店頭てんとう)” の例文
さよは、いぶかしくおもって、そのまちにやってきました。すると、そのいえかたまって、店頭てんとうふだがはってありました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
菜蔬は蘭軒の妻が常に店頭てんとうの物を買つて送つたが、或日それに自園の大根を雑へて、蘭軒の詩を添へて遣つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
源一は、すっかりうれしくなって、あき箱に腰をかけ、うららかな陽をあびながら商売しょうばいをつづけた。お客さまは、おもしろいほどつづき、店頭てんとうに人だかりがするほどになった。
一坪館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
転変てんぺんはげしきはしと某老人ぼうらうじん申候まうしそろ其訳そのわけ外充内空ぐわいじうないくう商略せふりやくにたのみて、成敗せいはい一挙いつきよけつせんとほつそろ人の、其家構そのいへかまへにおいて、町構まちかまへにおいて、同処どうしよ致候いたしそろよりのことにて、今も店頭てんとううつたかきは資産しさんあら
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
品物しなもの店頭てんとう陳列ちんれつするようなことはあまりないようでございました。
あるのことでございます。身分みぶんたかいお役人やくにんが、店頭てんとうにおえになりました。お役人やくにん主人しゅじんされて、陶器とうき子細しさいられまして
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
長造が店頭てんとうを入ると、そこにはおつまが、伸びあがって、往来を眺めていた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
にいさんや、ねえさんたちは、果物くだもの季節きせつになると、いろいろおいしそうな、果物くだものが、店頭てんとうならぶのをてきてはなしをしました。
お母さんはえらいな (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、店頭てんとうのガラス内側うちがわには、あかあおしろむらさきのいろいろのはなが、いい香気こうきはなっていました。そのみせまえにいくと、あね内側うちがわをのぞきました。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なにか、めずらしいものでも、つからないか。」とかんがえて、一つの小路こうじをはいって、店頭てんとうながらいったのです。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、大型おがたの、ひもでげるむかしふうのものでした。商店しょうてんか、古道具屋ふるどうぐや店頭てんとうでもなければ、られぬものです。
正二くんの時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まち子供こどもたちが、店頭てんとうならべておく絵本えほんや、雑誌ざっしをひろげてても、きんさんは、小言こごとをいいませんでした。子供こどもたちがわらうと、自分じぶんわらってていました。
春風の吹く町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから幾日いくにちかかかって、殿とのさまのおちゃわんができあがりました。また、いつかのお役人やくにんが、店頭てんとうへきました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
だが、あまりきゅうなために調子ちょうしくるって、片側かたがわ店頭てんとうんで、ガラス破壊はかいしたのです。
ねずみの冒険 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつも店頭てんとうひとたぬことはなく、ことに夕暮ゆうぐれどきなど、往来おうらいまであふれていました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるまち呉服屋ごふくや店頭てんとうって一人ひとり少女しょうじょが、じっとそこにかざられた人形にんぎょういっていました。人形にんぎょうは、うつくしい着物きものをきて、りっぱなおびをしめて、まえとおひとたちをほこらしげにながめていたのです。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)