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宛
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あたか
ふりがな文庫
“
宛
(
あたか
)” の例文
これを
言出
(
いひい
)
でたるのち、
命
(
いのち
)
を
終
(
をは
)
り、又これを言出でたるあとは、
頭
(
かしら
)
を胸に
俛
(
た
)
れて、
宛
(
あたか
)
も老僧が
聖祭
(
せいさい
)
を行ひつゝ絶命する如くならむ。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
且
(
か
)
つは彼れ如何に口重き証人にも其腹の
中
(
うち
)
に在るだけを充分
吐尽
(
はきつく
)
させる秘術を知れば
猶
(
な
)
お失望の様子も無く
宛
(
あたか
)
も
独言
(
ひとりごと
)
を云う如き調子にて
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
目瞬きはぴつたりととまり、線を引いたやうな切れ目が深く長く、
宛
(
あたか
)
も部厚い眼鏡そのものに入つたヒビ割れのやうに見えた。そして
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
ここに於てか電火ひらめき、万雷はためき、人類に対する
痛罵
(
つうば
)
、
宛
(
あたか
)
も
薬綫
(
やくせん
)
の爆発する如く、
所謂
(
いはゆる
)
「不感無覚」の
墻壁
(
しようへき
)
を破り
了
(
をはん
)
ぬ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
宛
(
あたか
)
も夭蟜たる白竜が銀鱗を輝かしながら昇天するのではないかと怪しまるる長大なる雪渓が懸っているのを見られたであろう。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
▼ もっと見る
天子廢立の全權が、宦官の掌裡に在ること、
宛
(
あたか
)
も受驗生の及落が試驗官の自由に在ると同樣なることを申述べたものである。
支那の宦官
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
人には道理を考える心が無くなって、
宛
(
あたか
)
も酔漢の如くに市中を
狂奔
(
きょうほん
)
する者が沢山あった。警察の官吏とても
之
(
これ
)
を制止しようとは勉めなかった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
はじめ心臓は
宛
(
あたか
)
も眠って居るかのようであったが、暫くしてぱくり/\と動き出し、間もなく、威勢よく搏ち出した。
恋愛曲線
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
これに政治道徳を説くは
宛
(
あたか
)
も釈迦に説法の嫌いなきに非ざれども、それにも拘らず実際いろいろの失態を生ずるのは、畢竟制度の罪ではあるまいか。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
宛
(
あたか
)
もよし、九月
晦日
(
みそか
)
は、
俄
(
にわ
)
かに暴風雨が起って、風波が高く、湖のような宮島瀬戸も白浪が立騒いだ。
厳島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
で、その婦人は、
宛
(
あたか
)
も
往時
(
わうじ
)
の
猶太人
(
ユダヤじん
)
が病人をベテスダの池に送つたやうに、この娘の病氣を
癒
(
なほ
)
す爲めにこの學校へ送られたのである。で、私から先生方にも學監にもお願ひしたい。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
宛
(
あたか
)
も、海へ行く場合、私が何時も
溺
(
おぼ
)
れることを確信して行くのと同様に。ということは、何も、自暴自棄になっているのではない。それ所か、私は、死ぬ迄快活さを失わぬであろう。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
是は堯の如き聖者の下に於ては、余り善く世の中が治つて、其恵が行き渡つて居ることを記したものである。
宛
(
あたか
)
も太陽の恵を吾々が忘れて居る如く、天子の威力が眼立たないのである。
吾等の使命
(新字旧仮名)
/
石川三四郎
(著)
姫が
狭手彦
(
さでひこ
)
の船を見おくりつつ、ここより空しく
領巾
(
ひれ
)
ふりけむと、かきくるる涙にあやなや、いづれを海、いづれを空、夢か
現
(
うつつ
)
かのそれさへ識るの暇もなく、
宛
(
あたか
)
も狂へるものの如くに山を下り
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
七人比丘尼の話は、女が一生の懺悔話をするので、其は
宛
(
あたか
)
も仏の前でする心持ちで人の前に発表したのである。「一代男」の歌なども、上方唄の色香から採つたらしく、やはり懺悔の一種なのである。
お伽草子の一考察
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
折柄竹の台の
方
(
かた
)
より額の汗
拭
(
ぬぐ
)
ひも
敢
(
あ
)
へず、飛ぶが如くに走せ来れる二人の車夫を、お加女はガミ/\と頭から
罵
(
のゝし
)
りつ、ヤヲら車に乗り移りしが、
宛
(
あたか
)
も其前に来れる篠田は、梅子と相見て
慇懃
(
いんぎん
)
に黙礼し
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
宛
(
あたか
)
も
冒涜
(
ぼうとく
)
の感を起すといふのが、初、二節の意である。
薄紗の帳
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
目科は
宛
(
あたか
)
も足を
渡世
(
とせい
)
の
資本
(
もとで
)
にせる人なる
乎
(
か
)
と怪しまるゝほど達者に走り余は
辛
(
かろ
)
うじて其後に続くのみにて
喘
(
あえ
)
ぎ/\ロデオン
街
(
まち
)
に達せし頃
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
宛
(
あたか
)
も滿人の辮髮の如く、背後に垂下したものもある樣であるが、然し之は稀有の場合で、普通は左右両耳の後に二個の辮髮を垂れたものである。
支那人弁髪の歴史
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
地球の表面は
宛
(
あたか
)
も、眼鏡の玉で光線を引き集めたその焦点に置かれるのと同じ事でしょう、ただ木で作った品物が
悉
(
ことごと
)
く焼けて
了
(
しま
)
うのみでありませぬ。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
だが、その奇妙な遠慮深さのために片手で入口の柱をつかまへたまゝ、
宛
(
あたか
)
もまだ家の中へはすつかり入り切つてはゐませんや、と云つてゐるやうな恰好をしてゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
『坂下鶴吉の告白』なる本に依りますと、典獄とか検事とか云う連中が、坂下鶴吉の信仰を獲たことを
宛
(
あたか
)
も猫が鼠を取ったのを賞めるように、賞めそやして居ります。
ある抗議書
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ここに於てか、
宛
(
あたか
)
もこれ絶美なる獅身女頭獣なり。悲哀を愛するの
甚
(
はなはだ
)
しきは、いづれの先人をも
凌
(
しの
)
ぎ、常に悲哀の詩趣を讃して、彼は自ら「悲哀の煉金道士」と号せり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
燃
(
も
)
えたゝせたことか! なんと素晴しい感動をその光は私に與へたことだらう! そしてその新らしい感情が如何に私を
勵
(
はげ
)
ましたか! それは
宛
(
あたか
)
も殉教者や英雄が
奴隷
(
どれい
)
や犧牲者の側を
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
宛
(
あたか
)
も砂を投じて吾人の目をくらますが如きものなり、この虚偽の好餌に迷うて労働者の敵と事を共にする
勿
(
なか
)
れと称し、この点においては社会主義者に対してすら激烈なる反感を示して居る。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
宛
(
あたか
)
も若き競技者が
方人
(
かたうど
)
、
調練者
(
ならして
)
の
群
(
ぐん
)
に
急
(
せか
)
れてか
楕圓砂場
(
だゑんさぢやう
)
をさして行く時
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
その
疾
(
と
)
さあらめ、
宛
(
あたか
)
も
眠
(
ねぶ
)
り
転
(
まろ
)
び
機縁:(友なる画家の画稿に題す)
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
宛
(
あたか
)
も言附られし役目を行うが如くに泰然自若として老人の死骸の
許
(
もと
)
に行き、
其
(
その
)
傍
(
そば
)
に
跪
(
ひざま
)
ずきてそろ/\と死骸を検査し初めぬ。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
絶え間なく
嵩
(
かさ
)
が増し、幅が広がり、
僅
(
わず
)
かに半時間の後には、
宛
(
あたか
)
も扇とも慧星の尾とも見らるる形となった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
宛
(
あたか
)
も學生が小學より中學、中學より高等學校、高等學校より大學と、年を追うて進級して行く面影があつて、誰人にでも眞似出來る樣な階級を歴て、層一層と人格を高めて居る。
支那史上の偉人(孔子と孔明)
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
宛
(
あたか
)
もその原因が、新聞小説をかいた為に得た比較的豊かな、物質上の自由にあるように解釈されて、従ってそれを書く事を勧めた雄吉迄が、細木などから軽い非難の的になって居た。
神の如く弱し
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
どんなにのんきさうに帰つて来ても、一たん家の中に入るや否や、何かしらむつとした、気むつかしい、わがまゝらしい表情も
宛
(
あたか
)
もとつてつけた面のやうに知らず知らず練吉の顔に浮ぶのだつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
宛
(
あたか
)
も大海の波濤荒び卷き上がりて
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
宛
(
あたか
)
もその常に閉さざる
眶
(
まぶた
)
の
下
(
もと
)
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
宛
(
あたか
)
も壁から剣が出た様に思った、果して壁から剣が出れば剣の出る丈の穴が壁になくては成らぬけれど無論其の様な穴はない、爾すれば余を刺したのは目に見えぬ幽霊の仕業か知らん
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
宛
(
あたか
)
もよし、京都では、第九十六代
後醍醐
(
ごだいご
)
天皇が、即位し給うた。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
他の新聞紙は
宛
(
あたか
)
も事件の真相を伝へる如くに云つた
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
他の新聞紙は
宛
(
あたか
)
も事件の真相を伝える
如
(
ごと
)
くに云った
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
宛
常用漢字
中学
部首:⼧
8画
“宛”を含む語句
宛然
宛行
宛転
宛名
名宛
宛嵌
宛如
押宛
宛所
宛城
宛字
手宛
大宛
人宛
目宛
引宛
宛転滑脱
宛込
宛転悠揚
幸子宛
...