けつ)” の例文
黒服の親仁とっさんは、すっぽりとちゅう山高を脱ぐ。兀頭はげあたまで、太いくび横皺よこじわがある。けつで、閣翁を突くがごとくにして、銅像に一拝すると
『八十吉のけつの穴さ煙管が五本も六本もずぼずぼ這入はひつたどつす。ほして、煙草のけむが口からもうもう出るまで吹いたどつす』
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「助太刀なんかるものか、銭さえありゃ俺一人で片付けてやるが、藤沢でられてからけつだ。八、——穴のあいたのがあったら少し貸せ」
「はははは、そんなことをいわずに、持ってゆけ。その小さな江戸ッ子のけつめどがいて、いまに、俺たちを、拝む日があるから見ておれ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「黙ってろ黙ってろ! それより、用意はいいな。お出になったらすぐ往くんだ。コウレ、七公、けつウさげろってことよ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おじさん——わしは子供がないんだが、猿のけつでもめてやるぜ、その猿が自分の子供なら……。なんとかしろよ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
差配人さはいにんさんに可愛かわいがられ、金をめてうちを持ち、損料と小金こがねを貸して居るが、けつの穴が狭くて仕様のない奴だよ
「何んが、んだべさだ。こつたら處で、馬のけつばたゝいて、糞の臭ひにとツつかれて働いて——フンだよ。」
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
青っつらをした大酒飲みの老いぼれ海員けえいんの——それも死んでる奴が怖えってって、そういう大金てえきんけつを見せて逃げるなんて分限紳士が、どこの世界にあるけえ?
只の天狗と天狗が違うと筑波でけつをまくったのが、今年の三月は二十七日だ! 上を恐れず、暴威を振い、民家に放火し、宝蔵を奪う。とチャンとこれに書いてある。
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
それ等をゼイロクとののしり去って、玉川上水にけつを使い、天下の城のしゃちほこを横眼に睨んだ江戸ッ子は、正に大和民族の男性的な性格を最も痛快に代表しているものと云えよう。
……といったところで、今度はうまくいったなんぞとうぬぼれるには及ばんぞ、このけつ曲りめ。わしだってまだ、君みたいな野郎どもにゃ、こう見えたってどうして恐れ入るもんか。
トリスタン (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
「剣道における位置の事か?」「へえ、さようでごぜえます」「拙者はな、切り紙だ」「切り紙というとビリッけつだね」「無礼なことをいうものではない」「さあそれじゃやりやしょう」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
けつの穴から口へ竹の棒を通して、炭火の上でクルクル廻しながら焼くんやね。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
『耶蘇つて、何がこんなものが耶蘇ぢやい? けつでも食へ! こら耶蘇!』
けつア痛くなつて來た。』と呟やいた。『うなア痛くねえが?』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
浅間山から鬼やけつ出して鎌でかっ切るような屁を垂れた
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
おないぶつにけつ向けてばち当りとは面妖な
閑山 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「畜生奴、けつ割りやがったか」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「これをけつの所へ当てるんだ」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「もう、いいかげんにして貰おうじゃないか、冗談じゃない。一体何をそんなに探すんだね、あのからけつの毛唐が、金の茶釜でも隠して置いたというのかい」
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
只の天狗と天狗が違うと筑波でけつをまくったのが、今年の三月は二十七日だ! 上を恐れず、暴威を震い、民家に放火し、宝蔵を奪う、とチャンとこれに書いてある。
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
余りにけつの穴の狭い話で、こんな涙ぐましい愛国心ばかりで固まり合っているから、横着な、図々しい西洋文明にたたき付けられてしまうのだと、私はいつも憤慨していた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
○「へえー成程、きつねたぬきけつを出して何かに見せると云うが、貴方それから何うしました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
けつがもともと通りなおりゃ、むろんさね。お産が重かっただから……」
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
けつア痛くなつて来た。』と呟いた。『うなア痛くねえが?』
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「天地人三才のその中でも、じんが一番ビリッけつじゃないか」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
越中褌ゑつちうふんどしふ……あいつひとつで、眞裸まつぱだかきたなけつです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何んだ、大きくもないけつを! 尻を割るど、此奴!
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
おないぶつにけつ向けてばち当りとは面妖な
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
けつが割れては
鴨のけつ
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「瓶の中へ首でも突っ込んで、土左衛門になるほど呑むがいい。からけつの土左衛門の方が話の種になるぜ」
小説を読んでゴロゴロしたり、女のけつばかり追いまわしたりして、さっぱりダラシが御座んせん。両親が亡くなりますと一気に、親類には見離される。苦学する程の骨ッぷしもなし。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お前さんなんざア掛合をしらねえ小僧子こぞっこだア、青二才あおにせいだ、もっと年を取った者をおよこし、なんだ青二才の癖に、何だ私の目から見りゃアおめえなんざア雛鳥ひよっこだア、卵の殻がけつに付いてらア
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女出入りなら駒次郎兄哥などが早速やられる口だぜ。金が欲しきゃア、弥助親方だ、——何だってまたりに選って、醜男ぶおとこからけつで、取柄とりえも意気地もねえ丈吉などの眼玉を狙ったんだ
気の強い奴は処女に見せかける了簡と見えて、頬ペタをベタベタと糞色うんこいろに塗上げている。おまけに豚のけつみたいな唇を鮮血色にいろどっているから、食後なんかにお眼にかかるとムカムカして来るんだ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「變な顏をするなよ、お前のからけつは見通しだ。ほれ、これが酒代、これが肴代さかなだい
「大きなお世話だよ、どうせお前のやうに、からけつのくせに、花見に出かけるほどの膽力はないからだよ。——陽氣が良いから、日向に引つくり返つて居ても、トロリと醉ひ心地になるぜ」
銭形平次捕物控:167 毒酒 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
けつの毛まで拔かれたやうな、岡崎屋三十郎をこの寒空に裸にして、その背中の上で所作事しよさごとをやらかさうと言ふのだから、これが無事に行きましたら、お目にかゝりたいくらゐのもので、へツへツ
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「心細い野郎だな。空ツけつで顫へに行かうなんて、よくねえ量見だぞ」
「心細い野郎だな。からけつふるえに行こうなんて、よくねえ料簡りょうけんだぞ」
「お前のことだ、相變らず、からけつで飛び廻つたことだらう」
「ヘッ、自慢じゃねえが空っけつだ」
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「呆れた野郎だ、またからけつか」