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はさ
ふりがな文庫
“
揷
(
はさ
)” の例文
ぱらぱらと
頁
(
ページ
)
をめくってみると、或る頁に名刺ぐらいの大きさの写真が一枚
揷
(
はさ
)
んであった。
雀斑
(
そばかす
)
のありそうな、若い男の写真である。
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼はそこになにか
揷
(
はさ
)
んであるかと思ったが、終りまで一枚ずつ、紙を左右にひろげながらみていったが、ついになにも出て来なかった。
古今集巻之五
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と
三尺
(
さんじゃく
)
の間へ
揷
(
はさ
)
んで来た物に巻いて有る手拭をくる/\と取り、前へ突付けたのは百姓の持つ
利鎌
(
とがま
)
の
錆
(
さび
)
の付いたのでございます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
法皇の護衞なる
瑞西
(
スイス
)
隊は正裝して、その士官は
鍪
(
かぶと
)
に
唐頭
(
からのかしら
)
を
揷
(
はさ
)
めり。この裝束は今若き貴婦人に會釋せるベルナルドオには殊に好く似合ひたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「あゝさう、奧さんたちと馬車に乘つて出かけられなかつたから、泣いてゐるんですわ。」とベシーが口を
揷
(
はさ
)
んだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
ルビー入の
指環
(
ゆびわ
)
や、金の丸打などを両の指に
嵌
(
は
)
め込んでゐたし、小さな婦人持の時計までも帯の間に
揷
(
はさ
)
めてゐた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
そうしてその揷絵には殊に葛飾北斎のものが多く、その他当時の浮世絵師の揷絵が豊かに
揷
(
はさ
)
まれて居ました。
幼き頃の想い出
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
この鍛冶屋は時たま
流行語
(
はやりことば
)
をちよいと
揷
(
はさ
)
むことがあつた。それはポルタワの
百人長
(
ソートニック
)
のところへ、板塀を
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
二人の間には、チリの鍋などが火鉢にかけられて、B—は時々笹村に酌をしながら
喙
(
くち
)
を
揷
(
はさ
)
んでいた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
森を廻って町の方へ、四人懸命にひた走る! だが前後より
揷
(
はさ
)
み討ち、グルグルグルと包まれた。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これはお袖の中に
揷
(
はさ
)
んでお帰りになったという小石ですが、万葉集や風土記の出来た頃には、もう一尺以上の重い石になっておりました。卵の形をした美しい石であったそうです。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
婚
(
こん
)
して
壽
(
じゅ
)
なるは
必
(
かなら
)
ずしも
良縁
(
りゃうゑん
)
ならず、
婚
(
こん
)
して
夭折
(
えうせつ
)
す、
却
(
かへ
)
って
良縁
(
りゃうえん
)
。さ、
涙
(
なみだ
)
を
乾
(
かわ
)
かして、
迷迭香
(
まんねんくわう
)
を
死骸
(
なきがら
)
に
揷
(
はさ
)
ましゃれ。そして
習慣通
(
ならはしどほ
)
り、
最
(
いっ
)
ち
佳
(
よ
)
い
晴衣
(
はれぎ
)
を
着
(
き
)
せて、
教會
(
けうくわい
)
へ
送
(
おく
)
らっしゃれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「でも五月の末となりや暑いんですよ……大抵
単衣物
(
ひとえもの
)
よ。」とお栄が言葉を
揷
(
はさ
)
んだ。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
夜の物を揚げあえず
楊枝
(
ようじ
)
を口へ
頬張
(
ほおば
)
り
故手拭
(
ふるてぬぐい
)
を前帯に
揷
(
はさ
)
んで、
周章
(
あわて
)
て二階を降りる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
おかみさん、この花を持つて歸つて殺してやるんだ、この心の臟を
突通
(
つきとほ
)
してやるんだ。私は愛の思出や、感情の
玩具
(
おもちや
)
や、古い
繪草子
(
ゑざうし
)
に
揷
(
はさ
)
んだ
押花
(
をしばな
)
や風が
忍冬
(
にんどう
)
の
蔓
(
つる
)
に隱して置く花なんぞは嫌ひだ。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
たとえば女を三字集めた
姦
(
かん
)
、
両男
(
りょうだん
)
の間に女を
揷
(
はさ
)
んだ
嬲
(
なぶる
)
(もっともこれは女のほうより
左右
(
さゆう
)
にある男のほうが罪あるに相違ない)、奴(やっこ)、妄(みだる)、奸(みだす)、妨(さまたげる)
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
而して其中間に
揷
(
はさ
)
まれたる
以太利
(
イタリー
)
は遂に
如何
(
いか
)
ならむ。邦運久しく疲れて産業興らず。民多くは一種固有の
疾疼
(
しつとう
)
に
困
(
くる
)
しむ。而して国境を守るの兵は日に多く、
痩
(
や
)
せたる民衆に課するの
税斂
(
ぜいれん
)
は月に加ふ。
想断々(2)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
妙に奧齒に物の
揷
(
はさ
)
まつたやうな微笑を浮べて、腰を浮かします。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しばらくじっと聴いていた婆さんはまた口を
揷
(
はさ
)
んで
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ほんの素描のようなものに過ぎないが、ひと頃の私の母に対する心もちがよく出ていると思うので、
此処
(
ここ
)
にそれを
揷
(
はさ
)
んでおきたいと思う。
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
馬「
着物
(
おめし
)
をお着替なさい、だが箪笥は錠が下りて居ます、鍵はお
母
(
ふくろ
)
さんの
巾着
(
きんちゃく
)
の中へ入れてありましたが
彼
(
あ
)
の儘帯へ
揷
(
はさ
)
んで一緒にずうとお出かけで」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
アヌンチヤタがヂドは妙藝なり、その歌女は美質なり。曲中には
間
(
まゝ
)
何の縁故もなき曲より取りたる、可笑しき節々を
揷
(
はさ
)
みたるが、姫が滑稽なる歌ひざまは、その自然ならぬをも自然ならしめき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
野外に逍遙して
芬郁
(
ふんいく
)
たる花香をかぐときに、其花の在るところに至らんと願ふは自然の情なり、其花に達する時に之を摘み取りて胸に
揷
(
はさ
)
まんとするも亦た自然の情なり、この情は底なき湖の如くに
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
平次の話の突飛さに、萬七は
憤然
(
ふんぜん
)
として口を
揷
(
はさ
)
みました。
銭形平次捕物控:322 死の秘薬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「加地の云うこともわかるが」と渡が口を
揷
(
はさ
)
んだ
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「倒れたの。」とベシーがまた口を
揷
(
はさ
)
んだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
封じ目を固くして店の硯箱の上の
引出
(
ひきだし
)
に
半切
(
はんきれ
)
や状袋を入れる間へ
揷
(
はさ
)
んで、母が時々半切や状袋を出すから、此処へ入れて置けば屹度目に入ろうと斯様に致し
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
誰も言葉を
揷
(
はさ
)
む者はなかった。
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
娘「はい、飛んだ事を致しました、
担
(
かつ
)
がれて
行
(
ゆ
)
く時、帯の間に
揷
(
はさ
)
んで居りましたのを、
仲間体
(
ちゅうげんてい
)
の者が手を入れて抜出して持って
往
(
ゆ
)
きました、何うしたら
宜
(
よ
)
うございましょう」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
夜着
(
よぎ
)
の袖をはねて、懐中から出した匕首を布団の下に
揷
(
はさ
)
んで、足で踏んで鞘を払いながら
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
慄
(
ふる
)
えながら新吉は伯父と同道で七軒町へ帰りまして、
是
(
こ
)
れから
先
(
ま
)
ず早桶を
誂
(
あつら
)
え
湯灌
(
ゆかん
)
をする事になって、蒲団を上げ様とすると、蒲団の間に
揷
(
はさ
)
んであったのは豊志賀の
書置
(
かきおき
)
で
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
揷
部首:⼿
12画
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