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天賦
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てんぷ
ふりがな文庫
“
天賦
(
てんぷ
)” の例文
私はこれが貴方がたへの情愛と敬念とのしるしである事を希う。また藝術的
天賦
(
てんぷ
)
に豊かな朝鮮民族への信頼のしるしでありたく思う。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼は自分の
性急
(
せっかち
)
に比べると約五倍がたの
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
であった。けれども一種
天賦
(
てんぷ
)
の能力があって、時にその癇癪を
巧
(
たくみ
)
に殺す事ができた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「葉子さんという人は兄がいうとおりに
優
(
すぐ
)
れた
天賦
(
てんぷ
)
を持った人のようにも実際思える。しかしあの人はどこか
片輪
(
かたわ
)
じゃないかい」
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
平次に取つては、見る眼嗅ぐ鼻ともいふべき八五郎は、その
天賦
(
てんぷ
)
の勘を働かせて、江戸中から不思議なニユースをかき集めて來るのでした。
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
徹頭徹尾、脇師をもって自分の
天賦
(
てんぷ
)
と心得たかのように、主役としてのお銀様を立てることは、本心から
然
(
しか
)
るのでありました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
慕う慕うと
雖
(
いえど
)
も亦た及ばず是れ即ち
天賦
(
てんぷ
)
の文才にして到底追慕するも亦画餠に属すればなりと予は筆を投じて
嗟嘆
(
さたん
)
して止みぬ
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
就中
(
なかんずく
)
儂の、最も感情を
惹起
(
じゃっき
)
せしは、新聞、集会、言論の条例を設け、
天賦
(
てんぷ
)
の三大自由権を
剥奪
(
はくだつ
)
し、
剰
(
あまつさ
)
え
儂
(
のう
)
らの
生来
(
せいらい
)
かつて聞かざる諸税を課せし事なり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
強
(
し
)
いて
俺
(
おれ
)
はこれから剛にする、俺はこれから柔にすると、
天賦
(
てんぷ
)
の性質を
矯
(
た
)
め、
束縛
(
そくばく
)
することはすこぶる難事であるが、しかし俺はあくまでも剛である
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「それは人民を充分強健に教育して、
天賦
(
てんぷ
)
の愛国心を
発揮
(
はっき
)
せしめたからであります。しかし国を出でてより長い事であるからこの頃の事は知りませぬ」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
斉彬公は、非常に高い科学精神と、恐るべき直観力とを兼ね備えた
稀
(
ま
)
れな
天賦
(
てんぷ
)
の人であったことを初めて知った。
島津斉彬公
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
文芸の道は
天賦
(
てんぷ
)
の才なくてはかなふべからず、その才なくして
我武者羅
(
がむしゃら
)
に熱中するは迷ひにして自信とはいひがたかるべし。これ
己
(
おのれ
)
を知らざる愚の証拠なり。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
だが、この高地からながめても、その広い
天賦
(
てんぷ
)
の平地も、まるで人間の静脈のように大小無数の河水が
奔馳
(
ほんち
)
していて、人力の
痕跡
(
こんせき
)
らしいものは殆ど見えないのである。
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
濂又曰く、
古
(
いにしえ
)
に
謂
(
い
)
わゆる
体道
(
たいどう
)
成徳
(
せいとく
)
の人、先生誠に
庶幾焉
(
ちかし
)
と。
蓋
(
けだ
)
し濂が
諛墓
(
ゆぼ
)
の辞にあらず。孝孺は此の愚庵先生第二子として生れたり。
天賦
(
てんぷ
)
も厚く、
庭訓
(
ていきん
)
も厳なりしならん。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それは或は半ば以上、
天賦
(
てんぷ
)
の才能によるものかも知れない。いや、精進の力などは
存外
(
ぞんぐわい
)
効のないものであらう。しかしその浄火の熱の高低は直ちに或作品の価値の高低を定めるのである。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
同じく生をこの世に
亨
(
う
)
けて、一人はもてはやされる力に
充
(
み
)
ちた体をもち、一人は女にまで
蔑
(
さげす
)
まれる弱々しい体をもっている、甚だしいこの差別を持って生れて来たのを、
天賦
(
てんぷ
)
だというだけで
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
しかも、そのような、誰にも目撃せられていない人生の片隅に於いて行われている事実にこそ、高貴な宝玉が光っている場合が多いのです。それを
天賦
(
てんぷ
)
の不思議な触角で捜し出すのが文芸です。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
疑う余地なき才能!
歓迎
(
かんげい
)
すべき
天賦
(
てんぷ
)
の素質! 詩の
園
(
その
)
に
咲
(
さ
)
いた一輪の花! 装幀もいい、などとね。ところで、もう一つの本はどうだろう! あの著者は、ぼくにも買わせようという腹らしい。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
私はこれが貴方がたへの情愛と敬念とのしるしである事を希う。また藝術的
天賦
(
てんぷ
)
に豊かな朝鮮民族への信頼のしるしでありたく思う。
朝鮮の友に贈る書
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼女は美くしい
天賦
(
てんぷ
)
の感情を、あるに任せて
惜気
(
おしげ
)
もなく夫の上に
注
(
つ
)
ぎ込む代りに、それを受け入れる夫が、彼女から精神上の営養を得て
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あるいは神経衰弱だのあるいはリュウマチスだのあるいは
胃弱
(
いじゃく
)
だのと、その他種々の
故障
(
こしょう
)
のために、
天賦
(
てんぷ
)
の力の百分の一も利用せず発揮もせずに一生送る者は
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
この曲においても驚くべき
天賦
(
てんぷ
)
を示しているが、ヴァイオリンの世の中は必ずしもメニューイン万能ではなく(もちろんメニューインに
与
(
くみ
)
する人も少なくないだろうが)
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
飛鳥
(
あすか
)
、奈良のころも、四季のたのしみや、
宴会
(
うたげ
)
、歌むしろは、ずいぶん、おおらかに、それが
天賦
(
てんぷ
)
の自然生活でもあるように送って来たこの国の人びとではあったが、こう
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諸国に
率先
(
そっせん
)
して、婦人の団結を
謀
(
はか
)
り、しばしば志士
論客
(
ろんかく
)
を
請
(
しょう
)
じては
天賦
(
てんぷ
)
人権自由平等の説を聴き、おさおさ女子古来の
陋習
(
ろうしゅう
)
を破らん事を務めしに、風潮の向かう所入会者引きも切らず
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
けれども僕には僕でまた相当の
云草
(
いいぐさ
)
があるんだ。僕の
鈍
(
どん
)
は必ずしも
天賦
(
てんぷ
)
の能力に原因しているとは限らない。僕に時を与えよだ、僕に金を与えよだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
してみれば一人前の仕事とは各自がめいめい
天賦
(
てんぷ
)
の才能と力量のあらん限りを尽すことであろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
少年メンデルスゾーンは、この環境のうちに、
天賦
(
てんぷ
)
の才能をすくすくと伸ばしていった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
元来
儂
(
のう
)
は我が国民権の拡張せず、従って婦女が古来の
陋習
(
ろうしゅう
)
に慣れ、
卑々屈々
(
ひひくつくつ
)
男子の
奴隷
(
どれい
)
たるを
甘
(
あま
)
んじ、
天賦
(
てんぷ
)
自由の権利あるを知らず
己
(
おの
)
れがために
如何
(
いか
)
なる弊制悪法あるも
恬
(
てん
)
として意に介せず
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
尤
(
もっと
)
も誰にも書けないと云うのは、文を
遣
(
や
)
る
技倆
(
ぎりょう
)
の点や、人間を活躍させる
天賦
(
てんぷ
)
の力を指すのではない。
『土』に就て:長塚節著『土』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ハイフェッツに技巧の驚くべき
冴
(
さえ
)
はあっても、メニューインの
天賦
(
てんぷ
)
の輝きには及び難いかも知れない。「第三ソナタ=ハ長調」もメニューインのがある(ビクターJD一五〇八—一〇)。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
ところが親爺の腹のなかでは、それが全く
反対
(
あべこべ
)
に解釈されてしまった。何をしようと血肉の親子である。子が親に対する
天賦
(
てんぷ
)
の
情合
(
じょうあい
)
が、子を取扱う方法の
如何
(
いかん
)
に
因
(
よ
)
って変る
筈
(
はず
)
がない。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この歌の要求するところは幻想上のことである。
天賦
(
てんぷ
)
の情熱と想像力である。普通の歌手の手は届かない——というキャペルの言葉は正しい。老スレザークかヒュッシュをまつべきであろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
だから二人の
天賦
(
てんぷ
)
を度外において、ただ二人の
位地
(
いち
)
関係から見ると、お延は戦かわない先にもう優者であった。
正味
(
しょうみ
)
の曲直を標準にしても、
競
(
せ
)
り
合
(
あ
)
わない前に、彼女はすでに勝っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし
天賦
(
てんぷ
)
の能力と教養の工夫とでようやく鋭くなった兄さんの眼を、ただ落ちつきを与える目的のために、再び
昧
(
くら
)
くしなければならないという事が、人生の上においてどんな意義になるでしょうか。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“天賦”の意味
《名詞》
天 賦(てんぷ)
天から授けられたもの。
生まれつきの資質。
(出典:Wiktionary)
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
賦
常用漢字
中学
部首:⾙
15画
“天”で始まる語句
天
天井
天鵞絨
天狗
天晴
天幕
天窓
天気
天地
天竺