、桜木町の赤襟にもこれほどの美なるはあらじ、ついぞ見懸けたことのない、大道店の掘出しもの。流れ渡りの
旅商人
(
たびあきんど
)
が、因縁は知らずここへ
茣蓙
(
ござ
)
を広げたらしい。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
呉服物の大きな
風呂敷
(
ふろしき
)
を背負った
旅商人
(
たびあきんど
)
、その他、宿から宿への
本馬
(
ほんま
)
何ほど、
軽尻
(
からじり
)
何ほど、人足何ほどと言った当時の道中記を
懐
(
ふところ
)
にした諸国の旅行者が、彼の前を
往
(
い
)
ったり来たりしていた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
まるでりすのようなはやさでかけのぼっていったのは、
竹
(
たけ
)
ノ
子
(
こ
)
笠
(
がさ
)
に
道中合羽
(
どうちゅうがっぱ
)
をきて
旅商人
(
たびあきんど
)
にばけた丹羽昌仙の密使、
早足
(
はやあし
)
の
燕作
(
えんさく
)
だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
乗合いは
田舎道者
(
いなかどうじゃ
)
や
旅商人
(
たびあきんど
)
、そのなかで年も若く、在郷者には不似合いのきりりとした次郎兵衛の男ぶりがお葉の眼に付いたらしく、船場で買った鮨や饅頭などを分けてくれて
半七捕物帳:63 川越次郎兵衛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
実は
此処
(
こゝ
)
にいる多助を己が跡目相続に貰った訳というものは、十三年あと八月二日、千鳥まで田地を買いに
行
(
ゆ
)
く時、
追貝村
(
おっかいむら
)
でな、今の
嚊
(
かゝあ
)
のおかめの
先
(
せん
)
の亭主、岸田屋宇之助という
旅商人
(
たびあきんど
)
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……床に
行李
(
こうり
)
と二つばかり重ねた、あせた
萌葱
(
もえぎ
)
の
風呂敷
(
ふろしき
)
づつみの、
真田紐
(
さなだひも
)
で中結わえをしたのがあって、
旅商人
(
たびあきんど
)
と見える中年の男が、ずッぷり床を
背負
(
しよ
)
って当たっていると、向い合いに、一人の
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は柏木のことばかり思続けました。
流行謡
(
はやりうた
)
を唄って
木綿機
(
もめんばた
)
を織っている時、
旅商人
(
たびあきんど
)
が
梭
(
おさ
)
の
音
(
ね
)
を賞めて通ったことを
憶出
(
おもいだ
)
しました。岡の畠へ通う道々妹と一緒に摘んだ
野苺
(
のいちご
)
の黄な実を憶出しました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「どうおっしゃいましても、そんな者でないことにはしかたがございません、へい、私は今も申し上げた通りの
旅商人
(
たびあきんど
)
、これは妹の……」
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宿屋てえもなアいやはや
狡
(
ずる
)
いもんでしてね、三四
日
(
か
)
御逗留を
願
(
ねげ
)
えてえもんだから、あんな事を申しやす、私は此の辺を歩きます
旅商人
(
たびあきんど
)
で、こゝらの船頭に
幾干
(
いくら
)
も知った者がありやすから
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
突懸
(
つっかか
)
り、端に居た
奴
(
やつ
)
は、くたびれた
麦藁帽
(
むぎわらぼう
)
を
仰
(
のけ
)
ざまに
被
(
かぶ
)
って、
頸窪
(
ぼんのくぼ
)
へ
摺
(
ず
)
り落ちそうに天井を
睨
(
にら
)
んで、
握拳
(
にぎりこぶし
)
をぬっと上げた、
脚絆
(
きゃはん
)
がけの
旅商人
(
たびあきんど
)
らしい風でしたが、
大欠伸
(
おおあくび
)
をしているのか、と見ると
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
叔父は小間物を売る
旅商人
(
たびあきんど
)
に化けて城下へはいった。
くろん坊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
箱胴乱に仕入物を詰めこむと、それを肩にかけて四ツ目屋の新助、
旅商人
(
たびあきんど
)
らしい
世辞
(
せじ
)
を投げて、
秦野屋
(
はたのや
)
の店から姿を消しました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
文「ふうむ、聞けば
旅商人
(
たびあきんど
)
ということじゃが、
渡世
(
とせい
)
は
何
(
なん
)
だか知っておるか」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
馬子となり
旅商人
(
たびあきんど
)
となり、仲間者となり
大道芸人
(
だいどうげいにん
)
となりなどして、あらゆる苦心のもとに、身なり
貌
(
かお
)
かたちまで変えている人たちであった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
朝靄
(
あさもや
)
をついて、ぴょいと、そこらの家から飛び出して来たひとりの身軽な
旅商人
(
たびあきんど
)
は、権之助と伊織のうしろから
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旅商人
(
たびあきんど
)
の男は、小風呂敷の中に包んでいた
紺合羽
(
こんがっぱ
)
を、ひらっと、
燕
(
つばくろ
)
みたいに引っかけると、前かぶりに笠を抑えて
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
松の根がたに、駕を置かせて、ずっと日蔭へはいると、さっきから、馴つッこい顔を向けていた
旅商人
(
たびあきんど
)
の老人が
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その二人は、彦右衛門から使命をうけて、
旅商人
(
たびあきんど
)
に変装し、その日の
真夜半
(
まよなか
)
、どこへともなく城から出て行った。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
松と松との
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
を、
野兎
(
やと
)
のごとく逃げ走ッていった男の影は見失ったが、その代りに、楊志は、思いがけない一トかたまりの
旅商人
(
たびあきんど
)
の仲間に出会った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
橋の左右を
塞
(
ふさ
)
いでいた
旅商人
(
たびあきんど
)
の杉蔵、源助と称するふたりが、槍の穂先へ、キラと
陽
(
ひ
)
を吸って
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なに、あっしは叡山へ参詣に来た者じゃないのさ。この通り、
忙
(
せわ
)
しなく諸国を駈け歩いている木綿屋の註文取りで、名所を踏みながら名所知らずで、ちッとも
閑
(
ひま
)
のねえ
旅商人
(
たびあきんど
)
だよ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
旅商人
(
たびあきんど
)
け』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旅
常用漢字
小3
部首:⽅
10画
商
常用漢字
小3
部首:⼝
11画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“旅商人”で始まる語句
旅商人体
旅商人拵