島津斉彬公しまづなりあきらこう
昭和十九年の暮に、岩波文庫の一冊として『島津斉彬言行録』が出版された。これには牧野伸顕伯の序文がついている。 当時既に日本は断末魔の境にあり、この本なども、ぼろぼろの藁半紙のような紙に印刷されているまことに粗末な本であるが、これは私にとって …