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悄気
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しょげ
ふりがな文庫
“
悄気
(
しょげ
)” の例文
旧字:
悄氣
ネッドは気の毒なほど
悄気
(
しょげ
)
て、田舎道を村の方へ引きかえしていった。それを見送る山木と河合とは、あまりいい気持ではなかった。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あとになった作者は不安此上もなく「一万部位になってしまっては、此方から印税を返さねばならぬ」と長田幹彦大いに
悄気
(
しょげ
)
て居る由
一円本流行の害毒と其裏面談
(新字新仮名)
/
宮武外骨
(著)
おKちゃんのことは全く
悄気
(
しょげ
)
てしまった、佐藤さんからきいて。去年の初め来る前とった写真にも空洞は出ているのですって、もう。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
悄気
(
しょげ
)
返った良平はしぶしぶまた金三を先に立てた。二人はもう
駈
(
か
)
けなかった。互にむっつり黙ったまま、麦とすれすれに歩いて行った。
百合
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「それでは酒抜きにしよう、ゆうべは折角支度をした食事が無駄になったと云って小房のやつ
悄気
(
しょげ
)
ていた、今夜は飯だけにしよう」
柿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
怒る時は鼻柱から
眉宇
(
びう
)
にかけて
暗澹
(
あんたん
)
たる色を
漲
(
みなぎ
)
らし、落胆する時は鼻の表現があせ落ちて行くのが手に取るように見えるまで
悄気
(
しょげ
)
返る。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何も彼も段落が付いてしまったから、千種十次郎は、足の勇を
取
(
と
)
っ
締
(
ち
)
める勇気もありませんでした。それほど勇は
悄気
(
しょげ
)
返って居たのです。
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
わたくしは「あー、あー」と歎声を洩して、後口の悪い思いに胸をむかつかせ、なり振りもなく
悄気
(
しょげ
)
た姿のまゝ、急いで歩き出しました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
扉
(
ドア
)
は、続け様に割れるように
叩
(
たた
)
かれた。
今迄
(
いままで
)
、
傲然
(
ごうぜん
)
と反り返っていた荘田は、急に
悄気
(
しょげ
)
切ってしまった。彼はテレ隠しに、苦笑しながら
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そして隣りの室の前を通りかゝりましたら、
扉
(
と
)
が開け放してあって、さっきの給仕がひどく
悄気
(
しょげ
)
て頭を垂れて立ってゐました。
毒蛾
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
と革に
縋
(
すが
)
ったまま、ぐったりとなって、
悄気
(
しょげ
)
返った職人の
状
(
さま
)
は、消えも入りたいとよりは、さながら罪を恥じて、自分で
縊
(
くびくく
)
ったようである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
無い時は
悄気
(
しょげ
)
返って小さくなっているが、いざ、いくらか身についたとなると、あのはしゃぎようは——そうして、勝負事に注ぎ込むんだ。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
会計は父の命令で自分の方でもつことになっていたので、甥がひどく
悄気
(
しょげ
)
て困ったことを思い出す。恥かしい内証話である。
初旅
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかし新聞には彼の言わないことばかり出るといって、召使用
昇降機
(
エレベーター
)
のなかで非常に
悄気
(
しょげ
)
ている記者を私は見たことがある。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
田口七郎兵衛は
悄気
(
しょげ
)
てしまって黙っていた。先生は、また——男のセイトキライ——と書かれている方を見て微笑しながら
泣虫小僧
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「素人稽古の時はよく褒められたが、本気に遣り出してから
以来
(
このかた
)
、さっぱり褒めてもらえぬと
悄気
(
しょげ
)
ていましたよ。そんなものでしょうかね。」
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
だからと言って、それを探しに出かけるのも
大儀
(
たいぎ
)
だと言うので、困ったなァ、と思って、
悄気
(
しょげ
)
ていたところだったのです。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
ただ連中
饅頭
(
まんじゅう
)
が食いたくなって、しきりに饅頭屋を探したのだが、
生憎
(
あいにく
)
一軒も無くって大
悄気
(
しょげ
)
。渋川からは
吾妻川
(
あがつまがわ
)
の流れに沿うて行くのである。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
時間前になつて皆が机の上に筆洗や絵の具皿などを並べて用意にかゝつたときに私は、すつかり
悄気
(
しょげ
)
て仕舞ひました。
嘘言と云ふことに就いての追想
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
京山が甚だしく
悄気
(
しょげ
)
かえっているのを見ると、先ず自分から落ついて、京山をなぐさめるより外はありませんでした。
稀有の犯罪
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それを聞くと、農夫は両手を膝の上へ、頭を垂れたまま、
悄気
(
しょげ
)
かえったようにじっと考え込んでいたが、暫くすると
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
異常の決心でのりこんでいった閑子が
悄気
(
しょげ
)
かえって帰ってきたいつかの日、閑子はうつろな声で入りこむすきまがなかったとうめいたのを思い出す。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
それにしても利発聡明で、大胆不敵で見識高かった女が——この梶子が何んとまア、今はすっかり
悄気
(
しょげ
)
ていることか!
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
出ばなをくじかれたので、張飛はすっかり
悄気
(
しょげ
)
てしまった。雲長は気の毒になって、彼の好きな酒を出して与えたが
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
借金と気がついて急に
悄気
(
しょげ
)
た時期もあります。わが借金は
棚
(
たな
)
にあげ、
他
(
ひと
)
の少々の貸金をはたって歩いた時もあります。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そうして、友木が全く金を返えして、別に害心のない様子を見て取ると、今までの
悄気
(
しょげ
)
た様子はどこへやら、急に顔を輝やかして、ホクホクし出した。
罠に掛った人
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
急に
悄気
(
しょげ
)
てしまったぼくが片隅でひとりダンスを拝見していると、いつの間にかぼくの横に、油もつけていないバサバサの
長髪
(
ちょうはつ
)
を無造作に
掻
(
か
)
きあげた
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
と、云ったまま、ひどく
悄気
(
しょげ
)
たというが、この事は、幼稚園以前であるから、私の大衆文学智識というものは、相当に古くから、その淵源をもっている。
死までを語る
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
ジナイーダの冷たい態度を見て、すっかり
悄気
(
しょげ
)
てしまったのである。ところが、ああなんという
驚
(
おどろ
)
きだったろう。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
頭からのしかゝるやうに私は皮肉を言つたが、「知つてゐたのか」彼は惨めに
悄気
(
しょげ
)
た。一途に落胆を表はして
篠笹の陰の顔
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「おい、そう
悄気
(
しょげ
)
るなよ。二三日見て居給え、君の絵は屹度探し出して見せるよ」と彼の肩を叩いて別れた。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
まあまあ、そう
悄気
(
しょげ
)
られるにはおよばない。手前にしてからが、ただもうほんの思いつき。偶然そんな話を
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
若いうちは、たった今まで
悄気
(
しょげ
)
ていても、相手しだいですぐつけ上っちまう。まことに赤面の至りである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これを聞くと
悄気
(
しょげ
)
ていた兵隊もゲラゲラ笑い出したりした結果、士気昂揚に役立ったというのである。
比島投降記:ある新聞記者の見た敗戦
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
(
悄気
(
しょげ
)
て)困るわ。あたし、ちっとも怠けてなんかいやしないのよ。だけど、あれでしょう三年間ちっともお針なんか持たなかったんだもの。そりゃ、女学校の時分はやったけれど。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
悄気
(
しょげ
)
た風を見せまいと一層心を励まして顔に笑いを出そうとしていると、長田は、ますます癖の白い歯を、イーンと
露
(
あらわ
)
して
嬲
(
なぶ
)
り殺しの
止
(
とど
)
めでも刺すかのように、荒い鼻呼吸をしながら
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
さうした善意にもかかはらず、実行の上ではいつも何かしら思ひがけない不運につきまとはれて、まあそれも主に女の問題でだが、ひどく
悄気
(
しょげ
)
かへつて慰めやうもないほどの意気地なさ。
春泥:『白鳳』第一部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
前年の晩秋どこかへ
用達
(
ようた
)
しに行った帰り、夏
嚊
(
かかあ
)
に死なれて
悄気
(
しょげ
)
きっていた辰は途上で未知の大之進に掴まって片棒かつぐことになったのだが、名も言わず聞かず、ほとんど口もきかずに
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
逃げ道に一番近くいたのが自分の不運なのだと、彼はひどく
悄気
(
しょげ
)
てしまった。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
悄気
(
しょげ
)
きった眼の
遣
(
や
)
り場にも困っているらしい耕吉の態を気の毒にも思ったか
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
長次郎と金作が直ぐ裏の路を上って、
慥
(
たしか
)
に有るという家を尋ね合せたが、間もなく
悄気
(
しょげ
)
て帰って来た。今度は仕度して来た源次郎が一緒になって、対岸の東蔵や山女まで探したが、
矢張
(
やは
)
り駄目だ。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
悄気
(
しょげ
)
た顔はどこにもない、油紙は人夫どもに処置させて、先刻
遁
(
に
)
げ込んだばかりの、白河内岳の頂上に立って、四方を見廻した、南の方、直ぐ傍近く間の岳(赤石山脈)と、
悪沢
(
わるさわ
)
岳が
峻
(
けわ
)
しく聳えて
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
孫軍曹は、自分のもの知らずを、悲しむかのように
悄気
(
しょげ
)
返った。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
高倉玄蔵はすっかり
悄気
(
しょげ
)
かえった風で、黙って
首垂
(
うなだ
)
れていた。
電車停留場
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
と、奥さんにからかわれて、民さんは
悄気
(
しょげ
)
かえっていた。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
医者を呼びに行ったモセ嬶はひどく
悄気
(
しょげ
)
て帰って来た。
芋
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
と
悄気
(
しょげ
)
て見せたが、すぐ
狡
(
ず
)
るそうな目付をして
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
メドヴェージェンコは
悄気
(
しょげ
)
て、わきへしりぞく。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お母さんは赤ちゃんが生れたら守りをしなくちゃならないときめて、うれしいながら、いくらか
悄気
(
しょげ
)
ていらっしゃるのよ、先から。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
少将の声は、気の毒なほど、
悄気
(
しょげ
)
ていた。一体リント少将は、アーク号の積荷の、どんな品物を待ちわびているのであろうか。
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
悄
漢検1級
部首:⼼
10画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“悄気”で始まる語句
悄気返
悄気切
悄気方